血圧の数値「上が90、下が50」と聞いて、これが低血圧かどうか疑問に思う人は少なくありません。
このような血圧値を持つ方々は、日々の生活の中で疲労感や集中力の低下を経験しているかもしれません。
それでは、「上が90、下が50」という血圧は、一般的に低血圧になるのでしょうか?
血圧は心臓から送り出された血流が血管の内壁に及ぼす圧力です。
心臓がポンプの役割を果たし、収縮と拡張を繰り返すことにより血液が全身に供給されます。
血圧の値は、心臓が収縮する際に最も高く(最高血圧)、心臓が拡張して血液を受け入れる際に最も低く(最低血圧)なります。
この測定値は「mmHg(ミリメートル・エイチジー)」という単位で示されます。
通常の診察室での血圧測定で、最高血圧が140mmHg未満、最低血圧が90mmHg未満であれば正常とされています。
※血圧の正常値について詳しくは、「【年代別】血圧の正常値と測定方法」をご覧ください。
血圧管理は、実は認知症予防とも深い関わりがあります。
特に低血圧による脳血流の低下を適切に管理することは、将来の健やかな脳の健康を維持することにも繋がります。
「血圧が低いだけだから」と放置せず、適切な水分・栄養摂取を習慣化することで、いつまでも自分らしく輝ける未来を築いていきましょう。
そこで、本記事では血圧の上90、下50について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 血圧が上90下50は低血圧?
- 血圧が上90下50で心配!低血圧の症状
- 日常生活で低血圧を改善する方法
低血圧でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、低血圧について、以下の記事で詳しく解説しています。
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【結論】血圧が上90、下50は低血圧?

低血圧とは、血圧が通常よりも低い状態を指し、特に日本では上(最高血圧)が90mmHg未満、下(最低血圧)が60mmHg未満の場合に低血圧と診断されます。
ここでは、
- 低血圧の基準
- 低血圧の種類
について詳しく見ていきましょう。
低血圧の基準
低血圧の基準は、最高血圧が90mmHg未満、最低血圧が60mmHg未満で診断されることが多いです。
ただし、この数値は個人差があるため、低くても健康的な生活を送っている人もいます。
重要なのは、血圧が低いことによって体調不良が起きていないかを見極めることです。
なお、正確な血圧測定のためには、「血圧測定の正しい時間・方法」を参考に、適切なタイミングで測定しましょう。
低血圧の種類
低血圧にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。
一次性低血圧|本態性低血圧
本態性低血圧は、特定の病気によるものではなく、個人の体質や生活習慣が原因で起こります。
遺伝的な要因も関与していることがあり、特に若い女性に多く見られます。
二次性低血圧|症候性低血圧
症候性低血圧は、他の病気や状態が原因で血圧が低下するタイプです。
心臓疾患、内分泌異常、重篤な感染症など、様々な健康問題が原因となることがあります。
食事性低血圧|食後低血圧
食後低血圧は、特に高齢者に見られる状態で、食事の後に血圧が急激に下がる現象です。
消化活動に多くの血液が使われるため、一時的に血圧が低下します。
起立性低血圧
起立性低血圧は、立ち上がった時に一時的に血圧が下がる現象で、めまいや立ちくらみの原因となることがあります。
自律神経の調整機能の低下が原因で、特に長時間座った後や寝起きに起こりやすいです。
低血圧の原因について、以下の記事で詳しく解説しています。
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血圧が上90、下50で心配!低血圧の症状

