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トップページ>健康お役立ち記事>低体温症>低体温症の主な症状と初期症状|体温ごとの変化と治療方法を説明

低体温症の主な症状と初期症状|体温ごとの変化と治療方法を説明

低体温症とは、深部体温が35℃以下になることをいいます。
低体温症と似ている冷え性は、体温に関係なく手足が冷えることをいいます。
では、低体温症の症状にはどのようなことがあるのでしょうか?

本記事では、低体温症の症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • 低体温症の主な症状と初期症状とは
  • 体温ごとに現れる症状について
  • 低体温症の治療方法について

低体温症の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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低体温症とは

低体温症とは、深部体温が35℃以下になる状態をいいます。
低体温症になると、意識、判断能力の低下、循環機能の低下などの症状がみられます。
低体温症は、山岳事故や水難事故などで起きやすく命にかかわる症状です。

個人差はありますが、健康な方の体温は、おおよそ36℃〜37℃といわれています。
外気温が低い寒い冬でも環境に影響されず、一定に体温が調節されるように働きます。

通常、体温が35℃台だと低体温とされています。

また、低体温と似ている冷え性は、体温に関係なく手足が冷たかったり、お腹が冷たかったりする状態をいいます。
低体温と冷え性は、必ずしも関係があるとはいえません。

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低体温症の主な症状と初期症状

低体温症の主な症状と初期症状には、どのようなことがあるのでしょうか。
以下でそれぞれみていきましょう。

低体温症の主な症状

低体温症の主な症状について以下の表に記載しています。

血行不良血圧上昇消化不良食欲不振
体力の低下代謝の低下集中力の低下免疫力の低下

体の仕組みとして、体温を高める機能があります。
しかし、気温が低い場所に長くいると、気温により低体温症を引き起こしてしまいます。
低体温症は突然死を招くこともあるため、大変危険です。

また、低体温症は冬山の山岳事故で起きるイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、低体温症は屋内で発症することが多く、ほとんどの場合、高齢者が発症しています。
低体温症は、ストレス、極度の体重減少、老化などが原因でも発症する身近な病気といえます。

低体温症の初期症状

低体温症の初期症状には

  • ふるえ(シバリング)がみられる
  • 動作が遅く、ぎこちなくなる
  • 反応までの時間が長くなる
  • 思考がぼんやりする
  • 判断力が損なわれる

低体温症の初期症状には、体がふるえるシバリング、歯がカチカチ鳴るなどの症状があります。

さらに体温低下が進むとふるえが止まり、動きがますます鈍くなって昏睡状態に繋がります。
昏睡状態になると、心拍や呼吸が遅くなり弱くなっていきます。
心拍と呼吸が異常に遅くなると、心臓がゆっくりと拍動していても生存の兆候がないようにみえる可能性があります。

低体温症の症状は、とてもゆっくり現われるため、本人も周りの人も何が起こっているのか気づきにくいという特徴があります。

また、体温が低くなるほど、死亡リスクは増加します。
体温がおよそ31℃を下回ると死に至る危険性がありますが、死亡例のほとんどは体温が約28℃を下回った状態です。

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体温ごとで現れる症状

体温ごとに現れる症状には、どのようなことがあるのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介いたします。

36.5~35℃

36.5〜35℃の体温では以下のような症状がみられます。

  • 寒気、骨格筋のふるえ(シバリング)がはじまる
  • 手足の指の動きが鈍くなる
  • 皮膚の感覚が少しずつ麻痺する
  • 代謝機能が低下、排泄機能の低下が起きやすい

代謝機能、排泄機能が低下することで、自律神経失調症やアレルギーの原因をつくり体の機能が狂い始めます。
低体温では、冷えることで血流が悪くなり、免疫力が低下するため、病気にかかりやすいといわれています。

35~34℃

35〜34℃の体温では主に以下のような症状がみられます。

  • 運動失調(よろよろと歩行)
  • 筋力低下(転倒しやすくなる)
  • 構音障害、うわごとをいいだす
  • がん細胞がもっとも増加する

体の奥の温度である深部体温が35℃以下になると、低体温症と診断されます。
35〜32℃は低体温症の軽症といわれ、32〜28℃は中等症28〜20℃は重症とされています。

34~32℃

34〜32℃の体温では主に以下のような症状がみられます。

  • シバリング減少
  • 歩行不能
  • 頻呼吸
  • 意識障害を起こす

34〜32℃の体温では、臓器が機能しにくくなり、生存ラインがギリギリの状態です。
正常時の深部体温は、肝臓は38.5℃直腸は38℃となっています。
深部体温は、体表面の皮膚の温度とは異なり、脳や心臓など命を維持するための臓器の温度となります。

