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トップページ>専門家から学ぶ>ドクターズコラム>【動画あり】2.普段の生活の中でできるアルツハイマーの予防方法について

【動画あり】2.普段の生活の中でできるアルツハイマーの予防方法について

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プロフィール

新井平伊氏

1953年生まれ。
順天堂大学大学院医学研究科修了。
東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年よりアルツクリニック東京院長。
順天堂大学医学部名誉教授。

山本教雄氏

1978年生まれ。
外資系保険会社を経て、2006年10月 メディカル・ケア・サービス株式会社に入社。
2017年代表取締役社長に就任。
学研ホールディングス取締役医療福祉担当。
公益社団法人日本認知症グループホーム協会理事。

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新井先生の動画はこちら

普段の生活の中でできるアルツハイマーの予防方法について

家庭でできるアルツハイマー病の予防について

―山本:今日はお忙しい中ありがとうございます。
普段の生活の中でできるアルツハイマー予防についてお伺いしたいのですが、実際に治療薬ができたと言っても、まずは自分自身が予防の意識を持ったり、早い段階から予防やできることに取り組んだりしていくことが一番の備えでしょうか?

新井先生:それが一番大事だと思いますね。
レカネマブやもっといい薬が出来てもやはりその本人の精神状態と家族なり周囲がどのように支えるか、どういう環境にあるのか、そしてストレスをどう防ぐのかですね。予防的に言うと、そういうのは治療環境が整った上でないと薬の効果は出ません。薬の効果だけではなくて、やはり非薬物療法的なアプローチが予防につながると言えます。
運動と睡眠と食事や生活習慣を治療することです。そのように言われのはやはり当たり前でそれが基本です。
それがあった上での薬物療法です。薬で全部解決するとは思えないですね。

―山本:本来はできるだけ頼りたくないというのが薬なのかもしれないですね。
先生が取組まれていらっしゃる40代からのできるだけ早い段階から予防をしようという活動は、自宅とか家庭でまずこれをやっていくという簡単な予防で取り組みやすいのかと思います。

新井先生:そうですね。日本の場合は特に男性と女性で家族の中で役割分担があります。
男性で言えば仕事ですね。リモートワークよりも会社に出勤するという形態が一番良いと思います。
規則正しく出勤し、体を動かし仕事を継続することは自分の役割を果たすことになり、やりがいをもってする社会活動であり大事なことです。
やはり仕事を継続するというのは一番でそれは女性でも同じです。
家庭にいる女性では家事はとても大事です。
特に料理や炊事、洗濯など頭を使います。
そういう全部頭を使う家事を任されています。
今は男女の区別はないと思うけども、やはり女性の場合は料理など一番いいですね。献立を考えて時間配分を考える。
それは一番複雑なプロセス、作業なのでかなり前頭葉を使うので年配の方でも料理をやるのが一番良いですね。
男女に限らず外で仕事する、仕事はなるべく継続してやる。
家にいる主婦の方であれば家事をするとか、その辺の毎日リズムを保ってというか昼と夜を保って体を動かして、そこに精神的にもやりがいを持つことが一番です。
まずそれで、後は社会参加とかそういう形になるのが一番かな。

―山本:人との交流があり会話がありということですね。

新井先生:そこが人間として一番のアクティビティを保つことですかね。
それに関連してですけど、在宅でもやれることは生活習慣病があればそれをきちんとかかりつけの先生に直してもらうことです。

―山本:血圧を測ることなどですね。

新井先生:そうですね。高脂血症、高血圧、糖尿病この辺ですよね。
あとそれに関連して運動、食事、睡眠の三つですね。
これはエビデンスがあって、運動して有酸素運動を適度に行うとアミロイドβタンパクが溜まらなくなります。
睡眠も寝不足だったり、長すぎたりすると認知症になるリスクが高くなるというエビデンスもあります。

―山本:長すぎもあまり良くないのですね。

新井先生:そうです。食事も生活習慣病に直接かかわります。
あと、最後に僕が思うのはアルツハイマー病にならないことばかり考えていても面白くないので、好きなことを見つけてエンジョイすることです。
うちのアルツクリニックっていうのも、”Active Life with Zeal”っていうことのアルツです。
アルツハイマーのアルツじゃなくてね、Zealって「情熱」という意味で、「情熱的な人生を送るための」クリニックなんですけど、まあ人生を楽しむことをなんか見つける、それが一番大事かなあ。
そういうのを40代50代はお酒だけに頼らず楽しむことです。お酒は気を付けて(笑)

