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見られることの大切さ

ワンポイントケア その17

 

介護は、それを必要とする人と介護者との間で行われる一対一の営みです。

介護施設などでは一人の職員がそれぞれ複数の利用者と関わることになりますから、職員どうしお互いの介護をつぶさに見るのは難しい状況があります。

他者の目が届きにくいからといって、介護が雑になるようなことはありませんが、他の職員との比較ができないため、自分なりの、言わば我流の介護技術が習慣化してしまう恐れもあるのが介護の現場です。

多くの施設では、研修の機会を確保して、職員の介護技術向上に努めているところではありますが、コロナ禍以降は、対面で、かつ多施設合同での技術研修は減っているようです。

 

一方、どんなに素晴らしい研修を受講したとしても、それを現場で活かさなければ意味がありませんので、研修の受講がイコール介護技術、ひいては施設全体の介護の質向上とは簡単にいかないのも現実です。

介護に限らずですが技術向上の近道があるとすれば、それは“他者に見られる”ことです。誰かに見られているだけで、自分の言葉使いや、介護所作一つひとつをいつもより少しだけ意識します。

改めるべき言葉遣いや、介護者ペースの慎重さを欠いた介護は、実は介護者本人が薄々気づいていることです。だから誰かに見られることで、その言葉や所作は自然に抑制されやすいのです。

逆に、自信のあるコミュニケーションや介護技術だけが全面に出てきますので、その言葉遣いや介護技術は他者に見られるほどに洗練されていきます。

洗練され、それが意識せずとも出てくるようになったものが本当の技術です。当たり前すぎて技術とも感じなくなるもの、それを技術と言うのでしょう。

 

忙しい介護現場ではありますが、特別な研修を設けなくとも職員それぞれが持つ介護技術がしっかりと活かされるのであれば、そんな良いことはありません。

誰かに見られる、簡単なようですが、その場面は作ろうとしなければ作れません。研修の以前にそのような場を作ることから始めてみてはいかがでしょうか。

さらに、自分の介護を映像に撮って、後で振り返って見ると、さらに普段の介護を良い方向に変える多くの気づきが得られますので次回紹介します。

 

他者に見られていると言葉遣いを意識する、自信のある介助を堂々と行う

 

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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