ビタミンDは、骨や歯を丈夫に保ち、筋肉や免疫機能を維持するために欠かせない必須の栄養素です。
「近年、多くの日本人がビタミンD不足に陥っている」と言われていますが、ビタミンDが不足すると体内でどのような不調が現れるのでしょうか。
本記事では、ビタミンDの基本的な役割から、不足した際に生じる具体的な症状(骨軟化症・くる病・骨粗しょう症など)、不足の原因、1日の推奨摂取量、効率的な摂取方法(食事と日光浴)や過剰摂取のリスクについてわかりやすく解説します。
- ビタミンDの性質と主な働き(D2とD3の違い)
- ビタミンD不足が招く主な症状(大人・子ども・高齢者)
- 現代の日本人にビタミンD不足が増えている理由
- 1日あたりの摂取目安量と効率的な補い方(食材・日光浴)
- 摂りすぎ(過剰摂取)による健康障害と注意点
いつまでも健やかな体と骨を維持するための参考にしてください。

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ビタミンDとは?性質と体内での役割
ビタミンDは、油脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」の一種です。他のビタミンと異なり、食事から摂るだけでなく、紫外線を浴びることで皮膚でも作られるというユニークな特性を持っています。
1. ビタミンDの種類(D2とD3の違い)
ビタミンDにはD2からD7までの種類が存在しますが、人体において重要な働きをするのは主に以下の2つです。
- ビタミンD2(エルゴカルシフェロール):主にきのこ類などの植物性食品に含まれる
- ビタミンD3(コレカルシフェロール):魚類や卵などの動物性食品に含まれるほか、日光(紫外線B波:UVB)を浴びることで人の皮膚で合成される
体内での作用自体はほぼ同等ですが、近年の研究ではビタミンD3のほうが体内での利用効率が高く、血中濃度を効果的に高めることが分かっています。
2. ビタミンDの主な身体での働き
ビタミンDの最も重要な役割は、カルシウムやリンの小腸からの吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を一定に保つことです。
- 骨や歯の形成・骨密度の維持
- 筋肉の収縮や筋力の保持
- 免疫機能の調節(感染症への抵抗力向上)
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ビタミンD不足によって起こる主な症状
体内のビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が妨げられ、骨や筋肉に様々な問題が発生します。

1. 骨軟化症・くる病(骨が柔らかくなる病気)
骨が新しく作られる際、十分なカルシウムやリンが定着せず、骨が石灰化せずに柔らかくなってしまう病気です。
- 子ども(小児)の場合:くる病
骨の発育障害、O脚やX脚などの下肢の変形、身長の伸び悩み、頭蓋骨の軟化など - 大人(成人)の場合:骨軟化症
骨の痛み(股関節、骨盤、背中、足など)、歩行障害、筋力低下、脊椎の変形
どちらも骨の基本構造が弱くなるため、日常の軽微な負荷でも痛んだり曲ったりしやすくなります。
2. 骨粗しょう症(骨がスカスカになる病気)
古い骨を壊し(骨吸収)、新しい骨を作る(骨形成)「骨代謝」のバランスが崩れ、骨量が減って骨の中がスカスカになる状態です。
骨がもろくなるため、手をつく、転倒する、重いものを持ち上げるといった日常のちょっとした衝撃で骨折(大腿骨近位部骨折や背骨の圧迫骨折など)を起こしやすくなります。高齢者に多く見られますが、若い世代でもビタミンD不足が続けば発症のリスクが高まります。
3. 筋力低下・転倒リスクの上昇
ビタミンDは骨だけでなく、筋肉の受容体(レセプター)に作用して筋力を保つ働きもあります。不足すると太ももや体幹の筋力が低下し、立ち上がりや歩行が不安定になって転倒しやすくなります。
4. その他の不調(免疫力低下・疲労感)
近年では、ビタミンD不足が免疫力の低下、慢性的だるさや疲労感、気分の落ち込み(うつ状態)などにも関係していることが指摘されています。
なぜ日本人に「ビタミンD不足」が増えているのか?
