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トップページ>健康お役立ち記事>脱水症状>脱水症状初期の対応法|脱水状態の適切な処置を紹介

脱水症状初期の対応法|脱水状態の適切な処置を紹介

喉の渇きは脱水症状の初期段階です。
脱水症状は気付いてからの初期対応が重要になります。

そもそも脱水とはどのような状態なのでしょうか?
脱水の初期の対応方法とはどういう方法なのでしょうか?

本記事では脱水症状の初期について以下の点を中心にご紹介します。

  • 脱水症状の原因とは
  • 脱水症状を起こしやすい人とは
  • 脱水症状の初期とは
  • 脱水症状の初期の対応

脱水症状の初期について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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脱水とは

脱水とは体液が失われ、必要な水分と電解質が不足している状態です。

吸収と排出の水分量が、一定に保たれることで体液のバランスが維持されています。
水分の吸収と排出のバランスが崩れ、体内から水分が失われることで脱水が起こります。

水分が排出されるときにナトリウムなどの電解質も排出されます。
そのため、水分が不足しているときは電解質も不足している状態が多くあります。

喉が渇いたときは、すでに脱水症状の初期段階です。

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脱水症状を引き起こす主な原因

脱水症状は体内の水分が不足している状態です。
脱水症状は水分の排出量と、吸収量のバランスが崩れることで起こります。

水分を失う

身体から急激に水分が失われる要因を紹介します。

嘔吐

激しく嘔吐しているときは、身体の水分が出ていくために脱水症状になりやすいです。

特に高齢者はもともと脱水気味の方が多く、口の渇きなどを感じにくいこともあります。
そのため、気が付いたときには血圧低下などで命に関わる状態になることがあります。

下痢

激しい下痢などで体内の水分が失われるため、脱水症状を引き起こすことがあります。

特に子供の場合は、喉の渇きなどの自己主張ができません。
そして、脱水症状の状態が悪化すると命に関わる状態になることがあります。

大量の発汗

運動などで体温が上がると、身体は発汗し、気化熱を利用して体温を下げます。

湿度の高い環境下の場合は体温が下がりにくいです。
そのため、体温が下がらずに、身体は更に発汗を促します。

発汗の状態が続くことで、身体から水分が失われて脱水症状になります。

水分の摂取量が減る

成人男性は何もしなくても1日で体内から2.5リットルの水分を失っています。
水分を失った分だけ補給をしなければ、脱水症状を引き起こします。

こまめな水分補給がない

喉の渇きは脱水が始まっている初期の状態です。
そのため、渇きを感じる前に水分を摂ることが大切です。
1日にコップ1杯の水を8回くらいの水分補給を目安にするとよいでしょう。

水分が不足しやすい

  • 就寝
  • スポーツ
  • 入浴
  • 飲酒

などの前後に水分を摂ることが重要とされています。

咽頭炎などで喉を使いづらい

喉が炎症を起こすと痛みを伴います。

炎症の種類は

  • 咽頭炎(いんとうえん)
  • 扁桃炎(へんとうえん)
  • 喉頭炎(こうとうえん)

