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トップページ>専門家から学ぶ>達人インタビュー>【専門家インタビュー】精神科での認知症ケアに関する研究

【専門家インタビュー】精神科での認知症ケアに関する研究

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研究内容について

編集部:『精神科病棟における認知症の人に対するケアの実態と治療から自立支援への課題』の研究内容とその研究成果について教えてください。

 

溝畑様:歴史的に見た精神科の治療およびケアは薬物療法や隔離・身体拘束が中心であり、本研究結果からも その風潮は強く見られました。非薬物療法では、「寄り添うケア」が中心でした。非薬物療法の視点からのケアにも力を注ぐなかで、看護師たちは、様々な葛藤と向き合い模索しながら認知症患者のケアに当たっている実態がありました。 

また、触れられることの少なくネガティブな意見に地域移行とよばれる課題がありました。一般に身体障がいのリハビリテーションなどでよく見られる入院中の「試験外出」「試験外泊」「地域での仲間づくり」など、それらを通しての本人・家族への指導助言、地域社会への働きかけなども触れられることはありませんでした。こうした現状は認知症の人への治療やケア、そのものの「実践的あり方」が合意確立していないところに原因があると考えられます。

本研究を通して、これから精神看護に求められるのは、非薬物療法に基づくケアに加え、精神看護の専門的知識を活用し、 地域での自立生活につながる家族指導の充実や認知症の人が入院中に家族との関係性を構築して家族介護で相談支援等が実施できるよう、継続的なつながりを持つこと。さらに、地域住民に向けて、認知症の理解や啓発をおこない、認知症の人への理解を広めることからの支援が課題です。今回、精神科病棟において認知症ケアの実態を調査し、全体像が検討できたことは、今まで明らかにされなかった今後の精神科での治療から自立ケアの方向性を導く機会になりました。

 

編集部:その研究を行った経緯を教えてください。

 

溝畑様:増え続ける認知症の人に対する有力な医療資源として精神科があり、その中核としての精神科病棟でどのような医療やケアが提供されているかは極めて重要であります。特に精神科では、BPSDの激しい症状に対する対応策が課題であり、精神科での治療から、そこでおこなわれるケアの実態と自立支援について知る必要があると考え、本研究に至りました。

 

 

編集部:「看護大学生が捉える認知症高齢者の基本的ケア」についての研究成果について教えてください。

溝畑様:人間が健康であるための基本原則として、①水分、②栄養、③運動、④排便(排泄)があります。この4つは互いに関連しており、そして、この4つのケアを通して認知症の改善に向けた自立支援介護の取り組みに注目し、看護を学ぶ大学生に認知症ケアとの関連についてインタビュー調査をしました。その結果、4つの理論的ケアを精神看護場面で実践していくことで認知症改善に向けたケアを展開していける可能性が示唆されました。

 

編集部:溝畑先生が考える本研究の意義を教えてください。

溝畑様:精神科での認知症ケアを考えたときに、精神症状に対する心理面への対応が中心でした。BPSDなどの症状が出現するので精神面のケアは大切ですが、人間の身体は心身相関ですから、心理面に加えて身体面のケアからも認知症改善に向けた取り組みが必要になります。自立支援介護の理論では4つの身体ケアから認知症改善の成果を報告しています。そこで、知識が豊富な看護大学生から認知症の人に対するケアを調査することで精神看護での支援の可能性を発信できると思いました。

 

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今後の目標について

編集部:貴研究室の最終的な目標を教えてください。

溝畑様:精神科に入院する認知症の人が自立して安定して地域生活が送れるように、非薬物療法に基づくケアを発展させることや精神科看護の専門性を生かして認知症の人への理解を広めることが目標です。

 

編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

溝畑様:精神看護場面で自立支援介護の4つの身体ケアから認知症の改善に向けた具体的な研究を進めてみたいと考えています。また、精神科看護師が地域住民に向けて、認知症の理解や啓発をおこなうことの効果などの研究もしてみたいと考えています。

 

健達ねっとのユーザー様へ一言

地域では認知症カフェなど集いの場があります。そこで、介護の不安などを専門家に気軽に相談もできます。地域とのつながりをもち、認知症を正しく理解して、地域で支えあいながら認知症の人が安心して生活できる環境が整えられるように、共に歩んで参りましょう。

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