性感染症(性病)と聞くと、「若者の病気」「自分には関係ない」と思っていませんか?
実は近年、50代以上の中高年層でも性感染症の患者数が増加傾向にあります。
さらに見逃せないのが、性感染症が将来の「認知症リスク」を高める可能性があるという事実です。
「ただの感染症」と侮っていると、脳や全身の健康に深刻なダメージを与えることになりかねません。
この記事では、健達ねっと編集部が、中高年が知っておくべき性感染症のリスクや、認知症との関連性、そして正しい予防・治療法について解説します。
ご自身とパートナー、そして将来の健康を守るために、ぜひ正しい知識を身につけてください。
1. なぜ今、中高年の性感染症対策が必要なのか?
性感染症は、若者だけの問題ではありません。むしろ、免疫力が低下し始める中高年こそ、重症化しやすく注意が必要です。
放置すると恐ろしい「全身への影響」
性感染症の多くは、初期症状が乏しいか、全くないこともあります。しかし、体内で静かに進行し、以下のような深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
- 不妊・生殖器の炎症:男女ともに将来の健康を損なう原因になります。
- 心血管疾患のリスク:慢性の炎症が血管を傷つけ、動脈硬化や心臓病のリスクを高めることが指摘されています。
- がんのリスク:ヒトパピローマウイルス(HPV)などは、子宮頸がんや中咽頭がんなどの原因となります。
2. 【重要】性病と「認知症」の意外な関係

近年、特定の性感染症が脳に影響を与え、認知症のような症状を引き起こしたり、認知症の発症リスクを高めたりすることが分かってきています。
① 梅毒と「神経梅毒」
梅毒は「昔の病気」と思われがちですが、近年感染者が急増しています。
梅毒トレポネーマという細菌が、感染から数年〜数十年かけて脳や神経に侵入すると、「神経梅毒」を発症します。
- 症状:記憶障害、判断力の低下、感情のコントロールができなくなるなど、認知症と極めて似た症状が現れます。
- 特徴:適切な治療で改善する可能性がありますが、発見が遅れると後遺症が残ることがあります。これを「治せる認知症」の一つとして早期発見することが重要です。
② ヘルペスウイルスとアルツハイマー型認知症
口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因となる「単純ヘルペスウイルス」が、アルツハイマー型認知症の発症に関与している可能性を示唆する研究報告があります。
ウイルスが脳内で炎症を引き起こし、アミロイドベータ(認知症の原因物質の一つ)の蓄積を促進するのではないかと考えられています。
3. 主な性感染症の症状と特徴
早期発見のために、代表的な性病のサインを知っておきましょう。
| 病名 | 主な症状(男性) | 主な症状(女性) | 特徴・リスク |
|---|---|---|---|
| クラミジア | 排尿痛、尿道のむず痒さ | おりものの増加、下腹部痛 | 最も多い性病。 不妊の原因や、放置すると腹膜炎などを起こすことも。 |
| 淋病 (りんびょう) | 激しい排尿痛、膿が出る | おりものの変化(無症状も多い) | 喉にも感染する。耐性菌が増えており治療が難しくなることも。 |
| 梅毒 | しこり、発疹(痛みがないことが多い) | しこり、発疹(痛みがないことが多い) | 全身病。 放置すると脳や心臓に病変を作り、認知機能障害の原因に。 |
| 性器ヘルペス | 水ぶくれ、痛み、ただれ | 水ぶくれ、痛み、ただれ | 一度感染するとウイルスが神経に潜伏し、疲労時などに再発を繰り返す。 |
※口腔(喉)への感染も増えています。喉の痛みや腫れが長引く場合は、性感染症の可能性も疑いましょう。
4. 介護現場でのリスク管理

性感染症は、性行為以外での感染(タオルや便座など)のリスクは低いですが、ゼロではありません。
特に将来、ご自身が介護される側になった時、あるいはご家族を介護する際、排泄介助などを通じて感染症の有無を知っておくことは、介護者の安全を守るためにも重要です。
5. 正しい治し方と予防法
「自然治癒」はしません
性感染症は、風邪のように寝ていれば治るものではありません。必ず医療機関での治療(抗菌薬や抗ウイルス薬)が必要です。
「恥ずかしい」と受診をためらっている間に、病気は進行し、パートナーや家族にうつしてしまう可能性があります。
検査と治療のポイント
- 泌尿器科・婦人科・性病科を受診しましょう。
最近は匿名で受けられる検査キットや、プライバシーに配慮したクリニックも増えています。 - パートナーと一緒に治療することが鉄則です。
片方だけが治しても、またうつし合う(ピンポン感染)ことになります。
日常の予防ケア
- コンドームの使用:最も基本的かつ効果的な予防法です。
- 免疫力を保つ:疲れやストレスを溜めないことで、ヘルペスなどの再発を防げます。
- 定期的な検診:自覚症状がなくても、健康診断のオプションなどで検査を受けることをおすすめします。
まとめ:早期発見・治療が、脳と身体の健康を守る
性感染症は、単なる「下の病気」ではなく、脳や血管、全身の健康に関わる重要な問題です。
特に梅毒による認知機能の低下は、早期に治療すれば防ぐことができるものです。
「もしかして?」と思ったら、迷わず検査を。
正しい知識と対応が、あなたと大切な人の未来を守ります。






