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トップページ>専門家から学ぶ>達人インタビュー>【専門家インタビュー】資源をロスしない生活習慣形成のための研究

【専門家インタビュー】資源をロスしない生活習慣形成のための研究

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研究内容について

編集部:「天然サンスクリーン剤、ウロカニン酸の皮膚中の含量」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

西岡様:オゾンホールが形成されることで紫外線暴露蝋が増加することが懸念される。長期にわたる紫外線暴露は皮膚癌のリスクを高めるといえる。メラニン色素は強いサンスクリーン剤として働くが,皮膚中の含有量は人(人種)によって差が認められる。ウロカニン酸も人体に含まれている天然のサンスクリーン剤と言われており,紫外線を吸収することで細胞への影響を抑制し,メラニン色素が増加するまでの間働くと推測されている。日焼けをすることで皮膚中のメラニン色素が増加するが,メラニン色素の増加とウロカニン酸量の関係性を検証することで,所謂,日焼け予防の重要性を検討した。その結果,紫外線の暴露初日から3日間は皮膚中のウロカニン酸が増加し,以後減少することが分かった。3日目以降は「日焼け」をしてメラニン色素量が増えることでサンスクリーン剤として働くため,ウロカニン酸量が減少したと推察できた。

編集部:その研究を行った経緯を教えてください。

西岡様:本学が過去に実施していた,オーストラリアでの海外研修の際に,参加学生の日焼けが日本国内での日焼けよりも激しく,メラニン色素の生成量が多いことが推測できた。これは紫外線暴露量が高い事を示し,現地の白人に皮膚癌罹患者が多いことから,メラニン色素が紫外線防御の鍵になると考えた。そこでいわゆる日焼けによってメラニン色素がどの程度形成されれば紫外線防御につながるのかを明らかにすることで皮膚癌の予防につながるのではないかと考えた。しかし,メラニン色素を直接測定することは難しいので,日焼けによる肌色の変化と,サンプル採取が簡単に行える,紫外線の一次防御成分であるウロカニン酸量の変化を知ることで紫外線予防に役立てたいと考えた。

編集部:「タンパク栄養改善への納豆利用の一考察」についての研究成果について教えてください。

西岡様:フィールドワーク場所である東部ロンボクは乳児死亡率が高く,収入はインドネシア内で下から2番目とも言われている地域である。食事摂取状況調査では,たんぱく質摂取量がインドネシアの基準の約50%であることが分かり,たんぱく質の摂取量を増やす事が必要ではないかと考えた。インドネシアでは大豆発酵食品の「テンペ」が食されているが,摂取する際に加熱調理が必要となることから,摂取する際に加熱調理が必要ない「納豆」が利用できれば,燃料の節約につながるのではないかと考え,現地で嗜好調査を行った。嗜好調査の結果,納豆独特の粘りが「悪い(好ましくない)」と評価された。また匂いや食感については日本式の食べ方(タレで食べる)の場合は「やや悪い」と言う評価であったが,サンバル(唐辛子ソース)やニンニク,きなこ,砂糖を加えたものでは「普通」〜「やや好ましい・好ましい」と言う評価が得られ,納豆を受け入れる可能性が示唆された。インドネシアで作られているテンペは加熱時間は納豆よりも短いが,種皮を取り除くため多くの水を必要とする。フィールドワーク場所の東部ロンボク地域は水が少なく,乾期になると生活用水も不足するような状況であることから,納豆を導入することで栄養状態の改善につながる可能性が示唆された。

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今後の目標について

編集部:西岡様の研究における最終的な目標を教えてください。

西岡様:現在我が国は高齢者の割合が増え、医療費が右肩上がりの状態が続いていることから,健康の維持増進につながり、健康寿命の延伸が重要課題と考える。健康の維持増進・健康寿命の延伸には個々人の意識が重要になると考える。そのため、一般の人の意識変革につながるような、誰にでもわかりやすい形で情報発信出来る様な形で研究を進めていきたいと考えている。また、世界的に見ると発展途上国では十分な食事を摂取することが出来ない人がおり、今後世界的な食料不足が懸念されていることから、限られた資源を用いた効率的な食事摂取についても検討を行いたい。特にフードロスとして廃棄される資源の減量化と、資源をロスしない生活習慣の形成につなげることが将来的な目標といえる。

編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

西岡様:2013年のFAOのレポートを受けて、将来的な食料不足への対応が必要と考え、フードロスの減量化とたんぱく質供給源の確保を考え、廃棄食品を用いた食用昆虫の養殖と利用に関する検討を進めたいと考えている。昆虫を将来のたんぱく質源として利用する事はFAOも提唱しているが,実際に昆虫を食すると言うことは「食物新奇性恐怖」の問題を解決する必要があると言えることから,今後は資源を有効に利用するために昆虫を養殖し、多くの人々に食材として認識してもらうため嗜好調査を実施し、昆虫の利用方策について検討を行うとともに,昆虫の栄養価について検討し、食材としての昆虫の価値を普及したいと考えている。

健達ねっとのユーザー様へ一言

健康のとらえ方は人それぞれであると思いますが、健康に関する情報は玉石混交状態で巷にあふれています。健康の維持増進には、まず正しい情報を入手する事が肝心と考えます。正しい情報を入手し、自分に適した方法で無理なく取り組むことが大切と言えます。また、「継続は力なり」と言われているように、健康づくりは短期決戦ではなく長期戦です。息切れしないペースで続けて下さい。

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大阪国際大学人間科学部 人間健康科学 准教授

西岡 ゆかりにしおか ゆかり

管理栄養士
健康運動指導士
自然体験活動指導者

  • 管理栄養士
  • 健康運動指導士
  • 自然体験活動指導者

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