副作用の救済制度って何?救済給付の対象と申請方法を紹介

日本では副作用の救済制度についてあまり知られていません。
救済制度とは医薬品による副作用に対して、充分な支給を受けられる制度のことです。
この制度を知ることで、いざというときに自分を守ることができます。

本記事では副作用の救済制度について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 医薬品で副作用が出ると救済制度が適用される?
  • 医薬品による副作用の救済制度の種類とは?
  • 副作用の救済制度の適用を受けるための条件は?
  • 副作用の救済制度はいつでも利用できる?

副作用の救済制度について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

目次

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副作用の救済制度とは?

疑問

副作用の救済制度とは、医薬品によって健康被害を受けた方に治療費や年金などを給付する公的な制度のことです。

医薬品には多かれ少なかれ副作用のリスクがあります。
適正に使用していても、医薬品によって思わぬ副作用や健康被害にあう方も一定数います。

そんな被害者を救済することが、この制度の目的です。
一般的には、入院を必要とするほど重篤な健康被害を受けた方が対象になります。
副作用の救済制度の主催元は「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」です。

医薬品は処方薬・一般市販薬の区別を問いません。

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医薬品の副作用被害による救済制度は7種類

アドバイスする女性

平成27年~令和元年において、医薬品による副作用の救済制度の支給率は約82%です。
ただ、副作用の救済制度は世間ではあまり知られていません。

一般国民を対象にした令和2年度の知名度調査結果では、25.5%となっています。

救済制度の支給内容は以下の7つです。

  • 医療費
  • 医療手当
  • 障害年金
  • 障害児養育年金
  • 遺族年金
  • 遺族一時金
  • 葬祭料

それぞれ詳しく解説していきます。

医療費

医療費は、入院治療を必要とするほどの副作用被害を受けた方が、医療機関で治療を受けたときに支給されます。
厳密にいうと、支給される金額は健康保険などからの給付を除いた自己負担分となります。

医療費の申請期限は、支給対象となる費用の支払日から5年以内です。

医療手当

医療手当の対象は医療費と同じく、入院治療を必要とするほどの副作用被害を被った方です。

医療手当では、入院治療にかかった費用のうち、治療費以外の費用が支給されます。
治療費以外の費用とは、入院中の食費や雑費などです。

給付額は、入院の有無・医療機関にかかった日数によって異なります。

(令和3年4月1日現在)

区分 月当たり給付額(円)
通院のみの場合
(入院相当程度の通院治療を受けた場合)
1ヵ月のうち3日以上 3万7000
1ヵ月のうち3日未満 3万5000
入院の場合 1ヵ月のうち8日以上 3万7000
1ヵ月のうち8日未満 3万5000
入院と通院がある場合 3万7000

医療手当の申請期限は、請求対象となる医療を受けた日の翌月1日から5年以内です。

障害年金

障害年金は18歳以上の方で、日常生活に支障が出る程度の副作用被害を受けた方が対象です。

支給の目的は、副作用被害を受けた方の生活費を補償することです。
障害年金には1級・2級に区分されており、給付額が異なります。

(令和3年4月1日現在)

区分 給付額
1級 年額 280万9200円(月額 23万4100円)
2級 年額 224万7600円(月額 18万7300円)

障害年金には請求期限が設けられていません。

障害児養育年金

障害児養育年金は、日常生活に支障をきたすほどの副作用被害を受けた18歳未満の方を対象にした救済制度です。
給付の名目は、副作用被害を受けた18歳未満の方の養育費とされています。

障害児養育年金は1級・2級に区分されており、給付額が異なります。

(令和3年4月1日現在)

区分

給付額

1級 年額 87万8400円(月額 7万3200円)
2級 年額 70万3200円(月額 5万8600円)

