腰かける

大堀 具視
大堀 具視作業療法士 / 株式会社Start movement代表

ワンポイントリハビリ その18

 

ベッドに横になると気持ちが良いのは、座っていることと比べて単純に体を支えてくれる面が大きくなるからです。

ベッドのマットレスが低反発素材だったりすると、体の形状に馴染んでくれますからますます安楽です。

つまり筋肉の緊張は緩んだ状態が維持され、体を休めることができるわけです。

しかしながら、横になっている時間が長くなれば、筋肉は必然的に衰えますから、あの心地よいベッドの魔力から逃れるためには、私たちの毎朝の起床がそうであるように、相当な意志力が必要です。

裏を返せば、筋肉が衰えてきた高齢者にとって、起きて座っているだけでも大変な作業だと理解して良いと思います。

 

改めて座っていることが大変な作業であるなら、ベッドから離れることがリハビリの第一歩とも言えそうです。

実際、病院や施設などでは離床といって日中はなるべく起きてベッドから離れて生活するよう促されます。

とは言え、車椅子に座ればバックサポートが背中を包み込んでくれますし、食卓椅子やソファーに座れば当然背もたれに身を委ねてしまうものです。

そこで、ベッドから起き上がった時にそのまま腰かける時間を作ってみると良いです。

ベッドに腰かけていますから当然背もたれはありません。

背もたれのない状態でじっと座っているとわかりますが、体の微妙な揺れを感じますし、腰や背中が疲れてくるのを自覚します。

つまり、座ることを維持するために自分の体に意識が向けられ、筋肉の働きだけではなく視覚や座面から受ける感覚も利用し全身を調和させます。

 

ベッドに腰かける時間を作ることで体の機能が調和しはじめると、その後の車椅子への乗り移りや、立ち上がって歩く動作へスムースに移行しやすくなります。

誰かに起こされた人は、誰かに座らされ、だから車椅子へ乗り移ることも立ち上がって歩くことも自分ごとではなくなってしまいます。

腰かけるという時間、10秒でも20秒でも構いません。

それは生活動作を自分ごとにするためにも大切な時間であり、大切なリハビリとなるはずです。

一人で座るのが少し難しくなってきた方ほど、ほんの少し腰かける時間、その間(マ)を大切にすると良いです。

 

ベッドに腰かける時間→その後、シャキッとして「さて歩くか」につながる

 

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筆者プロフィール

やさしい在宅介護
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
やさしい在宅介護
北海道出身。株式会社Start movement代表、作業療法士。著書に「お互いが歩み寄る介護実践45のヒント」「利用者の"動き出し"を引き出すコミュニケーション」などがある。
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大堀 具視
大堀 具視
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
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