- 「最近、家族のいびきが急に大きくなった気がする」
- 「いびきの途中で呼吸が止まっているようで怖い」
年齢を重ねると、筋力の低下によりいびきをかきやすくなります。
しかし、「たかがいびき」「歳のせい」と放置するのは非常に危険です。
特に中高年以上の方にとって、激しいいびきは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインであり、突然死や認知症のリスクを高めることがわかっています。
いびきは適切な治療を行えば改善が可能であり、その多くは健康保険が適用されます。
本記事では、中高年のいびきの危険性、死亡率に関するエビデンス、そして具体的な治療法と費用について解説します。
なぜ中高年は「いびき」をかきやすくなるのか?

いびきは、睡眠中に喉の奥(気道)が狭くなり、空気が通る際に粘膜が振動して起こります。
特に中高年以降でいびきが増える主な原因は、「加齢による喉の筋肉の衰え」です。
- 筋力低下:舌や喉を支える筋肉が弱まり、仰向けで寝ると重力で舌が喉の奥に落ち込みやすくなります(舌根沈下)。
- 肥満:加齢による代謝低下で首回りに脂肪がつくと、気道が圧迫されます。
- 女性ホルモンの減少:女性の場合、閉経後に上気道の筋肉を保護するホルモンが減るため、男性並みにいびきをかきやすくなります。
「たかがいびき」では済まない!死亡率4倍の衝撃データ

中高年のいびきで最も警戒すべきは、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。
これは睡眠中に何度も呼吸が止まり、体が低酸素状態になる病気です。
放置すると死亡率が約4倍に?
アメリカで行われた有名な疫学調査(ウィスコンシン睡眠コホート研究)によると、重度の睡眠時無呼吸症候群があり未治療の場合、18年後の死亡率は健常者の約3.8倍(全死亡率)になるというデータがあります。
呼吸が止まるたびに心臓に負担がかかり、血管がダメージを受けるためです。
脳卒中・心臓病との深い関係
低酸素状態は血圧を上昇させ、動脈硬化を加速させます。
- 高血圧:SAS患者の約半数は高血圧を合併しています。
- 脳卒中・心筋梗塞:血管が詰まりやすくなり、発症リスクが健常者の2〜4倍になると言われています。
「認知症」のリスクも高まる?
近年、睡眠時無呼吸症候群と認知症の関連が注目されています。
脳への酸素供給が不足することや、睡眠の質が低下することで、脳内の老廃物(アミロイドベータなど)が排出されにくくなり、アルツハイマー型認知症のリスクを高める可能性が指摘されています。
いびきの治療法と保険適用について
いびき(睡眠時無呼吸症候群)の治療は、症状の重さや原因に合わせて選択されます。
医師の診断があれば、多くの治療が健康保険の適用となります。
CPAP(シーパップ)療法
【中等症〜重症の方に推奨】
鼻にマスクを装着し、機械から空気を送り込んで気道を広げる治療法です。
- 効果:睡眠中の無呼吸を防ぎ、酸素不足を解消します。脳卒中などの予防効果も確立されています。
- 保険適用:検査で一定の基準(AHIなど)を満たせば保険適用となります。
マウスピース療法(スリープスプリント)
【軽症〜中等症の方に推奨】
下あごを少し前に出した状態で固定するマウスピースを装着し、気道を広げます。
- メリット:旅行などへの持ち運びが便利で、電源も不要です。
- 保険適用:医師の診断の元、歯科医院で作製する場合は保険適用となります。
外科手術・レーザー治療
扁桃腺が大きい、のどちんこが長いなど、物理的な形状に問題がある場合に行われます。
- レーザー治療:出血や痛みが少なく日帰り可能なものもありますが、自由診療(自費)となるケースが多いです。
何科に行けばいい?検査と費用の目安
いびきが気になったら、まずは専門の医療機関を受診しましょう。
- 受診する診療科:呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、または「いびき外来」「睡眠外来」があるクリニック。
- 検査:自宅でできる簡易検査や、病院に1泊する精密検査(PSG検査)を行い、重症度を判定します。
費用の目安(3割負担の場合)は以下の通りです。
- 初診・検査:3,000円〜15,000円程度(検査内容による)
- CPAP治療(レンタル料込):月額 約5,000円(毎月の通院が必要)
- マウスピース作製:約10,000円〜20,000円
※自由診療(レーザー治療や特殊なマウスピースなど)の場合は全額自己負担となり、数万円〜数十万円かかる場合があります。
事前にホームページ等で確認しましょう。
自宅でできる!今日から始めるいびき改善・予防法
治療と並行して、生活習慣を見直すことも重要です。
特に高齢者は「誤嚥(ごえん)」予防の観点からも、喉の筋肉を保つことが大切です。
- 横向きで寝る:仰向けは舌が落ち込みやすいため、抱き枕などを活用して横向きで寝ましょう。
- 適正体重を保つ:首回りの脂肪を減らすことで気道が広がりやすくなります。
- 寝酒を控える:アルコールは喉の筋肉を緩め、いびきを悪化させます。
- 舌のトレーニング(口腔体操):「あーいーうーえーおー」と大きく口を動かしたり、舌を前後に出し入れする体操は、いびき改善だけでなく誤嚥性肺炎の予防にも繋がります。
まとめ
中高年のいびきは、単なる騒音ではなく、「命に関わる病気のサイン」です。
放置すれば脳卒中や認知症のリスクを高めますが、適切に治療すれば、睡眠の質が上がり、日中の活動意欲も湧いてきます。
「たかがいびき」と侮らず、ご自身やご家族の健康を守るために、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。
症状がある場合は医療機関を受診してください。






