上から目線の言葉づかいに隠れた未熟さ

大堀 具視
大堀 具視作業療法士 / 株式会社Start movement代表

 

コミュニケーションにおいて言葉づかいの選択は、お互いの立場を尊重したものになっていると思います。介護の現場では、職員は自分よりも年上の利用者さんと関わる場合がほとんどですから、基本的に丁寧語や尊敬語で対応することになります。

 

一方で利用者と専門職という立場も同時に存在しており、年上である利用者さんに対して上から目線の言葉づかいがまかり通ってしまっているところがあります。

孫や子のような年齢の職員が利用者に対して、赤ちゃん言葉を使ったり、タメ口をきくのはもってのほかですが、命令調で、指図するような言葉を聞くのは気持ちの良いものではありません。

 

ひるがえって私自身のコミュニケーションについて考えてみると、会話の中である人に対する呼称が〇〇さんと、いつも“さん付け”だったはずなのに、会話の相手や内容で〇〇君と“君付け”していることに気づくときがあります。

ほとんど無意識なのですが、君付けにより会話の相手に対して、私は〇〇さんより立場が上であると示していたように振り返り、とても恥ずかしくなります。

 

利用者に対して上から目線の言葉づかいや態度をとってしまう職員が、行儀の悪い人、しつけのなっていない人ではないのだと思います。自分が未熟だから、不安だから、怖いから無意識に上から目線の言葉を用いて、利用者に対して相対的に上に立ち、なんとかそれを払拭しようとしている姿なのではないかと思えるのです。

 

人は、他人より少しでも上に立っている(そう感じている)方が安心なのかも知れません。人より上に立つために、しかしそれは利用者ではなく自分を守るために命令口調や、指図口調、あるいは私のように誰かを君付けで呼んでしまいます。また、利用者に対してタメ口をきく、赤ちゃん言葉を使うのも背景は同じなのだと思います。

。それが上から目線の言葉づかいの正体であると思います。

 

もし、周りに言葉づかいが気になる方がいたら、言葉づかいを責めたり、そこだけを切り取って変えさせようとせず、その背景にある未熟さ、不安、怖さを一緒に考えてみると良いのでは無いでしょうか。

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筆者プロフィール

その他
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
その他
北海道出身。株式会社Start movement代表、作業療法士。著書に「お互いが歩み寄る介護実践45のヒント」「利用者の"動き出し"を引き出すコミュニケーション」などがある。
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大堀 具視
大堀 具視
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
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