などで、発症すると神経が刺激され痛みが生じます。

水分補給の際は、のどを刺激する炭酸飲料アルコールカフェインなどは避けましょう。

脱水症状を起こしやすい人

脱水症状を起こしやすい人、それぞれの水分補給に適した飲み物もご紹介します。

体内の水分量割合が高い子ども

子供が脱水症状を起こしやすい主な理由は

  • 身体が未発達なこと
  • 喉が渇いたと自己主張ができないこと

です。

小児は成人と比べて、水分の出入りが大きいのが特徴です。
そのため、下痢や嘔吐を起こしたりすると脱水症になりやすいのです。

喉の渇きを訴えることができず、保護者が気づくのが遅れると容易に脱水症になります。
水分補給は離乳食が始まるまでは母乳かミルク以外を与える必要はありません。

乳児(1歳未満)までは、水分補給に母乳か粉ミルクで問題ないといわれています。
乳児用の経口補水液を与えたりミルクを薄める必要もありません。

ただし、下痢や嘔吐などは急激に水分が失われてしまいます
急激に水分が失われたときは、水分補給に乳児用の経口補水液を利用するのが効果的です。

脱水を自覚しづらい高齢者

一般的に高齢者の身体の水分量は若い頃に比べ約10%減り、約50%といわれています。

高齢者は加齢とともに喉の渇きを感じる「口渇中枢」が減退します。
そのため、実際には水分が必要な状態であっても喉の渇きを感じにくくなります。

高齢者は体内の水分が失われても、身体が渇いていると自覚しにくいため注意が必要です。

水分補給には飲みやすい飲み物を飲みましょう。
嚥下(えんげ)機能が低下して飲み込みにくい場合はゼリー飲料やとろみをつけましょう。

妊娠初期の脱水症状に注意

妊娠すると身体は脂肪を蓄えやすく変化するので、基礎代謝が向上します。
代謝がよくなることで汗をかきやすくなるので喉も渇きます。

暑い時期に妊娠初期の悪阻(つわり)が重なれば、嘔吐でさらに水分が不足します。
そのため、こまめな水分補給が必要となります。

水分補給にアルコールとカフェインは摂取してはいけません。
水分補給に適した飲み物は、牛乳やハーブティーや水です。

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脱水症状|軽度な初期から重度まで

脱水の程度を初期から重度まで紹介します。

子供の場合は自己主張ができないため、親がみてあげる必要があります。

乳児の場合

  • 不機嫌
  • 体重の急激な減少
  • 顔色が悪くなる
  • 体の皮膚のしわ・たるみが目立つ

などの症状が出たら要注意です。

脱水レベルはおしっこの色でもチェックできます。

脱水になるとおしっこの量が減るので色が濃くなっていきます。
子供の年齢が小さいうちは、親がおしっこの濃淡をチェックする必要があります。

かくれ脱水

かくれ脱水は、脱水症状になる手前、または脱水症の初期状態のことをいいます。

かくれ脱水は

  • 喉の渇きを感じ取りにくくなっている高齢者
  • 喉の渇きを感じていても自分で水分補給ができない子供

などに起こりやすいです。

かくれ脱水の兆候に、本人や周囲が気づいていない場合もあります。
そして、有効な対策が取れないと脱水症状は進行していきます。

かくれ脱水には

  • 唇や皮膚が乾燥している
  • 頭がぼーっとする
  • 喉が渇く
  • 汗を大量にかく
  • 集中力が低下する
  • 立ちくらみがする

などの症状があらわれます。

軽度では血行の変化はない

軽度:水分損失率1~2%(乳児までは1~5%)

水分損失率(%)脱水諸症状
1大量の汗、喉の渇き
2強い乾き、めまい、吐き気、重苦しい、ぼんやりする、食欲の低下、血液の濃縮、尿量の減少、血液濃度上昇

出典:日本体育協会【水分損失率と現れる脱水諸症状の関係 表7】

中等度は頻脈が生じる

中等度:水分損失率3~9%(乳児までは6~9%)

水分損失率(%)脱水諸症状
3汗が出なくなる
4全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮、いらいら、疲労、嗜眠状態、感情表現の欠乏、吐き気、精神不安定、無関心
6手足のふるえ、ふらつき、熱性の抑鬱症、頭痛がする、熱性こんぱい、体温の上昇、脈拍の上昇、呼吸の上昇、混迷
8幻覚・呼吸困難、めまい、皮膚の変色(チアノーゼ)、言語不明瞭、疲労困ぱい、精神錯乱

出典:日本体育協会【水分損失率と現れる脱水諸症状の関係 表7】

重度では低血圧に陥る

重度:水分損失率10%~

水分損失率(%)脱水諸症状
10~12筋痙攣、閉眼時の平衡失調、失神、不眠、舌の膨張、せん妄および興奮状態、循環不全、血液の減少、腎機能不全
15~17皮膚がしなびてくる、目がくぼむ、飲み込みが困難(嚥下不能)、目の前が暗くなる、聴力の損失、皮膚の感覚が鈍化、舌のしびれ、眼瞼硬直、排尿時の痛み
18皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20生命の危機、死亡