近年、研究や調査によって多くの日本人がビタミンD不全・欠乏状態にあることが指摘されています。その背景には生活習慣の変化があります。
1. 過度なUV対策と室内生活の増加
ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることで体内で作られますが、日焼け止めクリームの常用、日傘や長袖・帽子の利用、UVカットガラス越しでの生活など、徹底した紫外線対策によって体内合成量が大幅に減少しています。
2. 魚類・きのこ類の摂取量の低下
かつての日本人は、魚介類を日常的に食べることでビタミンDを十分に摂取していました。しかし食の西洋化に伴い、青魚やさけ・ます類、きのこ類の消費量が減少傾向にあり、食事からの摂取量も減っています。
3. 年齢とともに皮膚での合成能力が低下
加齢に伴い、皮膚でビタミンD3を合成する能力自体が低下します。同じ時間日光を浴びても、若い頃と比べて体内で作られるビタミンDの量が減少してしまいます。
高齢者のビタミンD不足は、骨粗しょう症 + 筋力低下 = 転倒・骨折 のリスクを飛躍的に高めます。
実際、高齢者の要支援・要介護認定となる原因の約15%は「骨折・転倒」によるものです。骨折をきっかけに長期間ベッド上で過ごすことで筋肉が衰え(フレイル)、そのまま「寝たきり」へ移行してしまうケースが多く見られます。
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1日あたりのビタミンD必要量(摂取基準)
厚生労働省『日本人の食事摂取基準』に基づいた1日あたりのビタミンDの基準値です。
年齢・性別ごとのビタミンD目安量・耐容上限量(μg/日)
| 年齢区分 | 男性 目安量 | 男性 耐容上限量 | 女性 目安量 | 女性 耐容上限量 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜5ヶ月 | 5.0 μg | 25 μg | 5.0 μg | 25 μg |
| 6〜11ヶ月 | 5.0 μg | 25 μg | 5.0 μg | 25 μg |
| 1〜2歳 | 3.0 μg | 20 μg | 3.5 μg | 20 μg |
| 3〜5歳 | 3.5 μg | 30 μg | 4.0 μg | 30 μg |
| 6〜7歳 | 4.5 μg | 30 μg | 5.0 μg | 30 μg |
| 8〜9歳 | 5.0 μg | 40 μg | 6.0 μg | 40 μg |
| 10〜11歳 | 6.5 μg | 60 μg | 8.5 μg | 60 μg |
| 12〜14歳 | 8.0 μg | 80 μg | 9.5 μg | 80 μg |
| 15〜17歳 | 9.0 μg | 90 μg | 8.5 μg | 90 μg |
| 18歳〜75歳以上 | 8.5 μg | 100 μg | 8.5 μg | 100 μg |
※妊婦・授乳婦も目安量は 8.5 μg/日 です。
※1μg = 40 IU(国際単位)
出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準』
18歳以上の成人の目標目安量は男女とも1日あたり 8.5 μg(340 IU)です。
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ビタミンD不足を防ぐ2つの方法(食事・日光浴)
ビタミンD不足を解消・予防するには、「食事からの摂取」と「日光浴」の2つのアプローチを組み合わせることが最も効果的です。
1. 食品からの摂取(多く含む食材一覧)
ビタミンDは穀物や野菜、果物にはほとんど含まれず、魚介類・卵類・肉類(一部の内臓)・きのこ類に偏って存在しています。
ビタミンDを多く含む主な食品(可食部100gあたり)
| 食品名 | 加工・状態 | ビタミンD含有量(100gあたり) | 一食分の目安 | 一食分の含有量 |
|---|---|---|---|---|
| あん肝 | 生 | 110.0 μg | 50g | 55.0 μg |
| しらす干し | 微生 | 61.0 μg | 20g | 12.2 μg |
| 紅鮭 | 生 | 33.0 μg | 80g | 26.4 μg |
| マイワシ | 生 | 32.0 μg | 80g | 25.6 μg |
| うなぎ蒲焼 | 調理済み | 19.0 μg | 80g | 15.2 μg |
| サンマ | 生 | 16.0 μg | 100g | 16.0 μg |
| マアジ | 生 | 8.9 μg | 100g | 8.9 μg |
| 鶏卵(全卵) | 生 | 3.8 μg | 1個(50g) | 1.9 μg |
