せん妄の種類とは?種類別の症状を徹底解説します!

せん妄は、興奮や幻覚が起こるというイメージをお持ちの方が多いでしょう。
しかし、せん妄には3つの種類があり、あらわれる症状はせん妄の種類によって異なります。

本記事では、せん妄の種類や種類ごとの特徴について解説します。

  • せん妄の種類と症状
  • せん妄と認知症のちがい
  • せん妄の原因

ぜひ本記事を最後までお読みください。

目次

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せん妄の種類と症状について

せん妄は、一時的に起こる精神障害です。
せん妄が起こると、意識障害や記憶障害といった認知機能が低下します。

ただし、せん妄にはいくつかの種類があります。
あらわれる症状は、せん妄の種類によってそれぞれ異なります。

せん妄の種類別の特徴や症状を解説します。

過活動型せん妄

過活動型せん妄は、落ち着きがなくなる種類のせん妄です。
具体的な症状は、興奮・大声、幻覚・妄想などです。

過活動型せん妄が起こると、幻覚や妄想を訴えたり、暴力・暴言といった攻撃性が増したりします。
異常な言動が増えるため、家族や周囲の方が戸惑うことも少なくありません。

過活動型せん妄の症状は、認知症の症状とよく似ています。
よって、しばしば認知症と間違われることも多いです。

【具体的な症状】

  • 興奮
  • イライラ・攻撃性
  • 暴力・暴言
  • 幻覚
  • 妄想
  • 不眠

低活動型せん妄

低活動型せん妄は、元気がなくなる種類せん妄です。
低活動型せん妄になると、ぼんやりすることが多くなり、何事にも意欲がわかなくなります。

表情も乏しくなり、話しかけても反応がないこともしばしばです。
また、注意力・思考力の低下も著しく、「今日の日付」や「今いる場所」などの認識が難しくなります。

思考力の低下が重度の場合、家族を認識できなくなる場合もあります。
低活動型せん妄は、うつ病と間違われやすいです。

ただし、過活動型に比べると症状が目立ちにくいため、発見が遅れることが多いです。

【具体的な症状】

  • 意欲の低下・無気力
  • 無表情
  • 思考力・注意力の低下
  • 見当識障害(時間・場所・人間を認識できない)

混合型せん妄

混合型せん妄は過活動型と低活動型が混在する種類です。
具体的には、24時間以内に過活動型と低活動型両方の症状があらわれます。

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せん妄と認知症の違いとは

せん妄と認知症は症状がよく似ているため、間違われることも多いです。
ただし、せん妄と認知症には大きく異なる点が3つあります。

1つ目は、発症の仕方です。
せん妄は急激に発症することがほとんどです。

対して認知症は、いつの間にか発症していたというケースが一般的です。
つまり、せん妄は発症時期を特定できるのに対し、認知症は発症時期が不明確です。

2つ目は、治癒の見込みです。
せん妄は多くの場合、数日~数か月で症状が治まります
根本的な治療方法はないものの、薬物療法や環境調整によって症状の軽減・消失が期待できます。

一方、認知症は進行性の病気であるため、完全な治癒は見込めません。
薬やリハビリによって進行を遅らせることはできますが、一度失われた認知機能の回復は不可能です。

3つ目は、主な症状です。
せん妄では、種類に関わらず意識障害が目立ちます。
意識障害とは具体的に、起きていても半分眠ったような状態になり、ぼんやりすることが多い状態です。

対して認知症では記憶障害が目立ちます。
認知症の記憶障害では、新しい情報の記憶が困難になり、つい最近の出来事を忘れてしまいます。

以上のように、せん妄と認知症には異なる点が3つあります。
ただし、せん妄と認知症は合併することが多いです。

実際に、認知症患者の方のうち、約15%~20%にせん妄が認められています。
あるいは、どちらかの疾患を発症したために、もう一方の疾患に発展することもあります。

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せん妄が起こる原因とは

せん妄が起こる原因は多岐にわたります。
今回は代表的な4つの原因を紹介します。

便秘

実は便秘は、せん妄の代表的な原因の一つです。
便秘でせん妄が起こる理由は、身体的な不快感のためです。

便秘になると、腹部の膨満感や食欲不振などの不調が起こります。
身体的な不調によってストレスがたまると、せん妄の発症リスクが高まります。

実際に、せん妄を起こしている方の便秘が解消された途端、せん妄症状が落ち着いたというケースが報告されています。

高齢者は、筋力の低下や脱水、食事量の減少から便秘になりやすいです。
便秘が重度になると、せん妄のリスクも高まります。

脱水

体内の水分量が減少すると、せん妄が起こりやすくなります。
理由は、脱水により神経伝達がうまくいかなくなるからです。

脱水の原因は、発汗や下痢、嘔吐などです。
高齢の方はのどの渇きを感じるのが遅いため、気づいたときには脱水症状が起こっていたという場合もしばしばです。

脱水状態が慢性化すると、便秘が起こりやすくなります。
前項のとおり、便秘もせん妄の原因の一つであるため注意が必要です。

感染症

感染症がせん妄を引き起こすことがあります。
身体的要因や薬によって意識が混濁する事がきっかけです。
具体的な感染症は、肺炎や敗血症などの重度の疾患から、尿路感染症といった軽度なものまでさまざまです。

