秋から冬にかけて流行のピークをむかえる「ウイルス性胃腸炎」。
ウイルスや病原体に感染することで胃腸に不調が現れる、感染性胃腸炎の一種として知られています。
なかには、「ウイルス性胃腸炎の具体的な症状は?」「予防方法が知りたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ウイルス性胃腸炎について以下の点を中心に詳しく解説します。
- ウイルス性胃腸炎の症状と感染経路
- ウイルス性胃腸炎の治療方法
- ウイルス性胃腸炎を予防する方法
ウイルス性胃腸炎にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ウイルス性胃腸炎とは
はじめに、ウイルス性胃腸炎について解説します。
ウイルス性胃腸炎とは、ウイルスへの感染が原因で発生する胃腸炎の総称です。
ノロウイルスやアデノウイルスなどが主な原因ウイルスとされており、ウイルスが好む低温かつ乾燥した環境が整う冬に流行します。
ウイルスが胃腸に入り込むと胃腸内に炎症が起き、腸が異常に働くことによって下痢や嘔吐などの症状が引き起こされます。
感染したウイルスの種類によっては、血便の症状が現れることもあります。
特に、免疫力が弱い子どもや高齢者がウイルスに感染すると、重度の脱水症状が現れる場合もあるため注意が必要です。
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ウイルス性胃腸炎の症状
次に、ウイルス性胃腸炎の症状について、以下の4つをご紹介します。
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐や吐き気
- 発熱
ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスは複数ありますが、どのウイルスに感染しても共通した症状が現れるといわれています。
ウイルスが流行する冬場に、この中に当てはまる症状がみられる場合は、医療機関の受診を検討してください。
腹痛
ウイルス性胃腸炎の症状の1つ目は「腹痛」です。
ウイルスによって胃腸内に炎症が起きるため、腹部全体の痛みやお腹が張るなどの不快感が現れます。
腹痛の程度には個人差があり、起き上がれないほどの激痛や少し違和感を覚えるほどの痛みなど、さまざまです。
腹痛の症状は比較的早く治まるため、その後ほかの症状が現れない場合にはウイルス性胃腸炎の感染に気づけないこともあります。
知らないうちに感染を拡大させてしまう恐れもあるので、冬場の腹痛には注意が必要です。
下痢
2つ目は「下痢」です。
下痢はウイルス性胃腸炎にみられる典型的な症状で、多くの感染ケースで下痢の症状が報告されています。
子どもの感染では下痢の症状がみられない場合があるものの、成人の感染では高い確率で下痢を発症します。
水分を多く含む下痢便が1日に何度も現れ、長い場合で1週間程度症状が続くのが特徴です。
ひどい下痢が続く場合は、ウイルス性胃腸炎に感染している可能性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう。
嘔吐や吐き気
3つ目は「嘔吐や吐き気」です。
嘔吐や吐き気は、下痢と同様によくみられる症状で、1日に何度も強い症状が現れます。
小さな子どもの場合は、下痢より先に嘔吐の症状が現れるケースも多いといわれています。
通常、嘔吐は1~2日程度で治まるとされていますが、1日に何度も嘔吐することで体内の水分が失われて脱水症状を引き起こす危険性もあります。
特に、体内の水分量が少ない幼児や高齢者は脱水状態になりやすいため、日頃の感染予防が大切です。
発熱
4つ目は「発熱」です。
発熱は、原因となるウイルスの種類によって発症の有無が分かれます。
ロタウイルスに感染すると多くの場合は発熱を伴いますが、そのほかのウイルス感染では発熱が起こるケースは少ないとされています。
ロタウイルスを原因とする場合では、38℃以上の高熱が初期症状として現れますが、半日〜1日程度で治まる場合がほとんどです。
しかし、そのあとに下痢や嘔吐などの症状が現れるケースもあるため、熱が下がったあとの体調の変化には注意しましょう。
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ウイルス性胃腸炎の原因
ここでは、ウイルス性胃腸炎の原因について解説します。
ウイルス性胃腸炎を引き起こす主な原因ウイルスは、以下の3つです。
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
すべてのウイルスに共通するのは、感染力の強さです。
ノロウイルスによる感染症は1年をとおして発生していますが、空気が乾燥する冬場には、ほかのウイルスと同様に猛威をふるいます。
手指や食品、咳やくしゃみなど、感染経路がさまざまなため、気づかないうちに感染したり感染を広げてしまいます。
冬にはウイルスが活発になることを理解し、マスクの着用や丁寧な手洗い消毒で感染を予防しましょう。