低血圧は多くの場合、特に問題にならないこともありますが、一部の人にはさまざまな症状が現れることがあります。
特に血圧が著しく低いと、体の様々な部位に影響を及ぼす可能性があります。
体のだるさ
低血圧の一般的な症状として、全身の倦怠感や疲労感が挙げられます。
これは血圧が低いために体への血液供給が充分でなく、十分な酸素や栄養が体の各部に行き渡らないことが原因です。
日常生活においても、このようなだるさを感じることが多く、軽い活動でさえも疲れやすくなることがあります。
食欲不振
低血圧によって消化器系の血流が低下すると、食欲不振が生じることがあります。
十分な血液が消化器官に供給されないことで、消化機能が低下し、それが食欲減退につながることがあります。
これは特に食後の低血圧が原因で起こることがあり、食事後に急激に血圧が下がることが原因です。
頭痛、めまい、立ちくらみ
低血圧は脳への血流減少を引き起こすため、頭痛やめまい、立ちくらみの原因となります。
特に急激に体位を変えたときに明らかになることが多く、立ちくらみはその典型例です。
これらの症状は、脳に十分な酸素や栄養が供給されないことで起こり、日常生活において不便を感じることがあります。
これらの症状が頻繁に現れる場合は、医療機関での相談が推奨されています。
低血圧はしばしば無害とされることもありますが、生活の質に影響を及ぼす場合があり、適切な診断と管理が必要です。
低血圧の症状について、以下の記事でも詳しく解説しています。
日常生活で低血圧の数値を改善する方法

低血圧は日常生活の中でいくつかの方法を取り入れることによって改善できる場合があります。
ここでは、
- 十分な水分補給
- 食生活を見直し
- 血流を促進する運動をする
- 食後のカフェイン摂取
などの低血圧を改善するための具体的な方法を紹介します。
十分な水分補給
水分補給は血圧を管理する上で非常に重要です。
特に低血圧の人は、適切な水分摂取により血液の循環を良好に保つことができます。
水またはハーブティーなど、カフェインのない飲料をこまめに摂取することが効果的とされています。
私たちメディカル・ケア・サービス(MCS)が運営する介護施設では、科学的根拠に基づいた「自立支援ケア」を実践しています。
低血圧やそれに伴う体調不良の改善において、私たちが特に重視しているのが「1日1,500ml以上の水分摂取」です。
高齢者や低血圧気味の方は、血液量が不足し、巡りが悪くなりがちです。
十分な水分(水やノンカフェインの飲料)を摂取することで血液量を確保し、血圧を安定させる土台を作ります。
まずは「1日1.5リットル」を目標に、コップ1杯の水をこまめに飲む習慣から始めてみてください。
※心疾患や腎疾患などで水分制限がある方は、必ず主治医の指示に従ってください。
食生活を見直す
バランスの良い食事が低血圧の改善に役立ちます。
特に、塩分を適度に摂ることが推奨されていますが、高血圧のリスクも考慮して医師と相談の上で調整することが大切です。
また、ビタミンやミネラルが豊富な食品を積極的に取り入れることも重要です。
低血圧を改善し、疲れにくい体を作るには「タンパク質」の摂取が欠かせません。
MCSの自立支援ケアでは、1日あたり「体重×1.2〜1.5g(または80g以上)」のタンパク質摂取を一つの指標としています。
タンパク質は筋肉を維持し、血液を全身に送るポンプ機能を支える重要な栄養素です。
毎日の食事で補いきれない場合は、栄養補助食品を賢く利用するのもオススメです。
「健達ねっとSHOP」では、介護・医療の現場知見を活かした、手軽に栄養を補給できる食品を取り扱っています。
食欲がない時でも、少しの工夫で血圧管理をサポートすることが可能です。
血流を促進する運動をする
定期的な運動は血流を改善し、低血圧の症状を緩和する効果があるとされます。
特に有酸素運動が効果的とされ、ウォーキングやジョギング、水泳などがおすすめです。
運動習慣は徐々に構築していくことが重要です。
具体的な運動方法については、「ウォーキングの5つの効果と実践方法」で詳しく解説しています。
食後のカフェイン摂取
食後に低血圧を感じる人は、カフェインを含む飲料を適量摂取することで症状の緩和が見られる場合があります。
コーヒーや紅茶が効果的とされますが、過剰摂取には注意が必要です。
これらの方法を日常生活に取り入れることで、低血圧の症状を緩和し、より快適な生活を送ることが可能です。
ただし、改善が見られない場合や症状が重い場合は、医療機関での相談をお勧めします。
起立性低血圧の症状と原因

