- 「最近、枕につく抜け毛が急に増えた」
- 「年齢のせいだと思っていたけれど、円形脱毛症ができてしまった」
中高年になると、髪のボリュームダウンは自然な老化現象として捉えられがちです。
しかし、急激な抜け毛や地肌が見えるほどの脱毛は、単なる加齢ではなく「過度なストレス」が引き金になっている可能性があります。
特に50代・60代以降は、親の介護、自身の健康不安、定年後の環境変化など、若年層とは異なる種類の重圧がかかりやすい時期です。
本記事では、中高年のストレスによる脱毛のメカニズム、病気が隠れている可能性のある脱毛の見分け方、そして日常生活でできる対策について解説します。
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なぜ中高年はストレスで髪が抜けるのか?医学的メカニズム

「ストレスでハゲる」とよく言われますが、これには科学的な根拠があります。
特に中高年の体では、以下のメカニズムが強く影響します。
① ストレスホルモン「コルチゾール」が毛根の働きを止める
近年の研究により、慢性的なストレスを受けると副腎から分泌される「コルチゾール(ストレスホルモン)」が、毛包(毛を作る工場)にある幹細胞の働きを抑制してしまうことが明らかになっています。
通常、毛包幹細胞は発毛に必要な因子を出しますが、ストレス下ではこの機能が停止し、髪が成長期から強制的に「休止期」へと移行してしまいます。
米ハーバード大学の研究チームは、ストレスホルモン(コルチゾール)が毛包幹細胞の活性化を抑制し、発毛を妨げるメカニズムを解明しました。(Nature 2021年掲載)
② 血管の老化と自律神経の乱れによる血流不足
ストレスを感じると交感神経が優位になり、血管が収縮します。
中高年の場合、加齢により毛細血管そのものが減少・硬化(ゴースト血管化)していることが多く、そこにストレスによる収縮が加わることで、頭皮への栄養供給が著しく滞ります。
栄養が届かなければ、髪は育たずに抜け落ちてしまいます。
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
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「加齢」と「ストレス」による脱毛の見分け方

「歳のせいだから仕方ない」と諦める前に、抜け毛の状態をチェックしてみましょう。
以下のような特徴がある場合は、ストレスや病気が原因の可能性があります。
| チェック項目 | 加齢による自然な脱毛 | ストレス・病気による脱毛(要注意) |
|---|---|---|
| 抜けるスピード | 数年かけて徐々に薄くなる | 数週間〜数ヶ月で急激に増える |
| 抜け毛の量 | 洗髪時に数十本程度 | 排水溝が詰まるほどごっそり抜ける |
| 抜ける場所 | 全体的にボリュームが減る | 生え際や頭頂部が薄くなる 一箇所が円形に抜ける 全体が均一にスカスカになる |
| 毛根の状態 | 丸く膨らんでいる(こん棒状) | 毛根が細い、いびつ、黒い |
特に、「毛根が萎縮している(マッチ棒のような膨らみがない)」「毛根が黒い」抜け毛が多い場合は、成長途中で抜けてしまった異常脱毛のサインです。
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
中高年に多いストレス脱毛の種類
ストレスが引き金となって起こる脱毛には、いくつかのパターンがあります。
円形脱毛症(自己免疫疾患)
突然、コインのような円形の脱毛斑ができる病気です。
「ストレスが直接の原因」というよりも、ストレスをきっかけに免疫機能が誤作動を起こし、自分の毛根を攻撃してしまう(自己免疫疾患)と考えられています。
高齢者の場合、アトピー素因や甲状腺疾患を持っていると発症リスクが高まります。
ストレスの溜めすぎはよくないといわれています。しかし、ストレスがどんな問題を引き起こすのか、詳しく知らないという方も多いでしょう。自分のストレスがどの程度なのかチェックする方法があれば、健康維持に役立ちますよね。今回はストレ[…]
休止期脱毛症(ショックロス)
強いストレスや高熱、手術、急激な体重減少などの身体的負担があった数ヶ月後に、髪全体が薄くなる症状です。
成長期にある髪が一気に「休止期」に入ってしまうため、ブラッシングやシャンプーのたびに大量に抜けるのが特徴です。
中高年の場合、配偶者との死別や、自身の入院などがトリガーになることがあります。
びまん性脱毛症・FAGA(女性男性型脱毛症)の悪化
加齢により女性ホルモン(エストロゲン)が減少して起こる薄毛ですが、ストレスによるホルモンバランスの乱れが加わることで、進行が加速します。
髪の分け目が広がる、全体的に髪が細くなるといった症状が見られます。
皮膚科で行う主な治療法
異常な抜け毛を感じたら、まずは皮膚科を受診しましょう。
中高年の場合、甲状腺機能低下症などの内科的疾患が原因である可能性もあるため、血液検査などで原因を特定することが重要です。
- ステロイド外用薬・局所注射: 円形脱毛症の炎症を抑えるために使用します。
- 局所免疫療法: 難治性の円形脱毛症に対し、あえて頭皮にかぶれを起こして発毛を促す治療です。
- 内服薬・外用薬(ミノキシジル等): 血流を改善し、発毛因子を産生させる薬です(※AGA/FAGA治療の場合は自費診療となることが多いです)。
今日からできる!中高年のための育毛・ストレス対策

医療機関での治療と並行して、生活習慣を見直すことで回復を早めることができます。
① 「タンパク質」と「亜鉛」を意識的に摂る
高齢になると食が細くなり、髪の原料となるタンパク質が不足しがちです。
- 肉、魚、大豆製品、卵を毎食取り入れる。
- 髪の合成に必要な「亜鉛」(牡蠣、レバー、ナッツ類)を摂取する。
② 睡眠の「質」を高める
加齢とともに睡眠時間は短くなりがちですが、髪の成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。
- 日中に散歩などで日光を浴び、セロトニンを分泌させる。
- 就寝前の入浴で体を温め、副交感神経(リラックス)を優位にする。
③ 頭皮のマッサージと優しい洗髪
乾燥しがちな中高年の頭皮には、洗浄力の強すぎるシャンプーはNGです。
アミノ酸系などの優しいシャンプーを使い、血行を促進するために優しく頭皮をマッサージしましょう。
「介護うつ」を防ぐことが髪を守る

中高年にとって最大のストレッサーの一つが「介護」です。
終わりの見えない介護生活による慢性的なストレスは、自律神経を乱し、脱毛だけでなく心身の健康を蝕みます。
脱毛は体からの「これ以上無理をしないで」というSOSサインかもしれません。
- ケアマネジャーに相談する: デイサービスやショートステイを積極的に利用し、介護から離れる時間を作る。
- 孤立しない: 家族や友人に愚痴を聞いてもらう、地域のコミュニティに参加するなど、「ソーシャルサポート」を活用する。
ご自身の心を守ることは、結果として髪や身体の健康を守ることにつながります。
まとめ
中高年の脱毛は、加齢だけでなく、介護疲れや環境の変化によるストレスが大きく関わっている場合があります。
- 急激な抜け毛や円形脱毛は、皮膚科を受診する。
- タンパク質摂取や睡眠など、生活習慣を見直す。
- 介護などのストレスを一人で抱え込まず、外部のサポートを利用する。
髪の悩みは精神的な落ち込みに繋がりやすいものですが、適切な治療とケアで改善が見込める症状も多くあります。一人で悩まず、専門家に相談することから始めましょう。








