嚥下食ピラミッドとは?わかりやすい分類表やポイント・注意点を紹介

加齢・病気などが原因で通常の食事が困難になった場合、どのような食事を用意すればよいのでしょうか。

通常の食事が難しい場合、メニューの参考となるのが嚥下食ピラミッドです。
嚥下食ピラミッドとはどのようなものなのでしょうか。
本記事では、嚥下食ピラミッドについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 嚥下食ピラミッドとは
  • 嚥下食ピラミッドの基準
  • 嚥下食ピラミッド以外の食事の分類方法

嚥下食ピラミッドについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

目次

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嚥下食ピラミッドとは

嚥下食ピラミッドとは、嚥下・摂食のレベルに応じて、すべての食事を6段階に分類したものです。

嚥下食ピラミッドという考え方は、2004年開催の「第10回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」で発表されました。

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嚥下食ピラミッドの基準

嚥下食ピラミッドは、嚥下・摂食レベルに応じて、すべての食事を普通食〜嚥下食の6段階に分類しています。

嚥下食ピラミッドの具体的なレベルや食事の内容を以下の表にまとめました。

難易度 レベル 形態の目安 食事例

嚥下訓練食 L0 均質性を持ち、重力でスムーズに咽頭内を通過する物性を有する食品 お茶ゼリー

りんごゼリー

グレープゼラチンゼリー

L1 均質性を持ち、ざらつき、べたつきの少ない、ゼラチン寄せなどの食品 豆腐入り味噌汁ゼリー

重湯ゼリー

具のない茶碗蒸し

L2 均質性を持つものの、レベル1に比べて粘性、付着性が高い、ゼラチン寄せなどの食品 ヨーグルトにんじんゼリー

絹ごし豆腐

嚥下食 L3 不均質性の、ピューレを中心とする食品 水ようかん

スクランブルエッグ

嚥下寿司

介護食(移行食) L4 摂食・嚥下の過程の「3.口腔期」に障がいのある方に対応する食事 こしあん

かぼちゃのやわらか煮

パサつきのない魚のほぐし身

普通食 L5 ごく一般的な食事 ひじき煮

五目豆

ロールパン

 

嚥下食ピラミッド以外の食形態の分類

食事の形態は、さまざまな方法で分類されています。
嚥下食ピラミッド以外の分類法としては、次の2つが代表的です。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が提唱している食事の分類法です。

形態 主食の例
0 嚥下訓練食品 0j 均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー・離水が少なく、スライス状にすくうことが可能なもの
嚥下訓練食品 0t 均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水
                      1 嚥下調整食 1j 均質で、付着性、凝集性、かたさ、離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの

おもゆゼリー、ミキサー粥のゼリー など

2 嚥下調整食 2―1 ピューレ・ペースト・ミキサー食など、均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの・ スプーンですくって食べることが可能なもの

粒がなく、付着性の低いペースト状のおもゆや粥

嚥下調整食 2―2 ピューレ・ペースト・ミキサー食などで、べたつかず、まとまりやすいもので不均質なものも含む

スプーンですくって食べることが可能なもの

やや不均質(粒がある)でもやわらかく、離水もなく付着性も低い粥

                      3 嚥下調整食 3 形はあるが、押しつぶしが容易、食塊形成や移送が容易、咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの

多量の離水がない

離水に配慮した粥など

4 嚥下調整食 4 かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどのないもの

箸やスプーンで切れるやわらかさ

軟飯・全粥など

出典:【日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021

ユニバーサルデザインフード(UDF)

