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【ドクターズコラム】認知症介護の心強い味方 “ケアマネ”と上手に付き合うために

フラココ舎 看護師

小林 光恵 先生

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ケアマネは、認知症介護において欠かせない存在

「清拭」、「着替え」、「食事」、「薬の内服」。これだけが介護ではありません。

その人の顔色や表情や仕草を観察して、話を聞いたり、背中をさすったり、行動を見守る。その人が何をしたいのか考えを巡らせ、楽しめることを考え出して誘ってみる。室内の環境を整え、運動をうながし、症状や病気について調べる。受診に付き添ったり、ケア用のグッズをお店やネットで探したり、家族・親戚・友達などと連絡したり、相談のための日程調整をする。お金のことを考える。必要書類に記入する……。

その内容は多岐にわたり、状況に応じて考え、行動し、柔軟にケアをします。それが介護です。

認知症の方の介護は、たとえばその人をあちこち探しまわったり、場合によっては警察の協力を得たりすることもあり、それぞれ症状の出方に幅があります。そのため、介護する人は、ときに想定外の事態に遭遇して困惑したり、悩んだり、不安が生じたりする可能性があります。

このような介護者の負担など、さまざまな介護の現実を、介護保険サービスを活用する方向でサポートしてくれるのが、ケアマネージャー。通称“ケアマネ”です。

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介護は、ケアマネで9割が決まる?

あるとき、ベテランの訪問看護師で、訪問看護と訪問介護ステーションの経営もしているKさんが私に言いました。

「介護はケアマネで9割決まりますから」

「え? そうなんですか?」

「そうですよ。現場で多くのケースを見てきた実感。介護の質を決めることになるケアマネ、すごく大事だなっていつも思っていますよ」

「でも、地域包括ケアシステムのもと、医療、介護、福祉関係とかの多職種が連携して関わるわけだから、ケアマネさんだけで介護の内容が左右されるって、ちょっとオーバーじゃないですか?」

「それは、地域包括ケアシステムの現場を知らない人の発想ですね」

私はこの会話をきっかけに、ケアマネの資格や役割を確認し、実際にケアマネさんたちにも取材してみました。そして、Kさんの話に深く納得したのです。

また、それぞれのケアマネに力を発揮してもらうためには、ケアマネとのコミュニケーションを充実させることが大前提だということも見えてきました。

ケアマネージャーとはどんな人たち? まずは知ることが大切

2000年にスタートした介護保険制度のもと、創出された職業が「介護支援専門員(ケアマネージャー)」です。

あれから21年余りが経ったとはいえ、接点がなければ、ケアマネがどんな仕事をする人たちなのか、わからない人は少なくありません。医療者のなかでも、詳しくは知らない人がいるほどです。

そこで今回のコラムでは、ケアマネという資格や、その仕事内容について紹介します。ケアマネと呼ばれる彼・彼女らがどんなことをする人たちなのかを知ることは、今後、介護保険サービスを活用していくうえでのヒントになるはずです。

【ケアマネとは①】介護保険制度において、ケアマネジメントを実施する

ケアマネージャーとは、介護行為自体を支援するのではなく、あくまでも“マネジメント”で支援する仕事です。マネジメントの流れは次のとおりです。

  1. インテーク(初回面接)=介護保険の利用希望者とその家族が、どのような介護サービスを希望するか、面接をする
  2. アセスメント(査定)=どのような介護サービスが必要かを査定する
  3. プランニング(計画)=介護保険が利用できるようサービス計画、個別支援計画を作そのプランがOKなら、利用をスタートする(サービス事業所と契約)
  4. モニタリング(評価)=提供されている介護サービスが適切か否かを、定期的に評価する

【ケアマネとは②】それぞれ多様な基礎資格を持っている

ケアマネージャーの資格を取得するには、都道府県が実施する試験に合格して、2週間程度の実務研修を受講したのち、レポートを提出することが必要です。これをクリアすると資格登録され、介護支援専門員証が交付(5年ごとに更新)されます。

試験の受験資格は、次の通りです。

・介護福祉士 ・社会福祉士 ・精神保健福祉士 ・医師 ・歯科医師 ・薬剤師 ・保健師 ・助産師 ・看護師 ・准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・視能訓練士 ・歯科衛生士 ・言語聴覚士 ・あん摩マッサージ指圧師 ・はり師 ・きゅう師 ・柔道整復師 ・栄養士(管理栄養士含む) ・義肢装具士

これらの資格を有していて、かつ、5年以上の実務経験を有する者となっています。

ケアマネとひと言でいっても、このように基礎資格が実に多様です。つまり、それぞれに違った得意分野を持っています。会話の中で、ケアマネさんに尋ねてみるのもいいでしょう。ちなみに、全体の半数弱のケアマネの基礎資格は、“介護福祉士”のようです。

【ケアマネとは③】所属先別にも分類できる

 あくまでもスタッフサイドの通称ですが、所属先別に、次のように呼ばれることが多いです。

  • ケアマネ=居宅介護支援事業所(ケアプランセンターとも。ケアマネージャーが常駐する在宅介護の相談窓口)に所属するケアマネージャー
  • 施設ケアマネ=特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設など、それぞれの施設に所属するケアマネージャー
  • グルホケアマネ=グループホーム(認知症対応型共同生活介護施設)に所属するケアマネージャー
  • 小多機ケアマネ=小規模多機能居宅介護施設に所属するケアマネージャー

以上、ほんの一面のご紹介ですが、これを知っただけでも親近感を覚えませんか?

職業に関する予備知識を持つことが、ケアマネとのコミュニケーションを充実させ、上手に付き合う第一歩になると思います。

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