起立性低血圧は、立ち上がる際に血圧が急激に下がる現象で、多くの人に一時的な不快感を引き起こします。
この状態は、特に高齢者や薬剤の副作用がある人に見られます。
起立性低血圧の症状
立ち上がったときに起こる
- めまい
- ふらつき
- 視界の暗転
- 失神
などが主な症状です。
これらの症状は、脳への血流が一時的に低下することで発生します。
起立性低血圧の原因
この状態の原因としては、
- 脱水症状
- 長時間の臥床
- 特定の薬剤の影響
- 自律神経の失調
が挙げられます。
特に、血圧を調節する自律神経の働きが衰えていると、起立時の血圧調整が難しくなります。
これらの情報をもとに、起立性低血圧の理解を深め、適切な対策を講じることが重要です。
(出典:起立性低血圧)
起立性低血圧について年代別の症状チェックや予防策は、「【年代別】起立性低血圧の症状チェックと予防策」で詳しく解説しています。
【現場の事例】立ちくらみによる転倒を防ぐために
立ち上がった瞬間のふらつき(起立性低血圧)は、思わぬ転倒や骨折に繋がるリスクがあります。
全国で介護施設を運営する私たちの現場では、以下の「3つの動作」を入居者様にお伝えし、事故を未然に防いでいます。
「足首の運動」: 立ち上がる前に、座ったままで足首を上下に動かし、下半身の血流を促します。
「ゆっくり3カウント」: 立ち上がる際、心の中で3つ数えながら、ゆっくりと重心を移動させます。
「つかまり立ち」: 必ず手すりや安定した家具に手を置いてから動作を開始します。
毎日の血圧管理や安全な環境づくりに不安を感じる方は、専門スタッフが24時間見守る介護施設の活用も、生活の質(QOL)を保つための有効な選択肢です。
血圧の上90、下50に関するよくある質問|Q&A

ここでは、血圧が通常よりも低い場合のよくある質問に答えていきます。
血圧の数値が90/50mmHg未満の場合の影響や健康への影響に焦点を当てて回答しています。
血圧が90未満だとどうなりますか?
血圧が90mmHg未満の場合、一般的に低血圧と考えられます。
低血圧は疲労感、めまい、立ちくらみなどの症状を引き起こすことがあります。
これらの症状は日常生活に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
血圧はどれくらい下がると危ないですか?
血圧が急激に下がる場合(例えば、正常値から30mmHg以上低下する)、重大な健康問題の兆候である可能性があります。
これはショックの状態を示すこともあり、緊急の医療介入が必要な場合があります。
低血圧はどこからがやばいですか?
一般的に、成人で収縮期血圧が90mmHg未満、拡張期血圧が60mmHg未満の場合を低血圧と定義します。
これ以下の血圧は体への血流が不十分となり、重要な臓器への酸素供給が低下するため、健康リスクが高まります。
血圧が60から100だとどうなりますか?
血圧が60/100mmHgの場合、通常、収縮期血圧(上の数字)が100mmHg以上であれば正常範囲内ですが、60mmHgの拡張期血圧(下の数字)は低い可能性があります。
この状態では、軽度の低血圧の症状が出ることがあります。
血圧の上90、下50まとめ
ここまで血圧の上90、下50についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 低血圧は、血圧が通常より低い状態を指し、特に上が90mmHg未満、下が50mmHgであれば、一般的に低血圧と診断される
- 血圧が上90下50の場合、低血圧とされ、全身のだるさ、食欲不振、頭痛やめまいなどの症状が現れることがある
- 日常生活で低血圧を改善するには、十分な水分補給、バランスの良い食事、定期的な有酸素運動、
食後のカフェイン摂取が有効とされる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