出典:日本体育協会【水分損失率と現れる脱水諸症状の関係 表7】

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初期症状が出る前に脱水を予防する方法

家族団欒

脱水症状の初期症状は「喉の渇き」です。
初期症状があらわれる前に予防をする必要があります。

喉が渇く前に水分をとる

喉の渇きは脱水症状の初期症状です。

身体が水分不足にならないようにするためには、失った分を補給することが大切です。

しかし、一度に大量に摂取することは、おすすめできません。
なぜなら、必要な量が満たされたら、余分な水分は尿や汗として排泄されるからです。

1日に8回くらい、1回につきコップ1杯の水分補給を目安にするとよいでしょう。

摂取タイミングは、

  • 起床時
  • 朝食時
  • 10時頃
  • 昼食時
  • 15時頃
  • 夕食時
  • 入浴時
  • 睡眠時

などです。

利尿作用が高い飲み物で水分補給しない

水分補給には利尿作用のあるカフェインやアルコールを避けましょう。

利尿作用のある飲み物は、水分補給には適しません。
カフェインを含むコーヒーや、お茶類も熱中症対策として適していません。

アルコールにも利尿作用があり、摂取した量以上に水分が尿として排出されてしまいます。
アルコールを分解する際にも水分が必要なため、アルコールは水分補給にはなりません。

適切な室温と湿度を保つ

室温28℃以下湿度50〜60%を保つことで、脱水症状への対策になります。
室温を28℃にすることが大切で、エアコンの設定温度を28℃にすることではありません。

日当たり具合や部屋の広さや向き、周囲の環境で温度は変化します。
設定温度を28℃にしても、室温が28℃になるとは限らないことを意識しましょう。

食事をきちんととる

1日の必要摂取水分量の約半分は食事から摂取するのが理想といわれています。

食べ物からの水分は徐々に体内に吸収されるため、体内に蓄積されやすいからです。

一般的な食事量の場合は1食あたり約500mlの水分量といわれています。
1日3食の食事に汁物を含めた献立にすると、食事からの水分を摂りやすくなります。

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脱水症状への対応と初期治療

脱水症状への対応は、周囲の温度を下げる、または涼しい場所に移動して水分補給をしましょう。
水分補給の際の注意点について解説していきます。

水分だけはNG

身体には約0.9%の食塩水と同じ浸透圧の血液が循環しています。

汗にはナトリウムが含まれ、大量の発汗などでナトリウムが失われます。
水分だけを摂ると血液のナトリウム濃度が薄まり、余分な水分を尿として排泄します。

水分を補給しても体内から排泄されてしまう自発的脱水症と呼ばれるものです。
そして、水分不足でもナトリウム濃度を下げないために、喉の渇きがなくなります。

この状態になると汗をかく前の体液の量を回復できなくなり体温が上昇します。
そして、運動能力が低下して熱中症の原因となります。

塩分を含む飲み物を飲ませる

水だけを摂取すると吸収効率が悪いため、吸水性の高い飲み物が必要になります。

スポーツドリンク

スポーツドリンクは失った水分やミネラル補給に効率がよい清涼飲料水です。

大量に汗をかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルも排出されます。

水だけを補給した場合は体液中の塩分濃度が下がってしまいます。
そして、身体が摂取した水を吸収せずに尿として排出するため水分補給ができません。

スポーツドリンクは水分と塩分を補給する以外に、疲労回復にも効果的です。

経口補水液

脱水症の初期症状が出たときの水分補給には経口補水液が適しています。

経口補水液は水にナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を一定の割合で配合した飲料です。
スポーツドリンクに比べて糖分が少なく塩分が多く含まれています。