そのため、低体温症が重症になると凍死に繋がります。
深部体温が中等症以上では死亡率が40%になるとされています。

32~30℃

32〜30℃の体温では主に以下のような症状がみられます。

  • シバリング消失
  • 身体硬直
  • 錯乱状態
  • 不整脈のリスク
  • 意識不明

32〜30℃の体温では、体がふるえるシバリングが消失し、体が硬直します。
また、会話が遅くなり、支離滅裂な症状がみられ、運動機能が失調します。

30℃以下

30℃以下の体温では主に以下のような症状がみられます。

  • 意識低下が進む
  • 瞳孔散大
  • 乱暴な体位変換等で容易に心室細動を起こす
  • 半昏睡状態

30℃以下になると、心臓の筋肉が刺激されやすくなり、乱暴な体位返還でも心室細動を引き起こします。
心拍や脈拍がとても弱くなり、呼吸数は半分以下となります。

13.7℃

13.7℃の体温では、生存できる最低の深部体温となります。

人間が耐えられる低温の定義は難しいですが、たとえば外気温が12℃になると手先の感覚が鈍くなります。
さらに、8℃より低くなると皮膚の触感が鈍くなります。

深部体温32℃以下であることが予想できる症状がみられる場合は、すぐに救急車を呼び、可能なら屋内に移動させましょう。

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低体温症の治療方法

低体温症の治療方法について

  • 自分でできる治療
  • 病院での治療

があります。
それぞれ具体的にご紹介します。

自分でできる治療

自分でできる治療は、まず衣服が濡れている場合は、衣服を脱がせて毛布でくるみ保温することです。
低体温症の初期の場合は、保温して暖かい飲み物を飲むことで回復します。

意識不明の場合は、体温がそれ以上低くならないように保温した後で、救急車の手配をしましょう。
また、暖かい屋内で待機することが大切です。

何かしらの生存の徴候がみられる場合は、病院以外での心肺蘇生は推奨されていません
心肺蘇生の訓練を受けていない方は、呼吸や脈拍を正しく検知するのが難しいためです。
脈が触れず、鼓動が聞こえない場合でも心臓は動いていることがあります。

さらに、重症の低体温症の方を急に揺さぶると、致死的な不整脈を起こす可能性があります。
そのため、やさしく扱い、緩やかに体を温めていくことが大切です。

低体温症は、症状が急に悪化しても自分では大丈夫と思うほど症状が軽く感じられるそうです。
山岳事故では、転倒して全身を濡らした後、少しの時間で行動不能になることがあります。
寒冷地では、低体温症の症状は想像以上に急速に悪化してしまいます。

そのため、冬場の屋外で雨や汗で衣服が濡れた場合、まだ大丈夫と思っていても速やかに屋内へ移動し、衣服を着替えて保温しましょう。

病院での治療

病院での治療は

  • 温めた酸素の吸入
  • 温めた液体の静脈内投与
  • カテーテル経由での膀胱、胃、腹腔、胸腔への投与

など行い体を温めます。

そのほか、血液透析装置人工心肺装置を使って温めることもあります。
血液透析装置とは、血液を体外へ取り出して、加温装置の付いたフィルターを通過させた後、体内に戻す装置です。

人工心肺装置とは、体外に取り出した血液を温めて、酸素を加えて体内に戻す装置です。

患者の呼吸を安定させるために、医師が合成樹脂製の呼吸用チューブを口から気管に入れ、人工呼吸器を使用することがあります。
心臓が停止しているときは、心肺蘇生を行います。

低体温症で病院に運ばれて、搬送時は声明に徴候がみられなかった場合でも回復した例があります。
そのため、医師は患者の体が温まり、心拍や生存の徴候がみられないと診断するまでは、蘇生のための医療行為を継続します。

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低体温による年間死亡者数と死亡率

1909〜2014年の人口動態統計資料を使い、低体温による年間死亡者数と死亡率を調査した結果があります。
調査の結果、死亡率のグラフは20〜90代まではほぼ直線的に上昇し、年齢とともに高まることがわかりました。

2010年以降の低体温による年間死亡者数は、毎年1000人を超えています。
高齢者の人口の増加と死亡率の上昇により、死者数が増えたことが原因とされています。
逆に、若〜中年者の年間死者数や死亡率は減少傾向にあります。

また、すべての年代で女性よりも男性の方が死亡率が高くなっています。
しかし、80代以降になると女性の方が死亡者数が増えていますが、これは80代以降の人口の男女差によるものと考えられます。

低体温症になる状況としては、酩酊、飢餓、睡眠薬などの服用、特殊な病気などが考えられます。

低体温症になる前には、さまざまな前兆がみられます。
本人はもちろん、周りの方も配慮し、低体温症を予防することが大切です。

薬の使い方

低体温症の症状まとめ

ここまで、低体温症の症状の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 低体温症の主な症状は、血行不良、血圧上昇など、初期症状はシバリング、歯がカチカチ鳴るなど
  • 体温ごとに現れる症状は、36.5~35℃の体温では寒気、骨格筋のふるえなど
  • 低体温症の治療方法は、衣服を脱がせて毛布でくるみ保温し、救急車を手配するなど

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

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