障害児養育年金には請求期限はありません。

遺族年金

遺族年金とは生計維持者が副作用被害によって死亡した場合、その遺族の方に支給される年金のことです。
支給の目的は、遺族の生活を立て直すことです。

ただ、生活費の補償ではないので、遺族年金の支払いは最大10年です。
具体的な給付額は年額245万7600円(令和3年4月1日現在)です。

遺族年金の申請期限は、一家の生計を担う方が死亡した日から5年以内です。
生計主が死亡前に医療費・医療手当・障害年金などの支給決定を受けていた場合は、死亡から2年以内が請求期限になります。

出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「給付の種類と給付額」

遺族一時金

遺族一時金とは生計維持者以外の方が副作用によって死亡した場合、その遺族の方に支払われる一時金のことです。
遺族一時金は、遺族への見舞金として支給されます。

具体的な給付額は737万2800円(令和3年4月1日現在)です。
申請期限は、一家の生計を担う方が死亡した日から5年以内です。

死亡前にその他の副作用救済制度の支給が決定していた場合、申請期限は死亡日から2年以内です。

葬祭料

葬祭料は、医薬品による副作用被害で死亡した方の葬儀代として支給されます。
遺族一時金と同じく、1回限りの支給です。

具体的な給付額は21万2000円(令和3年4月1日現在)です。

申請期限は、副作用被害を受けた方が死亡した日から5年以内です。
死亡前にその他の副作用救済制度の支給が決定していた場合、死亡日から2年以内が期限となります。

副作用の救済制度による救済給付の対象

副作用救済制度の対象となるのは、1980年5月1日以降に医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用被害を受けた方です。
副作用被害とは、以下のようなものです。

  • 入院治療を必要とするほどの疾病
  • 日常生活に支障をきたすほどの障害
  • 死亡

入院治療を必要とする程度の疾病の場合、必ずしも入院する必要はありません。
たとえば通院で治療を受ける場合であっても、給付の対象となりえます。

医薬品の適正な使用とは、医薬品の容器や添付文書に記載されている効能効果・用法用量・使用上の注意にしたがうことを指します。
なお、医薬品の適正使用で副作用被害を受けても、救済制度が適用されないことがあります。

副作用の救済制度から除外されるのは、以下のような条件に該当する場合です。

  • 法定予防接種が原因の場合
  • 他に明らかな損害賠償の責任がある者がいる場合
  • 救命のためにやむを得ず使用したことによる健康被害で、かつ、健康被害の発生があらかじめ予測されていた場合など
  • 健康被害の程度が、入院治療を必要としない程度や、日常生活への著しい支障がない場合
  • 請求期限が経過した場合
  • 不適正な目的をもって使用した場合や、不適切な方法で使用をした場合
  • 救済制度の対象外の医薬品を使用した場合
  • 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会での医学的薬学的判定で認められなかった場合

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給付対象となるかを見分けるポイント

気になる

給付申請をしたにもかかわらず、給付が受けられない場合もあります。
確実な支給を受けるためにも、以下の4つのポイントを満たしているか確認してください。

  • 原因が医薬品だと確信が得られるか
  • 副作用は重症か
  • 使用目的や使用方法は正しかったのか
  • 対象外の医薬品ではないか

原因が医薬品だと確信が得られるか

副作用の原因が医薬品だと確実に特定できない場合は、不支給になるおそれがあります。
たとえばサプリメント・他の医薬品を併用している場合が代表的です。

医薬品の服用・副作用の発生から受診までの間が空いている場合も、副作用の原因は医薬品だと断定しづらくなります。
新医薬品を服用する際は、他の医薬品やサプリメントの併用は一時的にストップしておきましょう。

