正しいポジショニングで拘縮を防ぐ?介護で大切な姿勢を徹底解説!

介護度が高く、寝たきりになると自分で身体を動かすことができない方も多くいます。

寝返りもできない場合、同じ姿勢で寝続けなければならないため、身体の拘縮(こうしゅく)が始まります。
この拘縮を和らげて、介護される方が楽な姿勢で過ごせるようにするのがポジショニングです。

本記事では、介護におけるポジショニングについて以下の点を中心にお伝えします。

  • 介護における正しいポジショニング
  • 介護ポジショニングで気を付けること
  • 拘縮が起きやすい部分

ポジショニングを理解し、介護の負担を軽減することが大切です。
ぜひ最後までご覧ください。

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目次

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介護における正しいポジショニング


介護におけるポジショニングは、介護される方が快適に過ごせるようになるだけでなく、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の防止など命を守ることにもつながります。

寝たきりの方

長い時間同じ姿勢でいると、健常者でもあちらこちらが凝ったり痛くなったりします。
寝たきりの場合も同じで、苦痛を伴って関節が拘縮してしまいます。

寝たきりの方は、言葉でうまく伝えられないことも多いので、定期的にポジショニングをする必要があります。

仰臥位のポジショニング

仰臥位(ぎょうがい)とは、仰向けで寝ている体勢のことを指します。
長い時間仰臥位で寝ていると、胸が圧迫されて横隔膜の動きにも影響し、呼吸機能が低下してしまいます。

また、飲み込む力が弱い方や食事が胃から逆流しやすい方は、仰臥位姿勢になると、唾液や胃液、内容物が気道に入りやすく、誤嚥性肺炎などを起こしやすくなります。

仰臥位のポジショニングでは、まず頭を高くすることが大切です。
必要に応じてリクライニングベッドのヘッド側の高さを上げましょう。

また、心臓と同じ高さにするために肩甲骨から肘にかけてクッションを入れます。
膝を立てるために、膝裏にクッションを入れることで、膝の拘縮を防ぎます。

側臥位のポジショニング

側臥位(そくがい)とは、完全な横向き状態で寝ている体勢です。

側臥位は安定する姿勢であるため、筋肉の緊張が緩みやすいというメリットがあります。
一方で痩せて骨が出ているような場合、褥瘡(じょくそう)ができやすいというデメリットもあります。

側臥位のポジショニングでは、下になる方の腕を前に出して体重による圧迫を防します。
上になる腕の下にクッションを入れて肩、肘、手の高さが同じになるように調節します。
足は重くならないようにして曲げ、股、膝、足の高さが同じになるように足と足の間にクッションを挟み込みます。

車椅子の方

車椅子に乗っているときには、一般的に麻痺をしていない側を頼って座る方が多いです。

長時間麻痺していない側に負担をかけ続けることになると、麻痺している側全体に神経性拘縮が起きてしまう可能性があります。

座位のポジショニング

車椅子での座位のポジショニングで大切なことは、麻痺していない側への負担をできるだけ軽くすることです。

そのため、バスタオルを折りたたんで麻痺していない側を少し高くすることで傾きを防ぎ、姿勢が保ちやすくなります。

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ポジショニング介護のポイント


拘縮のある方を介護するときには、できるだけ痛みを与えないようにすることが大切です。
工夫をすることで、痛みを最小限に抑えるポジショニングを心掛けましょう。

ここからは、ポジショニング介護のポイントについて解説します。

ゆっくり行う

拘縮している部位は、本人にとって動かしにくい場所です。
そのため、強く曲げたり、勢いよく動かしたりすると強い痛みを伴います。

介護される方をポジショニングするときには、力を入れずにゆっくりと動かすことが大切です。
また、介護される方の表情を注意深く観察しながら、辛そうであれば途中でやめるなど、無理をしないことが大切です。

声をかけながら行う

いきなり動かすと身体が緊張して、拘縮が悪化する可能性もあります。
ポジショニングをする前には必ず被介護者に声をかけるようにしましょう。

たとえば「今から少し足を動かしますよ」「痛くないですか」「もう少しですよ」などと声をかけ、緊張を和らげるようにしましょう。

触れる位置に注意する

拘縮している部位を持ち上げるときには上からではなく、下から支えるように持ち上げるようにしましょう。

ポジショニングで持ち上げるときは指先ではなく、手のひらや腕など、できるだけ広い面積を使って持ち上げるようにします。
触れる位置に注意し、体を強く握らないようにすることが大切です。

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ポジショニングによって回避できる拘縮とは?


