ワンポイントケア その22
ベッドから起き上がる動作は、トイレや食事など何らかの生活動作を始めるにあたっては必須のものです。
起き上がりの動作を自立して行えるか否かは生活意欲にも大きく影響します。
したがって、リハビリや介護、看護でかかわる上でも起き上がり動作の自立、あるいは少しでもご自身で行っていただけるよう、目標の一つとして掲げられることも多いです。
もちろん、高齢者など本人も起きたい時に起き上がれるという状況が、何よりストレスなく生活できますので、起き上がり動作に対するリハビリには積極的な人も多いように思います。
ところで、起き上がる動作の反対は「寝る動き」なのですが、こちらについては意外にも安易に介助されていたり、かかわる職員などもまた安易に介助で寝かせてしまいやすいようです。
前回のコラムで着座を例にして、見えない方向に体を移動させるのは恐ろしいということに触れたのですが、寝る動きも同様で座った姿勢から枕の方へ体を(斜め)後ろに倒していく動きは、見えない方向への体の移動です。
体の機能が衰えてきた高齢者にとっては勇気のいる動きにもなります、また、介助者からすると後方への転倒は避けたいものです。
両者にとっての何気ない恐怖感は、何気ない介助として当たり前のように行われるという状況が作られてしまいます。
起きたい時に起き上がれることがストレスなく生活するのに大切なのであれば、寝た時に寝られるのもまた大切なはずです。
自由に動ける選択肢を増やすためにも寝る動きも一人で行う意識をもっていただくと良いでしょう。
そのために行うことは簡単です。
見えない方向への移動が恐ろしいのですから、寝る動きを見える方向への移動に変えてしまえば良いのです。
それには、枕を見る動きからスタートします。
寝る動きが自立している人と介助を必要としている人の違いを観察すると、「枕を見る」に大きな差があることがわかります。
たとえ介助が必要であったとしても、枕を見るくらいは誰でもできます。しかし枕を見ることでスッと体が寝る動きへと進み始めますから、本人にとっての心理的負担、介護者にとっての介助負担も当然軽減します。
起き上がり動作と寝ていく動作はセットで捉えてかかわると、生活動作の活性化にも効果的です。