| 干し椎茸 | 乾燥 | 17.0 μg | 5g | 0.85 μg |
| 舞茸 | 生 | 4.9 μg | 50g | 2.45 μg |
| エリンギ | 生 | 1.2 μg | 50g | 0.6 μg |
出典:文部科学省『日本食品標準成分表』
鮭(さけ)やサンマ、アジなどの魚の切り身を1食食べれば、1日分に必要な目安量(8.5μg)を簡単に満たすことができます。きのこ類(天日干し椎茸や舞茸)も油で炒めるなどして積極的に摂りましょう。
2. 日光浴(直射日光を浴びて体内合成)
紫外線B波(UVB)を皮膚に浴びることで、体内でビタミンD3が合成されます。
- 夏(日中):日陰・木陰で 約15〜30分程度
- 冬(日中):直射日光で 約30分〜1時間程度(※冬場は日照時間が短く衣類で覆われるため必要時間が長くなります)
ガラス(窓越し)は紫外線B波(UVB)をほとんどカットしてしまうため、室内で日差しを浴びてもビタミンDは合成されません。また、日焼け止めクリーム(SPF30以上等)の塗布や長袖の着用も合成を大幅にブロックします。散歩や庭いじりなどで、適度に直射日光を浴びる習慣をつけましょう。
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ビタミンDの「過剰摂取」のリスクと注意点
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、水溶性ビタミンのように過剰分が尿から簡単に排出されず、体内に蓄積しやすい性質があります。
食事や日光浴のみで過剰症になることはまずありませんが、高用量のサプリメントを日常的に過剰摂取した場合に中毒症状が現れることがあります。
過剰摂取(ビタミンD中毒)による主な症状
体内のビタミンDが過剰になると、血液中のカルシウム濃度が異常に高まる「高カルシウム血症」を引き起こします。
- 食欲不振、吐き気・嘔吐、胃不快感
- 激しい喉の渇き、多尿、脱水症状
- 頭痛、不整脈、強い疲労感
- 血管・筋肉・腎臓などの臓器の石灰化(カルシウム沈着)
- 腎機能障害、腎不全
石灰化が進むと神経や血管を刺激し、激しい痛みを伴うことがあります。成人の耐容上限量である1日あたり 100 μg(4,000 IU)を超えないよう、サプリメントを利用する際は必ず表示量を守りましょう。
ビタミンDサプリメントの選び方と活用法
食事や日光浴で補い切れない場合、サプリメントの活用は有効な手段です。
- ビタミンD3を選ぶ:サプリメントにはD2とD3がありますが、体内利用効率が高い「ビタミンD3」が配合されたものを選びましょう。
- GMP認証の製品を選ぶ:品質管理が徹底されている製造基準(GMP認証)を満たした製品が安心です。
- 油脂と一緒に摂る:脂溶性のため、空腹時よりも「食後」に飲むと吸収率が高まります。
ビタミンDに関するよくある質問(FAQ)
Q1. ビタミンD不足のサインは自分自身で気づけますか?
初期のビタミンD不足は自覚症状がほとんどありません。だるさ、筋肉の疲労感、股関節や背中のぼんやりとした痛み、風邪の引きやすさなどが現れた場合は不足の兆候かもしれません。正確に調べるには医療機関での血液検査(25-ヒドロキシビタミンD濃度測定)が必要です。
Q2. 日焼けをせずにビタミンDを増やす方法はありますか?
紫外線による肌へのダメージが気になる場合は、食品(特に魚類・きのこ類)からの摂取量を増やすか、規定量のサプリメントを活用するのが安全で確実です。また、手のひらや足の裏など目立たない部分だけを短時間日光に当てる方法も効果的です。
Q3. 骨の健康にはビタミンDとカルシウムのどちらが大切ですか?
どちらか一方だけでは不十分です。「カルシウム(骨の材料)」と「ビタミンD(カルシウムの吸収と定着を助ける導き手)」をセットでバランスよく摂ることが、丈夫な骨をつくる一番の近道です。
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まとめ
ビタミンDについての重要ポイントをまとめます。
- ビタミンDはカルシウム吸収を助け、骨・歯・筋肉・免疫の健康を保つ脂溶性ビタミン
- 不足すると骨軟化症(大人)、くる病(子ども)、骨粗しょう症や筋力低下を引き起こす
- 現代人はUV対策の徹底や魚類摂取の減少により、幅広い世代でビタミンD不足傾向にある
- 成人の目安量は1日 8.5 μg。さけ、サンマ、しらす干し、きのこ類に豊富
- 適度な日光浴(夏15〜30分、冬30〜60分程度)も有効な補給手段
- サプリメントによる摂りすぎは高カルシウム血症や腎障害を招くため耐容上限量(100μg/日)を守る
毎日の食事で魚ときのこをプラスし、適度に日光を浴びて、骨と身体の健康を守っていきましょう。


