廃用症候群のリハビリは?原因から対応方法まで解説!

長い入院生活が終わり病気が回復しても、思うように身体を動かせなくなっていることがあります。
それは「廃用症候群」かもしれません。

あまり聞きなじみのない病気ですが、若い方から高齢者まで、様々な人が陥ってしまう可能性があるため、事前に知っておくことが大切です。

今回は廃用症候群について、以下の点を中心に解説していきます。

  • 廃用症候群とは?症状と原因について
  • リハビリの方法、ポイント
  • 廃用症候群にならないためには?

廃用症候群について理解するためにもご参考いただければ幸いです。
ぜひ最後までお読み下さい。

目次

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廃用症候群とは


過度な安静、活動性の低下により筋力低下や関節拘縮を生じることを「
廃用症候群」といいます。
病院や介護生活において、ベッドで臥床傾向にある方達がなりやすい症状です。

症状は人によって様々であり、他の疾患の回復を遅らせたり、新たな合併症を引き起こしてしまうケースもあります。
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廃用症候群のリハビリとポイント


廃用症候群は
早期にリハビリテーションを始めることが、予防・改善を図る上でとても重要となります。
ここでは廃用症候群に対する運動方法や、リハビリのポイントについて解説していきます。

廃用症候群のリハビリ

これから紹介する運動は、病院や高齢者施設でもリハビリとして行われています。
いずれも座位で行うことが可能です。
慣れないうちは転倒のリスクがあるので、座位で安全に行うように注意しましょう。