ユニバーサルデザインフードは、食べやすさに配慮された食事を指します。
ユニバーサルデザインフードと認められる商品には、認定マークが掲示されています。

区分 容易にかめる 歯ぐきでつぶせる 舌でつぶせる かまなくてよい
かむ力の目安 かたいものや大きいものはやや食べづらい かたいものや大きいものは食べづらい 細かくてやわらかければ食べられる 固形物は小さくても食べづらい
飲み込む力の目安 普通に飲み込める ものによっては飲み込みづらいことがある 水やお茶が飲み込みづらいことがある 水やお茶が飲み込みづらい
かたさの目安 ごはん ごはん~やわらかごはん やわらかごはん~全粥 全粥 ペースト粥
たまご 厚焼きたまご だし巻きたまご スクランブルエッグ やわらかい茶碗むし(具なし)
肉じゃが やわらか肉じゃが 具材小さめやわらか肉じゃが 具材小さめさらにやわらか肉じゃが ペースト肉じゃが

出典:厚生労働省【ユニバーサルデザインフードとは

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嚥下食を作る場合のポイント

嚥下食を作る際のポイントをご紹介します。
ぜひ日々の食事作りに役立ててください。

不足しやすい栄養素を入れる

嚥下食を作るときは、栄養が不足しないよう注意しましょう。
特に栄養不足に注意したいのは、嚥下食のレベルが低い方です。

理由は、嚥下食レベルが低いほど水分が多くなるためです。
水分の多い食事は飲み込みやすいというメリットがある一方、少量で満腹感になりやすい傾向があります。

つまり、必要な栄養を摂る前に満腹になって食事が終了になることが多いのです。
嚥下食で特に不足しやすいのは次の栄養素です。

タンパク質

タンパク質は筋肉・血液などを作るのに欠かせない栄養素です。
タンパク質が豊富な食品は、肉・魚・卵などの動物性食品です。

植物性食品の中では、タンパク質は大豆・大豆製品に多く含まれます。

カルシウム

カルシウムは丈夫な骨を作るために必要な栄養素です。
不足すると骨粗鬆症・骨折のリスクが高まります。

カルシウムが豊富な食品は、乳製品・小魚・緑黄色野菜などです。

食物繊維

食物繊維は便秘予防・改善に役立つ成分です。
食後の血糖値の急激な上昇を抑制する効果もあります。

食物繊維が豊富な食品は、ごぼうなどの根菜・わかめなどの海藻類が代表的です。
食物繊維が多い食品は咀嚼・嚥下しづらいため、やわらかく煮込むなどの工夫が必要です。

ビタミン類

ビタミン類は、他の栄養素の働きを助けて、身体の調子を整える作用があります。
ビタミン類が豊富な食品としては、野菜・くだものなどが代表的です。

食べやすくする調理方法

嚥下食を作る際は、嚥下レベルにあわせて食べやすい調理法を工夫する必要があります。
調理方法の例をご紹介します。

嚥下食ピラミッドの0〜2に該当する場合、肉は攪拌して提供します。
攪拌する際は、ミキサーやフードプロセッサーを使用してください。

嚥下食ピラミッド2以上の方であれば、やわらかくなるまで食材に火を通せばOKです。
たとえば圧力鍋を使って煮込んだり、野菜と一緒に蒸し焼きにしたりする方法があります。

肉をミンチにし、豆腐・やまいものすりおろしなどを混ぜて成形する方法もおすすめです。
ロース肉などの脂の多い部位を使用すると、美味になるだけでなく、とろけるような食感が出やすくなります。

嚥下食ピラミッドのレベル0~2の方には、攪拌してペースト状にした魚を提供します。
ペースト化したものにゲル化剤を加えて、ムース・ゼリー状にかためるのもおすすめです。