感染症自体ではなく、感染症治療のための薬や入院がせん妄を誘発するパターンも見られます。

ストレス

心身のストレスはせん妄の発症原因です。
ストレスとはたとえば、便秘や発熱といった身体的な不快感があります。

あるいは、環境の変化によるストレスも、せん妄の発症に深く関わります。
高齢の方は、新しい環境に適応するのが苦手です。
よって、入院や引っ越しによって住環境が大きく変化すると、ストレスがたまりせん妄に至ることもしばしばです。

薬の副作用

せん妄は薬の副作用としてあらわれることも多いです。
せん妄の原因となる薬は、向精神薬、治療薬、睡眠薬、市販のアレルギー用医薬品などです。

せん妄の原因となりやすいのは、向精神薬です。
向精神薬は脳の伝達物質のバランスを整えることで、気分を安定させる作用があります。

しかし、薬が効きすぎると脳内の情報伝達バランスが崩れてしまい、結果としてせん妄を発症することがあります。

あるいは、長期間服用した薬の中止によって、せん妄があらわれる場合もあります。
いわゆる禁断症状の一種で、離脱症状と呼ばれます。

離脱症状によるせん妄の発症は、アルコールや違法薬物でも起こりえます。

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高齢者のせん妄は注意が必要?

高齢者がせん妄を起こすと、死亡率が上昇します。
せん妄そのものが命に危険をもたらすことは稀です。

ただし、せん妄はなんらかの身体疾患を原因とすることが多いです。
疾患とは、癌や脳卒中、パーキンソン病や認知症などです。

せん妄自体は死に直結しませんが、原因疾患は命に直接的に関係するおそれがあります。
せん妄を放置することで原因疾患の発見が遅れ、気づいたときは手遅れだったということも起こりえます。

あるいは、せん妄によって認知機能が悪化して認知症に至った場合も死亡率が高まります。

さらに、せん妄は転倒リスクを高めることで、死亡リスクを上昇させます。
せん妄になると、意識朦朧や注意力の低下が起こるため、歩行中の転倒が多くなります。

高齢者の転倒は命取りになりやすく、頭部の打撲などによって死亡するおそれがあります。
あるいは骨折などによって寝たきり状態になり、結果として死期が早まる場合もあります。

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せん妄の予防法

せん妄の予防法について解説します。

環境の調整

安心して過ごせる環境を整えます。

理由は、せん妄は何らかの混乱が大きくなった結果、発症することが多いからです。
混乱する原因は、見当識障害や幻覚といった現実を正しく認識できなくなることです。

本人が周囲の状況を認識しやすい環境を整えることで、混乱を防ぎ、結果としてせん妄を予防できます。

具体的には、周囲の積極的な声掛けがあります。
たとえば「ここは病院です」「もうすぐ12時のお昼の時間です」のように、現実認識を促す声掛けが有効です。

見間違いを起こしやすい方なら、部屋の片づけによってせん妄を予防できます。
たとえば壁のシミが虫に見えるなら、シミはきれいに拭き取りましょう。

あわせて照明を明るくし、大きな家具を片付けて部屋の見通しをよくすると、物影での見間違いは起きにくくなります。

睡眠の促進

睡眠不足はせん妄の原因です。
慢性的に睡眠が不足すると、脳の働きが低下するからです。

睡眠リズムを整えることは大切です。
たとえば、夜に不眠気味の方は、昼間に眠気に襲われ、昼夜逆転が起こりやすいです。
昼夜逆転状態が続くと、時間の感覚が狂ってしまうため、混乱してせん妄を発症しやすくなります。

夜間はぐっすり眠れるよう、昼間に身体を動かしましょう。
また、寝具を清潔に保つことも安眠につながります。

便秘解消に効果的な食べ物を食べる

便秘はせん妄の原因の一つであるため、便秘予防・解消に努めましょう。
便秘解消には、食物繊維の多い食べ物が役立ちます。

また、水分を適度に摂ることも、便通をスムーズにするうえで大切です。
あわせて、運動によって筋力を維持することも便秘解消に有効です。

水分をこまめに摂取する

水分補給は、意識障害によるせん妄の発症リスクを低下させます。
高齢者の方はのどの渇きを感じにくいため、時間を決めて定期的に水分補給を行いましょう。

水分補給は、飲み物だけでなく食べ物からでも可能です。
嚥下(えんげ)障害などによって物が飲み込みづらい場合は、とろみをつけると水分を摂りやすくなります。

ストレス解消

せん妄予防には、なるべくストレスを溜めないことが大切です。
寝たきり状態の方は、ずっと同じ姿勢が続くことをストレスに感じやすいです。

ベッドに横になる時間が長い場合は、定期的に姿勢を変えるといった工夫をしましょう。
また、発熱や身体の痛みなどの身体的なストレスもせん妄の原因になりえます。

高齢の方や認知症の方は、自分の体調をうまく伝えられないため、周囲が体調管理に気を配りましょう。

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まとめ:せん妄の種類

ここまでせん妄の種類に関する事柄についてお伝えしてきました。

  • せん妄の種類は、過活動型、低活動型、混合型の3種類
  • せん妄と認知症の違いは、発症の仕方や治癒の見込み、主な症状である
  • せん妄の主な原因は、便秘、脱水、薬、感染症など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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