膝伸ばし運動

立ち座りするのに重要な大腿四頭筋の運動です。

  • 椅子に深く腰掛ける
  • 片足の膝をゆっくり伸ばしていく
  • 伸ばした状態で10秒ほどキープする
  • 左右各10回を目標に繰り返す

ゆっくり行うことで負荷がかかり効果が高まります。

もも上げ運動

脚を上げる時に使われる、腸腰筋のトレーニングです。

  • 椅子に浅く座り、手は椅子に添える
  • 背筋を伸ばし、片脚をゆっくり上げて下ろす
  • 反対の脚も同様に上げ下ろし

背筋が丸くなってしまうと、動かしにくくなってしまうので注意しましょう。

バンザイ運動

上肢の運動で、立位・座位どちらでも実施できます。

  • 両手で棒を持つ
  • 両手でゆっくり上げ下げする
  • 可能であれば、棒を上げた状態で左右に身体を倒す運動も行う

必ずしも棒を持つ必要はなく、両手を上げるだけでも十分です。
関節の可動域制限のある方は、可能な範囲で行うようにしましょう。

肩の上げ下げ運動

肩甲帯の運動になり、肩こり解消の効果もあります。

  • 両肩を耳に付けるようなイメージで上げる
  • ストン、と力を抜いて両肩を下ろす
  • 上げ下げを数回繰り返す

肩を上げ下げしにくい方は、無理のない範囲で動かしましょう。

リハビリのポイント

廃用症候群のリハビリを進めるには、注意点と事前に確認しておくべきことがあります。

環境を整える

体力が低下している廃用症候群の方は、転倒など怪我をするリスクが高くなっています。
リハビリを実施する前に環境を整え安全に運動を行えるようにしましょう。

また、心身の調子が悪い場合はリハビリに休みを設けることも必要です。

本人の気持ちを大事にする

廃用症候群はその症状から、抑うつ・閉じこもり傾向となってしまう方もいます。
無理にリハビリを行うのではなく、本人の気持ちを尊重し訓練を進めるようにしましょう。

趣味活動を通じ、生きがいや楽しみを持ってもらうこともリハビリにはプラスになります。

栄養状態を確認する

栄養状態の改善は、廃用症候群のリハビリを進めるうえで必須といえます。
食事ができず低栄養の状態で運動をすると、かえって逆効果になる可能性があるためです。

咀しゃくや嚥下の状態について確認し、普段の口腔ケアを見直すのも有効です。

廃用症候群の原因


どのような流れで廃用症候群となってしまうのでしょうか。
代表的な原因について解説していきます。

過度の安静状態

病気治療により、長い期間臥床傾向であった場合、筋肉の萎縮・関節拘縮といった廃用症状を引き起こします。

特に高齢者は、過度の安静を取り続けていると、筋力が低下し歩行困難になってしまうケースが多いです。

痛みによる活動性の低下

腰痛が原因で日中の活動性が下がり、徐々に寝たきりになってしまった、という話は少なくありません。

はじめはちょっとした怪我でも、廃用症候群につながる危険性があります。

精神障害

身体の不調だけではなく、精神状態の不調により体力が低下し、廃用症候群を起こすケースもあります(うつ・閉じこもりなど)。

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廃用症候群の症状


廃用症候群の代表的な症状としては筋力低下、関節拘縮がありますが、ほかにも全身的な症状、精神的な機能障害なども見られます。

体の一部に起きるもの

筋肉や関節など、いわゆる運動器の障害です。
例としては、

  • 筋力低下
  • 関節拘縮
  • 骨粗しょう症
  • 疼痛

があります。

筋肉は全く使わないと萎縮してしまい、1日に3~5%程度筋力が落ちてしまうといわれています。

全身に影響するもの

長期間の寝たきりにより、全身的な筋力低下が見られるようになると、呼吸・循環障害、自律神経の障害を引き起こします。
具体的には、

  • 起立性低血圧
  • 深部静脈血栓症
  • 便秘
  • 排尿排せつ障害
  • 浮腫、床ずれ

などがあります。

精神や神経の働きに起こるもの

廃用症候群により外出の機会が減ることで、日々の刺激が減り、認知機能障害や抑うつ状態になる場合もあります。

身体面と精神面での廃用症状は互いに影響しあっており、病状の悪化や回復に大きく関わっているのです。
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廃用症候群の診断方法


廃用症候群には決まった診断方法・検査がありません。

判断するには医師や看護師、リハビリスタッフらが、次の評価を日々行うことが重要とされています。

  • 身体機能:筋力、関節可動域の継続的な評価
  • 精神機能:認知機能に衰えはないか
  • ADL(日常生活動作):食事、入浴、着替え、歩行などの能力が低下していないか

また、普段の様子を良く知っている、家族からのチェックも大切です。

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廃用症候群を予防するために


廃用症候群を予防するためには、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

運動の機会をつくる

入院していても、臥床傾向を避けるため運動の機会を設けることは、廃用症候群の予防の観点から見て必須といえます。

寝たきりで体力が低下してしまっている高齢者に対しては、ベッドで座位を取る、車いすに座り起きてもらうだけでも、廃用症候群予防になります。

運動強度の設定は、廃用症状の程度によって変化させるようにしましょう。

また、臥床していても定期的に体位交換をする、ストレッチをすることで関節拘縮や床ずれを防ぐことができます。

薬物治療を行う

全身的な廃用症状、また廃用による合併症に対して薬物治療が有効な場合があります。

薬物治療により精神状態が回復し、活動することに前向きになったことで廃用症候群が改善していくケースもあります。

リハビリを行う

廃用症候群の予防には、早期のリハビリ介入が欠かせません。
ですが、どんな病気に対しても早くリハビリをすれば良い、というわけではないのです。

医師の判断に基づき、適切なタイミングでリハビリを行わなければ逆効果となります。

自宅での介護生活において、廃用症候群になってしまい、どうしようもない場合もあるかと思います。

リハビリには、介護保険を使っての「訪問リハビリ」というサービスもあります。
訪問リハビリとは、自宅に理学療法士などスタッフが訪問し、その場でリハビリを行ってくれるサービスです。

病院に通うことができなくて困っている方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
以下の記事も参考にしてください。

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廃用症候群による介護状況


下の表は、介護が必要になった原因を要介護度別にまとめたものです。

要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位):平成28年

第1位 第2位 第3位
要支援者 関節疾患  17.2% 高齢による衰弱 16.2% 骨折・転倒   15.2%
要介護者 認知症   24.8% 脳血管疾患   18.4% 高齢による衰弱 12.1%

出典:厚生労働省【Ⅳ介護の状況

認知症、関節疾患が原因で介護が必要な状態になり、そのまま廃用症候群に陥る高齢者がとても多いのです。

普段の生活から、転倒や怪我に気を付けることも、寝たきりや廃用症候群の予防には効果的であるといえるでしょう。

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廃用症候群のリハビリについてのまとめ


ここまで廃用症候群について、原因や症状、リハビリなどについて解説してきました。
本記事のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 廃用症候群とは、過度の安静により筋力低下・関節拘縮・床ずれ等が生じることを指す
  • 早期のリハビリを適切にすることが大切である
  • リハビリは負荷に注意し、簡単な運動から始める(もも上げ、バンザイ運動など)

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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