嚥下食ピラミッド3以上の方であれば、やわらかくした魚を提供しましょう。
たとえば、煮魚にしたり、蒸したりする方法がおすすめです。

レベルにかかわらず、骨は丁寧に取り除いてください。

お米が食べられるのは、原則として嚥下食ピラミッドのレベル1以上の方です。
レベル1の方には、重湯をゲル化剤などでかためてゼリー状にしたものを提供しましょう。

レベル2以上の方には、ペースト状のお粥や通常のお粥を出してもかまいません。

くだもの

嚥下食ピラミッドのレベル0~2の方には、くだものは、とろみのあるジュース・ゼリーの状態で出しましょう。

ジュース・ゼリーは、固形成分を含まないものを選んでください。
3以上の方には、加熱してやわらかくしたくだものを出してもかまいません。

たとえばコンポート・ややかためのゼリー・すりおろしなどがおすすめです。
嚥下レベルが高い方は、そのままの状態で召し上がってもOKです。

ブドウなどの小さな円形のくだものは、1/2以下にカットすると窒息リスクを低減できます。

おいしく食べてもらう工夫

世間一般的に、嚥下食は「おいしくない」というイメージがあります。
しかし嚥下食は、工夫次第でおいしく召し上がっていただくことも可能です。

ここからは、嚥下食をおいしくするためのポイントをご紹介します。

好みのものを取り入れる

嚥下食には、できる限り本人の好物を取り入れてみましょう。
好物があると、食事へのモチベーションが上がりやすくなるためです。

反対に、栄養面などを重視するあまり本人が好きでない食品ばかりを出すと、食欲が下がりやすくなります。

持病による食事制限などがない場合は、好物は積極的に出すようにしましょう。
ちなみに、食の好みは年齢を重ねるにつれ、変わっていくことがあります。

昔好きだった食べ物を現在も好むとは限りません。
好物を出すためにも、本人の希望の聞き取りや食べ残しのチェックは慎重に行ってください。

味付けを濃いめにする

食がなかなか進まない場合は、味付けをいつもより少し濃いめにしてみましょう。
濃い味付けは食欲増進につながることがあるためです。

特に高齢の方は、加齢によって味・においを感じにくくなりやすいため、はっきりした味付けにすることは重要です。

ただし、味が濃い食事は塩分量も多くなります。
医師に塩分制限を指示されている方や、血圧が高い方は、塩分の摂りすぎに注意しましょう。

香りを楽しむ

嚥下食を作る際は、香りも大切にしましょう。
嗅覚が刺激されると、食欲も増進されやすくなるためです。

たとえば、香りの強い食材を用いると、食欲が刺激されやすくなります。
スパイスなどを少量使うのもよい方法です。

盛り付け方

食欲をそそるには、味だけでなく見た目も重要です。
嚥下食を作る際は、ぜひ盛り付けにもこだわってください。

特に盛り付けに配慮すべきなのは、嚥下食ピラミッドレベル0~2の方です。
レベル0~2は基本的にペースト食であるため、料理ごとに見た目の違いがありません。

結果として、食欲がわきにくくなります。
ペースト食の見た目を華やかにするには、たとえば食器の色・柄にこだわるのがおすすめです。

あるいは、旬のくだものや野菜を周囲に添えると、ぐっと見た目が華やぎます。
型抜きなどを利用して、ペーストの形を元の料理になるべく近づけるのもよい方法です。

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嚥下食を摂る前の準備や注意点

嚥下食を摂る際の注意点をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

注意点 目的
排泄を済ませる 食事に集中できるようにする
食べやすい環境を整える(テレビを消す・リラックスできる音楽を流す) 食事に集中できるようにする
手を洗う 手づかみで食べる場合に備える
食後は口の中を清潔にする(うがい・歯磨き) 歯に付着した食べかす・細菌を取り除くことで誤嚥性肺炎のリスクを避ける
食前に嚥下体操をする 唾液の分泌をよくする・食事に対する意欲を向上させる
献立・料理の内容を説明する 食事への興味をかき立てる(特に季節行事に関する食事の説明は、過去の記憶をよみがえらせ、興味を引きやすい)
姿勢に注意(椅子に深く腰掛ける・背筋はまっすぐ・やや前傾姿勢) 姿勢を正すことで、嚥下がスムーズになる他、誤嚥のリスクを低減できる
配膳の位置を工夫する(食べる人の正面・手の届きやすい位置) 食事への関心が薄れないようにするため
食べるスピード・順番は本人のペースで 楽しんで食事を摂れるようにする
食後はすぐ横にならずしばらく座った状態で休憩する 胃食道逆流を防ぐため