―山本:お酒へのZealが強すぎるとだめですよね(笑)適度にという形で。

パッションを持って自分のやりたいテーマがあって、ワクワクしながらいきいき、そういうものを発見する、そういう生活が重要ということですよね。

たしかに三大疾病なども含めていつも病気の予防のことを考えて、それを避けるためのことばかりをやっていると、やはり楽しみもなく、辛いだけですよね。

新井先生:そうそう。そこはね、担当医が心配すればいいところです。
あまり、せっかく今の元気な時にそればかり意識していると面白みがないですよね。
そういうのを心配するのは僕が心配するから楽しんでくださいといつも言いますけどね。

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新井先生から視聴者のみなさまへメッセージ

―山本:最後に先ほども仰ってましたけど先生の夢というか、認知症の治療がこうなったらいいなあとか、それに備える人や今その状態を迎えている人、一緒に暮らされている人とさまざまいらっしゃると思いますが、最後にみなさんにメッセージをいただけますか。

新井先生:まず、一番目に言うのは認知症になっても人生の終わりじゃないといつも言います。
テレビのドラマや映画で昨日まで仕事をしていた人がアルツハイマー病になると、すぐ1年か2年で車いすになり、その後は車いすで施設入所するみたいなのが多すぎで、実際はそういうものではないと。

―山本:本当に極端な描かれ方がありますね。

新井先生:うん、あれが一番困りますよね。アルツハイマー病というのは発症してから、軽度障害レベルが5〜8、中度と高度障害それぞれ5年、つまり発症してから20年くらいの経過があるわけです。
もっと言うとアルツハイマー病の方は発症する前の20年前からアミロイドが溜まり始め、とすると全部で40年くらいの長い経過を辿ります。そういう認識を持ってもらいたいと思います。
ということはアルツハイマー病になっても、軽度から中等障害の前半までは自立した生活も可能なので、ご家族と一緒に有意義な人生を送ることができます。
だからアルツハイマーに万が一なったとしても、まだまだ人生はエンジョイできることを一番、臨床医としては言いたいところですかね。

今後、レカネマブのような薬ができて、それを発症する前から上手く使えるようになればアルツハイマー病の発症すら防げるという時代を一番願っていますね。
発症はゼロにはならなくても、こういう薬を使うと少なくとも重症化は防げるかなと思います。
そういう時代が来るということは言えると思いますね。
もっと言うとさっき言ったように抗体ではなく抗原を打つ、そういう時代が来ればいいなと思いますけどもそれはなかなか難しい感じかな。

あと、もっと大きな問題は、アルツハイマー病を克服すれば、我々人間が幸せになれるのかということです。
人生をいかに人との交流の中で楽しみながら充実させていくかということが予防にもつながるし、実はアルツハイマー病の克服を目指すと同時に、認知症があってもなくても会社仲間、ご近所、家族などいろいろな人間社会の中で互いに支えあいながら幸福感を味わえるような日々をいかに送れるか、こっちの方が社会のゴールだろうなと思います。

こういう人生の大切さみたいなのは患者さんを通していろいろ教わることですね。
大切なのはそれぞれの人生でそれをみんな大事にして病気、例えばアルツハイマー病を一つのきっかけとして人生を見直すことができて、人間のつながりみたいなのが社会として一つの輪となっていければいいですよね。

―山本:先生、今日はお忙しい中を長時間ありがとうございます。いろいろとお聞きしたいことばかりでした。

―山本:1年2年と進歩していき、結果もさらに出てくると思うので私たちも情報発信をしっかりできるようになりたいと思います。

新井先生:グループホームの運営で一番、一位になっているのだからいっぱい頑張ってください。安心して頂いて。(笑)

―山本:(笑)そうですね。ほんとに今日は長時間のお話をありがとうございました。

新井先生:いえいえ、お世話になりました。ありがとうございました。

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薬の使い方

アルツ・クリニック東京・順天堂大学医学部名誉教授

新井 平伊あらい へいい先生

日本老年精神医学会専門医・指導医
日本精神神経学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医

  • 日本老年精神医学会専門医・指導医
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