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ウイルス性胃腸炎の感染経路
次に、ウイルス性胃腸炎の感染経路について、以下の3つをご紹介します。
- 経口感染
- 飛沫感染
- 接触感染
ウイルス性胃腸炎の感染経路は日常に潜んでいるため、ウイルスが流行する時季には注意が必要です。
身近にある感染経路を把握し、感染予防や二次感染予防を徹底しましょう。
経口感染
感染経路の1つ目は「経口感染」です。
ウイルスに汚染された食品を生や加熱不十分で口にした場合、感染者が触れた食品を食べた場合などに発生します。
特に、カキや二枚貝、魚介類などの摂取が原因で感染したケースが多く報告されています。
また、感染者の排泄物や嘔吐物が手指を介して口に入る「糞口感染」も、経口感染の1つです。
調理前やトイレ使用後の手洗い、食品管理などを適切に行って口からの感染を予防しましょう。
飛沫感染
2つ目は「飛沫感染」です。
飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみを介して、唾液に含まれるウイルスが体内に直接取り込まれることで発生します。
特に、咳やくしゃみのエチケットを知らない子どもが集まる保育園や幼稚園などでは、感染リスクが高まります。
また、声を発するだけでも唾液は飛散するため、ウイルスが流行する冬場には至近距離で会話するだけで感染するリスクも。
咳やくしゃみのエチケットを徹底したりマスクを着用したりして、飛沫感染のリスクを抑えましょう。
接触感染
3つ目は「接触感染」です。
接触感染は、感染者の皮膚や粘膜と直接接触したり、衣服や物を介して最終的に粘膜や口からウイルスが侵入したりすることで発生します。
プールや温泉での接触、ドアノブや手すりに触れた手で目や口を触ってしまうなど、日常的な行動が感染の原因となってしまいます。
そのため、よく触れる場所はこまめに消毒する、タオルは感染者と別の物を使うなど、日常生活のなかに予防を取り入れることが大切です。
ウイルス性胃腸炎がうつる期間は?
次に、ウイルス性胃腸炎がうつる期間について解説します。
ウイルス性胃腸炎に感染すると、ウイルスの潜伏期間からウイルスが完全に排出されるまで、感染を広げてしまう可能性があります。
原因となるウイルスによって多少の差異はありますが、ウイルスの潜伏期間は1~10日程度とされています。
また、下痢や嘔吐などの症状が治まってもウイルスは体内に生息しており、完全に排出されるまでは4週間程度かかります。
症状の自覚がない時期こそまわりの人へ感染を広げるリスクが高まるため、症状が治まっても油断は禁物です。
ウイルス性胃腸炎に感染した際は、体内に長時間滞在するウイルスの習性を意識し、二次感染予防に努めましょう。
ウイルス性胃腸炎になったら何日休むべき?
ここでは、ウイルス性胃腸炎に感染した際の休養期間について解説します。
ウイルス性胃腸炎には明確な出席停止期間はないものの、二次感染を防止する観点から一定期間の自宅待機が推奨されています。
一般的には、下痢や嘔吐などの症状が治まれば保育園への登園や職場への復帰が可能です。
ウイルス性胃腸炎は、軽度であれば発症から3~4日程度で体調が回復するため、数日間の自宅待機が適切といえます。
しかし、保育園や学校、会社によってルールが異なるため、心配な場合は問いあわせてみるとよいでしょう。
また、症状が治まってから4週間程度は体内にウイルスが留まるとされるため、復帰後も徹底的な二次感染予防が必要です。
ウイルス性胃腸炎の治療方法
次に、ウイルス性胃腸炎の治療方法について、以下の2つをご紹介します。
- 薬物療法
- 食事療法
ウイルス性胃腸炎に特効薬はないため、薬で症状を和らげる対症療法と適切な食事で栄養を補給する治療が基本です。
治療は医師の判断に基づいて行われるため、ウイルス性胃腸炎の疑いがある場合は、まず医療機関を受診しましょう。
薬物療法
ウイルス性胃腸炎の治療方法1つ目は「薬物療法」です。
ウイルスを殺したり、体外への排出を直接的に促したりする治療は施されず、下痢や嘔吐などの症状を和らげるための薬のみが処方されます。
また、重度の下痢や嘔吐によって脱水症状が現れている場合には、点滴での脱水対策が行われることも。
なお、市販の下痢止めや吐き気止めはウイルスを体外へ排出する動きを弱めてしまうため、自己判断での服用は控えましょう。
食事療法
2つ目は「食事療法」です。
ウイルス性胃腸炎に感染した際は、まずは胃腸を休めましょう。
脱水症状を防止するために水分補給は不可欠ですが、無理に水を飲むと胃腸が刺激された反動で吐き気や下痢がひどくなるケースもあります。
まずは、少量の水分補給をこまめに行い、OS-1などの電解質を含んだ経口補水液で徐々に栄養を補給していきましょう。
下痢や嘔吐の症状が落ち着いたら、お粥やゼリー、フルーツなどの刺激が少ない食べ物を摂取し、体調の回復を待ちます。
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ウイルス性胃腸炎を早く治す方法は?