 

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スマイルケア食の取り組みについて

スマイルケア食とは、いわゆる「介護食品」の愛称です。
ここからはスマイルケア食についてご紹介します。

出典:農林水産省【「スマイルケア食」とは、具体的にどのようなものですか。
出典:農林水産省【スマイルケア食の取組について

介護の食の課題|かむ力

介護を受けている方の食事を考えるとき、重要なポイントとなるのが「かむ力」です。
農林水産省の調査によると、65歳以上の在宅療養者における「かむ力」の内訳は以下の通りです。

どんなものでも、 欲しいものをかんで⾷べられる 26.1%
かみにくいものがあるが、 たいていのものは⾷べられる 38.1%
あまりかめないので、 ⾷べ物が限られている 19.0%
ほとんどかめない 4.4%
全くかめず流動⾷ (ミキサー⾷等)を⾷べている 6.2%
⽋損値 6.3%

出典:農林水産省【スマイルケア食の取組について

65歳以上の在宅療養者のうち約3割の方は、咀嚼能力が原因で食事が制限されていることが分かります。

同調査では、かむ力が弱い方はBMIが低くなるという結果も得られました。

介護の食の課題|飲み込む力

介護食を考えるときは、「飲み込む力」も同様に重要なポイントです。
農林水産省の調査では、65歳以上の在宅療養者のうち約5割の方が嚥下に問題を抱えているという結果になりました。

正常範囲 52.7%
軽度問題 20.4%
経⼝問題 8.1%
機会誤嚥 7.0%
⽔分誤嚥 5.0%
⾷物誤嚥 4.0%
唾液誤嚥 2.8%

出典:農林水産省【スマイルケア食の取組について

同調査では、飲み込む力が弱い方はBMIが低くなることも分かりました。

スマイルケア食の分類

スマイルケア食は、食べる力にあわせて「青」「黄」「赤」の色分けがされています。

具体的な分類方法は次の通りです。

番号 対象
かむことに問題がない 飲み込むことに問題がない 食べる量や体重が減少
2 飲み込むことに問題がない かむことに問題がある かまなくていい食品
3 舌でつぶせる食品
4 歯茎でつぶせる食品
5 容易に噛める食品
0 飲み込むことに問題がある そのまま飲み込める性状
1 口の中で少しすりつぶして飲み込める性状
2 少し咀嚼して飲み込める性状

 

スマイルケア食の選び方

スマイルケア食の選び方について、「かむ力」「飲み込む力」の2つのポイントからご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

飲み込むことに問題がある

飲み込むことに問題がある方は、スマイルケア食の「赤」が適しています。
赤のスマイルケア食は、飲み込む力にあわせて3段階に分かれます。

状態 食品例
0 そのまま飲み込める性状 コーヒーゼリー
1 口の中で少しすりつぶして飲み込める性状 牛乳ムース
2 少し咀嚼して飲み込める性状 具のない茶碗蒸し

かむことに問題がある

かむことに問題がある方は、スマイルケア食の「黄」が適しています。

黄のスマイルケア食は、飲み込む力にあわせて4段階に分類されています。

状態 食品例
2 かまなくていい食品 ペーストがゆ
3 舌でつぶせる食品 牛肉のムース
4 歯茎でつぶせる食品 あじのムース
5 容易にかめる食品 卵焼き

 

嚥下食ピラミッドのまとめ

ここまで、嚥下食ピラミッドについてお伝えしてきました。
嚥下食ピラミッドという事柄の要点を以下にまとめます。

  • 嚥下食ピラミッドとは食べる能力にあわせて、すべての食事を段階別に分類したもの
  • 嚥下食ピラミッドの基準は全部で6段階ある
  • 嚥下食ピラミッド以外の食事の分類方法としては、スマイルケア食やユニバーサルデザインフードなどが代表的

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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メディカル・ケア・サービス株式会社

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