また、副作用の症状が出た場合はすぐに医療機関を受診してください。

副作用は重症か

副作用による被害が軽度の場合は支給対象から除外されます。

支給対象となるのは、以下のような場合です。

  • 入院治療を必要とするほどの疾病
  • 日常生活に支障をきたすほどの障害
  • 死亡

使用目的や使用方法は正しかったのか

医薬品の使用目的や使用方法が誤っていた場合、救済制度は適用されません。
たとえば足の捻挫用に出された湿布を、肩こりの治療に使用するケースなどが該当します。

家族の治療のために処方された医薬品を、他の家族に使用した場合なども救済制度の適用外です。

対象外の医薬品ではないか

医薬品の中には、救済制度の対象から外れるものがあります。

具体的な医薬品は以下の通りです。

  • 抗がん剤・免疫抑制剤
  • 動物用医薬品
  • 人体に直接使用されない医薬品(製造専用医薬品など)
  • 法定予防接種

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副作用の救済制度による救済給付の流れ

副作用の救済制度を利用する際は、副作用被害を受けた本人が申請を行います。
本人が死亡した場合は遺族が手続きを行ってください。

申請先は医薬品医療機器総合機構(PMDA)です。
申請するには、請求書とあわせて医師の診断書などの書類をPMDAに送付してください

なお、必要書類や手続き方法が分からない場合は、PMDAの「救済制度相談窓口」で確認できます。

【給付申請の流れ】

  1. 被害者または遺族がPMDAに請求書・必要書類を提出する
  2. PMDAが厚生労働大臣に判定の申出を行う
  3. 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会に諮問を行う
  4. 薬事・食品衛生審議会から厚生労働大臣に答申が行われる
  5. 厚生労働大臣からPMDAに判定結果が通知される
  6. PMDAから申請者に決定通知および給付が行われる

PMDAへの申請後、給付の決定および実施されるまでの期間は平均6カ月以内です。

出典:日本赤十字社「医薬品副作用救済制度」

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副作用の救済制度による給付の請求期限

副作用の救済制度には、一部を除いて申請期限が設けられています。
申請期限を超えた場合、給付を受けられません。
給付を希望する方は、申請期限内に申請を行ってください。

なお、障害年金と障害児養育年金は、申請期限が設けられていません。

医療費・医療手当の請求期限

医療費及び医療手当の請求期限は以下の通りです。

給付の種類 請求の期限
医療費 支給対象となる費用の支払日から5年以内
医療手当 請求対象となる医療を受けた月の翌月の初日から5年以内

支給されるのは、あくまで自己負担した金額です。

治療にかかった費用のうち、健康保険などから給付された金額分は支給されません。

遺族年金・遺族一時金・葬祭料の請求期限

遺族年金・遺族一時金・葬祭料の請求期限は以下の通りです。

給付の種類 請求の期限
遺族年金

副作用被害を受けた方が死亡した日から5年以内

遺族一時金
葬祭料

死亡前にその他の副作用救済制度の支給が決定していた場合、申請期限は死亡日から2年以内に短縮されます。

出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「請求期限」

副作用による救済制度が作られた経緯

 

医者 仕事

副作用の救済制度が創設されたきっかけは、1960年代を中心に多発した薬害事件です。
サリドマイド事件やスモン事件などが知られています。

その他にもさまざまな薬品で薬害事件が頻発し、被害者の多くが製薬会社や国に訴訟を起こしました。
しかし和解には長い年月がかかり、賠償が行われる前にこの世を去る被害者も少なくありませんでした。

医薬品による副作用の被害者を救うには、迅速さが求められます。
そこで設置されたのが、副作用の救済制度です。

副作用の救済制度は1980年に、医薬品医療機器総合機構の主催で創設されました。

さらに2004年には新たな救済制度として「生物由来製品感染等被害救済制度」も創設されています。
生物由来製品感染等被害救済制度は、血液製剤によるエイズ感染者などの救済を目的としています。

出典:公益財団法人いしずえ「サリドマイド事件の概要と被害者の今」

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副作用の救済制度のまとめ

ここまで副作用の救済制度についてお伝えしてきました。
副作用の救済制度の要点を以下にまとめます。

  • 医薬品を適正に使用して重篤な副作用が出た場合は、救済制度として医療費などが支給される
  • 医薬品による副作用の救済制度には、医療費・医療手当・障害年金・遺族年金など7つの種類がある
  • 副作用の救済制度の適用を受けられるのは、1980年5月1日以降に医薬品を適正に使用したが重大な副作用が出た方
  • 副作用の救済制度には申請期限があり、期限を過ぎると給付を受けられない

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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