ポジショニングには、拘縮を和らげたり、防いだりする効果が期待できます。
ポジショニングによって回避できる拘縮にはどのような種類があるのでしょうか?
それぞれ解説していきます。

筋性拘縮

病気やケガで寝たきりになって筋肉が衰えたり、関節が長い期間固定されるときに起こる拘縮です。
可動域が極端に制限され、全身拘縮することも珍しくありません。

神経性拘縮

脳卒中や頭を強く打ったなどの後遺症で多く見られます
神経がマヒしたり痛みが生じるため、可動域が制限されます。

皮膚性拘縮

火傷や炎症によって、皮膚に引きつりが生じます。
皮膚に柔軟性がなくなって可動域が制限されます。

結合組織性拘縮

じん帯や腱といった結合組織が収縮したり、癒着(ゆちゃく)したりすることで起こる可動域制限です。
生活習慣や手術後の回復過程でも起こります。

関節拘縮

骨膜や関節包、じん帯などが炎症を起こしたり、損傷したときに起こりやすい可動域制限です。
骨折や脱臼などの治療過程でも起こりやすくなります。

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拘縮が起きやすい部位


拘縮が生じるとリハビリを行う必要がありますが、改善が難しい拘縮もあります。
前もって起きやすい部位を知っておくことで早期発見し、適切なポジショニングにつなげることができます。

特に拘縮が起きやすい部位について解説します。

手・指の関節

症状としては、手首が内側に曲がって指が伸ばせなくなります。
ものをつかむという動作が難しくなるので、日常生活にも支障が出てきます。

また、爪が手の平に食い込んで痛みを伴うことがあるため、爪のケアも大切です。

肩・肘の関節

肩や肘の関節まわりの筋肉や腱が癒着することによって、腕が上がらなくなり痛みを伴います。

衣類の着脱や食事に支障が出ることが多く、安静時にも痛むことがあります。

膝の関節

立つ、座る、階段の上り下りといった動作が不安定になります。
膝の曲げ伸ばしが不自由になり、歩くときも身体を大きく左右に振って歩くために不安定となり、転倒しやすくなります。

足の関節

足首が伸びてしまう「尖足(せんそく)」になりやすくなるため、歩行が困難になります。
一部分に負荷がかかるため、タコやウオノメができやすく痛みを伴うこともあります。

股の関節

股関節が拘縮すると、衣類の着脱やおむつの交換、入浴などに支障が出ます。
また歩きにくくなるため、転倒しやすくなります。

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拘縮が改善しないときはどうする?


ポジショニングには、関節の拘縮を緩和して快適な姿勢を保つ効果があります。

しかし拘縮が強い場合には正しいポジショニングを行っても、なかなか改善しないこともあります。
そのようなときには、訪問マッサージを利用するといいでしょう。

訪問マッサージの目的は「疼痛の緩和」「血液・リンパの循環改善」「心肺機能の改善」「関節可動域の拡大や維持」などがあります。

訪問マッサージを受けるためには、かかりつけの医師に相談してください。
寝たきりや歩行困難で通院が難しく、医療上のマッサージが必要な場合、ケアマネージャーや医師に訪問マッサージ師を紹介してもらいましょう。

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ポジショニング介護のまとめ

まとめ
本記事では、介護で使われるポジショニングについて紹介してきました。
要点を以下にまとめます。

  • 介護をするときのポジショニングは、介護される方の拘縮による痛みを緩和して、心身を良好な状態に保つこと
  • ポジショニングで気を付けることは「ゆっくりと」「声掛けを行う」「触れる位置に注意」すること
  • 拘縮が起きやすい部分は「手・指」「肩・肘」「膝」「足」「股」などの関節

介護におけるポジショニングは、関節拘縮を和らげ、介護される方の生活の質を上げることができます。
拘縮ができやすい場所をあらかじめ知って、予防や早期発見に役立てましょう。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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