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あらすじ
福井県越前で一人暮らしをする頑固な和紙職人・剛生は脳腫瘍で倒れてしまう。
ワーキングホリデーで来日した韓国人女性ヨナは、予定していた和紙作りの手伝いから急遽剛生の介護をすることになる。
言葉も文化も異なる二人だったが、介護を通じて次第に心を通わせていく。
特徴・見どころ
もし、あなたやあなたの大切な人が介護を必要とした時、言葉も文化も違う外国の方にその身を委ねることを想像したことはありますか。
国際化が進む現代の日本において、それは決して特別なことではありません。
犬童一利監督が手掛ける映画『つむぐもの』は、まさにそんな現代の介護が直面する課題と、そこに生まれる希望の光を、日本の伝統工芸「越前和紙」の美しい世界を舞台に描き出した、心温まる感動作です。
介護に携わる方はもちろん、人と人との繋がりの大切さを見つめ直したい全ての方へ贈る、珠玉の物語をご紹介します。
頑固な職人と韓国人ヘルパー、二人が紡ぐ新たな絆
物語の中心となるのは、全身麻痺によって介護が必要となった頑固一徹な越前和紙職人・剛生(石倉三郎)。
伝統を守り、仕事一筋に生きてきた彼は、自分の思い通りにならない身体への苛立ちと、他人の助けを借りなければならない現実を受け入れられずにいました。
そんな彼の元へやってきたのは、韓国からやってきた若い介護福祉士のヨナ(キム・コッピ)。
彼女は、ある目的のために日本で働くことを決意した、心優しい女性です。
しかし、二人の間には言葉の壁、そして文化や価値観の違いが大きく立ちはだかります。
最初は反発し、いがみ合ってばかりの二人。
ですが、日々の生活を共にする中で、言葉にならない想いや相手の背景にある痛みを少しずつ理解し始めます。
不器用ながらも心を通わせていく二人の姿は、私たちにコミュニケーションの原点を教えてくれるでしょう。
この物語は、異文化間で生まれる介護の難しさだけでなく、それを乗り越えた先にある人間同士の深い信頼関係の素晴らしさを丁寧に描写しています。
介護の基本「相手を尊重する心」がここにある
本作には、健達ねっとでもお伝えしている認知症対応の基本にも通じる、大切なメッセージが込められています。
それは、相手を一人の人間として尊重し、心に寄り添うことの重要性です。
言葉が通じないからこそ、ヨナは剛生の表情や仕草から彼の本当の気持ちを汲み取ろうと努力します。
それはまさに、介護の現場で求められる「否定しない、無視しない、子供扱いしない」という精神そのものです。
この映画から、私たちは介護における本質的な学びを得られます。
- 言葉を超えたコミュニケーションの可能性
表情や態度、そして触れ合いを通じて、心は通じ合うことを実感させてくれます。 - 相手の文化や背景を尊重する大切さ
自分とは違う価値観を受け入れ、理解しようと努める姿勢が、信頼関係の第一歩となります。 - 介護を通じて生まれる新たな「家族」の形
血の繋がりだけではない、人と人との深い絆が、人生を豊かにすることを教えてくれます。
また、物語を彩る福井県の美しい自然や、幻想的な和紙づくりの風景も見どころの一つです。
伝統工芸の繊細な世界観が、二人の心の機微と重なり合い、物語に一層の深みを与えています。
在宅介護で外国人ヘルパーとの協働を考えている方や、ご家族の介護でコミュニケーションに悩んでいる方に、多くのヒントと温かい感動を与えてくれる作品です。