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あらすじ
特別養護老人ホームで働く看護師・千鶴は、職員による入居者への暴行事件を目撃する。
事実を隠蔽しようとする施設側に立ち向かう千鶴だったが、反乱分子とみなされ投薬ミスで入居者を死なせてしまう。
傷心の千鶴を支えたのは新人介護士だった。
特徴・見どころ
衝撃的なタイトル『老獄/OLD PRISON』が、現代社会のタブーへと鋭く切り込みます。
本作の主演を務めるのは、パワフルなパフォーマンスで知られる女子プロレスラー、アジャコング。
その異色のキャスティングがもたらす話題性だけでなく、目を背けることのできない介護現場の深刻な実態を、真正面から描き出した社会派作品として大きな注目を集めています。
もし、安息の場であるはずの介護施設が、出口のない「牢獄」だとしたら。
この問いこそが、本作を貫く重厚なテーマなのです。
物語の舞台は、一見すると平穏な介護施設。
しかしその内側では、高齢者への虐待や、それを組織ぐるみで隠蔽しようとする根深い体質が渦巻いています。
これらは決してフィクションの世界の話ではなく、私たちの社会で現実に起こりうる、胸が締め付けられるような問題です。
本作は、その生々しい現実を一切の忖度なく映像化する勇気と覚悟に満ちています。
観る者は、スクリーンに映し出される光景に言葉を失い、介護というシステムの歪みと、そこで失われていく人間の尊厳について、深く考えさせられることになるでしょう。
介護の未来を問う、すべての人に見てほしい衝撃作
特に深刻なテーマとして描かれるのが、健達ねっとでも詳しく解説している認知症対応の過酷な現実です。
意思の疎通が困難な入居者と、心身ともに疲弊していく介護職員。
さらに物語は、介護職員一人ひとりが抱える倫理観と、過酷な労働環境という構造的な問題との狭間で苦悩する姿を深く掘り下げていきます。
「入居者のために」という高潔な理想も、劣悪な職場環境や人員不足によって徐々に蝕まれていくのです。
この問題は、家庭内で高齢者が高齢者を介護する老々介護など、現代日本が直面する数多くの課題とも密接にリンクしています。
上映時間は60分と決して長くはありません。
しかし、その凝縮された時間の中に、介護の現実、人間の尊厳、そして命の重さという、普遍的で深遠なテーマが力強く込められています。
主演のアジャコングは、プロレスラーとして培った圧倒的な存在感と表現力で、セリフ以上に雄弁な心の叫びを体現し、観る者の感情を激しく揺さぶります。
この映画は、単なる問題提起に留まらず、私たち一人ひとりが当事者としてこの現実をどう受け止め、未来のために何をすべきかを問う、鏡のような作品です。
介護業界で働く方々、そしてご家族の介護に携わっている方々にとっては、まさに必見の問題作と言えるでしょう。
スクリーンが映し出す「現実」と向き合う覚悟を持って、ぜひ劇場に足を運んでみてください。