立っているだけ

大堀 具視
大堀 具視作業療法士 / 株式会社Start movement代表

ワンポイントリハビリ その16

 

椅子などに座ってテレビを見たり、誰かと会話を楽しんだりしていると、あっという間にかなりの時間が経過していたりします。

また、ぼーっとしている間にかなりの時間が過ぎているという経験がある方も多いと思います。座っていること自体を意識する必要はないので、テレビや会話に没頭できるからです。

一方で、じっと立っている状態を長く続けるのは大変苦痛が伴います。それは単純に、倒れないようにバランスを取るための筋肉を多く使う必要があるからです。

何もせずに立ち続けると1分間、いや30秒でも時間がとても長く感じます。座っている時には、特に意識しなかった体の揺れ、筋肉の疲れや強張り、関節にかかる自分の体重を感じます。

立っているという姿勢を維持するのは、改めて難しい作業だと気付かされるはずです。杖をついて歩くことは可能なのに、立っている姿勢を維持するのは難しい高齢者もいるくらいです。

 

転ばない体を作るために、下肢の筋力を鍛えたり、様々な体操や歩行訓練が行われます。

しかし、人は何かをしているときはその活動そのものに意識が向いていますので、その姿勢を維持することは無意識になされています。

つまり、立って体操をしていてもどうやってバランスをとっているのかという体の制御そのものを意識することはありません。

じっと立っている、ただそれだけをやってみると、前後左右への体の揺れを感じるのはもちろん、それを制御するために頭や、手足の筋肉や関節の微妙な動きで保とうとしているのを感じることができます。

自分の体と向き合い、自分の体を知る絶好の機会となるのです。

 

経験上、1分もじっと立っていられる人は相当なバランス能力を有しています。

したがって、30秒でも10秒でもじっと立っているという時間を作ってみると、それだけでも相当なバランス練習になります。

立っているだけは、つまらない活動でモチベーションは上がりにくい練習です。

でも、1日10秒からなら手軽に始められると思いますので、20秒、30秒と目標を高くしていくとリハビリに対するモチベーションの維持にも効果的です。

 

じっと立っているだけ(意外に難しい)/ふらつきを意識的制御する様子

 

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筆者プロフィール

やさしい在宅介護
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
やさしい在宅介護
北海道出身。株式会社Start movement代表、作業療法士。著書に「お互いが歩み寄る介護実践45のヒント」「利用者の"動き出し"を引き出すコミュニケーション」などがある。
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大堀 具視
大堀 具視
作業療法士 / 株式会社Start movement代表
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