ここでは、ウイルス性胃腸炎を早く治す方法について解説します。
ウイルス性胃腸炎の早期回復には、十分な休息と水分補給が重要です。
軽度のウイルス性胃腸炎であれば、胃腸を休めるだけで回復する場合もあるため、自己判断での薬の服用や無理な食事を控えて安静にしましょう。
また、十分な水分補給は脱水症状の予防のみならず、ウイルスを体外へ排出する働きを促してくれます。
ただし、水分だけでは回復に必要な栄養素は得られないため、経口補水液や飴などで少しずつ塩分と糖分も摂取するとよいでしょう。
無理な治療をせず、ゆっくりと休んで回復を待つことが早期回復への近道といえます。
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ウイルス性胃腸炎の予防方法
最後に、ウイルス性胃腸炎の予防方法について、以下の4つをご紹介します。
- こまめに手洗いを行う
- 排泄物や嘔吐物を適切に処理する
- 正しい消毒殺菌を行う
- 食材や調理器具を適切に扱う
日常生活のなかに取り入れられる予防方法なので、日頃から感染予防を徹底して、ウイルス性胃腸炎が流行する冬に備えましょう。
①こまめに手洗いを行う
ウイルス性胃腸炎の予防方法1つ目は「こまめに手洗いを行うこと」です。
ウイルス性胃腸炎は、手指に付着したウイルスが口や粘膜から体内に入り込むことで発生するケースが多いといわれています。
そのため、調理前やトイレの使用後、帰宅後などにこまめな手洗いを行うことで、手指を媒体とする感染リスクは下げられます。
なお、ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスは、アルコール消毒だけでは死滅しないため、石鹸と流水での手洗いが必要です。
排泄物や嘔吐物を適切に処理する
2つ目は「排泄物や嘔吐物を適切に処理すること」です。
感染者の排泄物や嘔吐物を処理する際は、以下の3点を意識しましょう。
- すばやく処理する
- 乾燥させない
- 消毒する
排泄物や嘔吐物に含まれるウイルスは、乾燥するとホコリと一緒に舞い上がり、空気感染の原因にもなります。
そのため、排泄物や嘔吐物が乾燥する前にすばやく処理を行うことが大切です。
処理が終わったあとは、床や周囲の物を丁寧に消毒し、流水と石鹸で丁寧に手洗いを行いましょう。
正しい消毒殺菌を行う
3つ目は「正しい消毒殺菌を行うこと」です。
ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスはアルコールへの耐性が強いため、消毒には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を使用しましょう。
ドアノブやテーブル、水道の蛇口など、普段から触れる機会の多い場所は入念な消毒が重要です。
なお、次亜塩素酸ナトリウムは手荒れを引き起こす可能性もあるため、使用の際は必ずゴム手袋を着用してください。
食材や調理器具を適切に扱う
4つ目は「食材や調理器具を適切に扱うこと」です。
ウイルス性胃腸炎の原因となりやすいカキや二枚貝は、湯どおし程度ではなく、中心部まで十分に加熱しましょう。
具体的には、85℃〜90℃の熱湯で90秒間以上加熱すると効果的とされています。
また、カキや二枚貝の調理に使用した器具は、通常の洗浄後に熱湯消毒を行いましょう。
野菜や果物などにも、なんらかの理由でウイルスが付着している可能性もあるため、すべての食材に対して注意が必要です。
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ウイルス性胃腸炎の症状が現れた場合は、医療機関を受診しよう
ここまで、ウイルス性胃腸炎についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- ウイルス性胃腸炎は、汚染された食べ物や感染者の排泄物などを介して感染を広げ、感染すると下痢や嘔吐、発熱などの症状が引き起こされる
- ウイルス性胃腸炎に特効薬はないため、下痢や嘔吐などの症状を和らげる薬の処方や、食事で栄養をコントロールする食事療法が施される
- ウイルス性胃腸炎の予防には、こまめな手洗い消毒や適切な食品管理、感染者の排泄物や嘔吐物を正しく処理することが重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。