あらすじ
徘徊する父の介護のため、会社を辞めて故郷に帰ってきた息子・正岡秀清。
痴呆症が進行する父・秀臣の介護に奮闘する日々が始まる。
かつてのエリートサラリーマンが介護を通して、忘れかけていた親子の絆を取り戻していく家族再生の物語。
柴田恭兵演じる息子が、痴呆症の父親役を演じる財津一郎とともに、介護の現実と家族の愛を描く。
「釣りバカ日誌」シリーズの栗山富夫監督が老人介護の問題に取り組んだ「ホーム・スイートホーム」の第2弾。
特徴・見どころ
前作『ホーム・スイートホーム』で、介護を巡る家族の崩壊と再生を温かく描いた栗山富夫監督が、再びメガホンを取った待望の続編です。
本作『ホーム・スイートホーム2 日傘の来た道』が焦点を当てるのは、さらに深刻さを増す「認知症の徘徊」と、働き盛りの息子が直面する「介護離職」という現実です。
「親の介護のために、仕事を辞めるべきか、続けるべきか」。
現代の多くのビジネスパーソンが抱えるこの究極の選択を、ドラマチックに、そして痛いほどリアルに描き出しています。
エリートサラリーマンの決断と、在宅介護の壁
物語の主人公は、東京でエリートサラリーマンとして働く息子(柴田恭兵)です。
彼は、故郷で一人暮らしをする父(財津一郎)の認知症が悪化したことを知り、悩み抜いた末に会社を辞め、実家に戻ることを決意します。
しかし、彼を待っていたのは、想像を絶する在宅介護の過酷な現実でした。
昼夜を問わず外へ出ようとする父。
かつての威厳ある父の姿はそこにはなく、排泄の失敗や意味不明な言動が繰り返されます。
「自分が面倒を見る」という息子の覚悟は、終わりのない介護による睡眠不足と精神的な疲労によって、またたく間に揺らぎ始めます。
柴田恭兵さんと財津一郎さんという二人の名優が演じる、親子だからこそ遠慮なくぶつかり合い、傷つけ合う姿は、介護経験者ならずとも胸を締め付けられるほどのリアリティがあります。
「日傘」が繋ぐ、父の記憶と親子の絆
本作のサブタイトルにある「日傘」には、父がどうしても忘れることのできなかった、ある大切な記憶が込められています。
認知症は多くの記憶を奪いますが、同時に、息子が知らなかった父の愛情や、過去の真実を浮き彫りにすることもあります。
介護という壮絶な時間を通して、すれ違っていた親子の心が再び寄り添っていく過程は、涙なしには見られません。
また、本作は認知症の方が施設に入るタイミングについても、家族の葛藤を通して深く問いかけます。
「施設に入れるのは親不孝なのか?」。
限界まで頑張ってしまった息子が、周囲の助けを借りて辿り着く答え。
それは、家族の絆とは「犠牲」の上に成り立つものではなく、互いが笑顔でいるためにあるのだという、温かいメッセージです。
介護と仕事の両立、そして親の老いとどう向き合うか。
すべての世代にとっての「道しるべ」となるような、深い感動と示唆に富んだ名作です。