体液とほぼ同じ浸透圧のため、吸収率・吸収速度が非常に高いです。

食塩と砂糖と水で経口補水液を作って飲ませる

脱水症状があり、経口補水液が手元にない場合はつくることもできます。
500mlの水に食塩1.5gと砂糖20gを加え作ります。

目安として、砂糖はペットボトルキャップすり切り3杯、食塩は3本の指で1つまみです。

経口補水液は主に下痢・嘔吐・発熱等の脱水症状の治療に用いられる飲料です。
また、脱水症状の治療で病院に行けない時や病院に行くまでの応急処置として有効です。

利尿作用がある飲み物を避ける

一部の飲み物には、尿の量を増やす成分を含んでいるものもあります。
場合によっては、飲んだ量以上の水分が尿として排出されてしまいます。

アルコールは尿の量を減らすホルモンの分泌を抑える効果があります。
カフェインには血液量を増加させる効果があります。
血液の増加に伴って、尿の生成量が増えるので利尿作用をおこします。

利尿作用で有名な成分には、アルコールとカフェインがあります。
しかし、カリウムにも新陳代謝を活発させる効果があり、利尿作用があります。

砂糖を多く含む甘い飲み物も利尿作用があるといえるでしょう。

体調が回復しない場合は医療機関に運ぶ

脱水症状の初期対応では、涼しい場所に移動し、水分補給をします。
しかし、それでも体調が回復しない場合は医療機関へ搬送しましょう。
熱中症は急速に進行し、重症化する症例もあります。

さらに、熱中症の疑いのある人を医療機関に搬送する際に重要なことがあります。
現場の最も状況のよくわかる人が医療機関まで付き添うことです。

到着時に熱中症を疑った検査と治療を迅速にできるようにする必要があるからです。
そのため、付き添い人は、発症するまでの経過や発症時の症状等を伝えましょう。

薬の使い方

冬でもおきるかくれ脱水

冬季の乾燥した環境では、体内の水分が無意識のうちに蒸発しやすくなります。
以下に気を付けるポイントについて紹介致します。

なぜ冬でも脱水になるのか?

秋から冬にかけての季節は、他の時期とは異なる要因によって体液が不足しやすくなります。

その主な原因は「乾燥」です。
体液は、汗や尿だけでなく、皮膚からの水分蒸発によっても失われます。
乾燥した気候では湿度が低くなり、水分蒸発が促進されるため、体内の水分がより早く失われる傾向があります。

また、対照的に夏の暑い季節と比べると、冬は喉の渇きを感じにくいため、積極的な水分摂取を怠ることがあります。
その結果、体外への水分喪失が増え、体内への水分補給が不十分になるため、体液の不足が起こりやすくなります。

このように、私たちは気づかずに体液を失ってしまい、脱水状態になることがあります。これを「かくれ脱水」と呼びます。

かくれ脱水のチェック項目

かくれ脱水を見逃さないための注意点は以下の通りです。

  • 喉が渇く感じがする
  • 短期間で体重が減少している
  • 尿の色が濃くなっている
  • 体調は悪くないのに37℃前後の微熱がある

特に65歳以上の高齢者の場合、以下の症状が見られると、かくれ脱水の可能性があるため注意が必要です。

  • 皮膚が乾燥し、つやがなくなっている。皮膚が剥がれることもある
  • 口の中が粘りつき、唾液が少なく、飲み込みづらい
  • 便秘やそれ以上の悪化が見られる
  • 皮膚の弾力がなくなり、手の甲をつまんで離した後に跡が3秒以上残る
  • 足のすねがむくみ、靴下のゴムの跡が10分以上残る

これらの兆候が見られた場合は、かくれ脱水に注意する必要があります。

脱水症状の初期まとめ

疑問

ここまで脱水症状の初期についてお伝えしてきました。
脱水症状の初期の要点をまとめると以下の通りです。

  • 脱水症状は体内から水分・電解質が失われることで起こる
  • 脱水症状は子供・妊婦・高齢者が特に起こりやすい
  • 脱水症状の初期は、ぼーっとしたり、のどが渇いたりする
  • 脱水症状の初期は水分補給が重要

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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