1. なぜ1月20日が「血栓予防の日」?
1月20日は「大寒(だいかん)」にあたることが多く、1年で最も寒い時期です。気温が下がると、私たちの体は体温を逃がさないように血管を収縮させます。また、冬場は夏に比べて水分補給がおろそかになりがちで、血液がドロドロになりやすい環境が整ってしまいます。
こうした背景から、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)への予防意識を高めるために制定されたのが「血栓予防の日」です。
2. 血栓ができる仕組みと脳梗塞
血栓とは何か
血栓とは、血管の中で血液が固まってできた「血の塊」のことです。本来、血液が固まる機能は怪我をした際に出血を止めるために重要ですが、血管の中で固まってしまうと、血液の流れをせき止め、酸素や栄養が臓器に届かなくなってしまいます。
脳梗塞と脳卒中の違い
脳の血管が詰まったり破れたりする病気の総称を「脳卒中」と言い、その中でも血管が詰まるタイプを「脳梗塞」と呼びます。 血栓が脳の血管を塞いでしまうと、その先の脳細胞が壊死し、麻痺や言語障害などの後遺症、最悪の場合は命に関わります。
3. 脳梗塞の3つのタイプと原因
脳梗塞は、血栓のでき方や原因によって主に3つのタイプに分類されます。
- ラクナ梗塞:脳の細い血管が詰まるタイプ
- アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化によって太い血管に血栓ができるタイプ
- 心原性脳塞栓症:心臓にできた血栓が血流に乗って脳に飛び、血管を塞ぐタイプ
特に注意が必要なのが、心臓の不整脈(心房細動)が原因となる「心原性脳塞栓症」です。これは突然大きな発作を起こしやすく、重症化しやすい特徴があります。
4. 命を守るサイン「FAST」と前兆症状

脳梗塞は突然発症するように見えますが、実は前兆がある場合があります。「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれ、一時的に血流が悪くなることで症状が出ますが、短時間で消えるため見逃されがちです。
早期発見の合言葉「FAST」
- Face(顔):片側の顔が歪む、うまく笑えない
- Arm(腕):片腕に力が入らない、持ち上げられない
- Speech(言葉):言葉が出てこない、ろれつが回らない
- Time(時間):発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ
また、急に場所がわからなくなったり、日付がわからなくなったりする「見当識障害」が起こることもあります。これらのサインを見逃さず、すぐに受診することが重要です。
- 脳梗塞の前兆は?各種症状、受診の目安、早期発見の重要性について
- 脳梗塞の4つの前兆症状|疑いのある症状とチェックリストを説明
- 脳梗塞となる原因は?予防方法や自覚症状についても説明
- 脳梗塞で見当識障害が起こる?関係性や治療法まで解説
5. 血栓を作らせない!食事と生活習慣

血栓予防の鍵は、「血液をサラサラに保つこと」と「血管を傷つけないこと」です。
食事療法のポイント
塩分の摂りすぎは高血圧を招き、血管を傷つけます。また、糖質や脂質の摂りすぎは血液の粘度を高めます。
- おすすめ食品:青魚(DHA/EPA)、納豆(ナットウキナーゼ)、野菜、海藻類
- 控えるべき食品:塩辛いもの、加工肉、トランス脂肪酸を多く含むもの、過度なアルコール
水分補給を忘れずに
冬場は汗をかかないため水分摂取が減りがちですが、暖房による乾燥で体内の水分は奪われています。こまめな水分補給が血栓予防の第一歩です。
6. 治療、リハビリ、そして認知症リスク
万が一脳梗塞を発症した場合、t-PA(血栓溶解療法)などの急性期治療が行われます。その後は、後遺症の回復を目指してリハビリテーションが始まります。
入院期間は症状によりますが、リハビリは退院後も続く長期戦となることが一般的です。 また、脳梗塞は「血管性認知症」の直接的な原因となります。小さな脳梗塞が多発することで、段階的に認知機能が低下していくケースもあるため、発症後のケアと再発予防は極めて重要です。
- 脳梗塞は治るのか?脳梗塞の危険因子や後遺症やリハビリまでを解説!
- 脳梗塞で用いられる治療方法と後遺症の種類・リハビリ方法を説明
- 脳梗塞の入院期間はどれくらい?平均の入院期間、リバビリなどについて解説
- 脳梗塞の後遺症にはなにがある?リハビリ方法と予防法をご紹介
- 適切なリハビリで脳梗塞を回復!周囲がとるべき行動も徹底解説!
脳梗塞と認知症の関係
7. まとめ:再発を防ぐために
脳梗塞は一度発症すると、再発しやすい病気です。 「血栓予防の日」を機に、ご自身やご家族の生活習慣を見直してみませんか? 禁煙、節酒、減塩、そして適度な運動。当たり前のことですが、これらを継続することが血管を守り、健康寿命を延ばすことにつながります。
もし「言葉が出にくい」「片手がしびれる」といった違和感を感じたら、様子を見ずにすぐに医療機関を受診してください。その判断が、未来の笑顔を守ります。










