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健達ねっと>映画・ドラマ>認知症>「恍惚の人」日本の認知症映画の先駆的作品

「恍惚の人」日本の認知症映画の先駆的作品

  • 公開/放送日:1973年1月15日

あらすじ

立花茂造は84歳。妻の突然の死をきっかけに認知症となってしまった。

息子の信利と嫁の昭子、孫の敏と同居する茂造だが、近所を徘徊したり、鍋の煮物を手づかみで食べたりと奇行が目立つ。
働く女性である昭子は、仕事と介護の両立に疲れ果てていく。

ある雨の日、道端で泰山木の花を見つめる茂造の姿を見て、昭子は気づく。茂造には美しいものを感じる心が残っている、と。

介護の困難さと家族の絆を描いた、日本の認知症映画の先駆的作品。

特徴・見どころ

日本映画史において、「介護」と「認知症」というテーマを社会に広く問いかけた金字塔、それが『恍惚の人』です。

有吉佐和子のベストセラー小説を巨匠・豊田四郎監督が映画化しました。
1973年の公開から半世紀以上が経過した現在、改めて本作が持つ力強さと、私たちに問いかけるメッセージの重さをご紹介します。

森繁久彌の熱演と「認知症」を社会問題化した衝撃

本作の最大の見どころは、主演・森繁久彌の鬼気迫る演技にあります。

当時60歳だった森繁が、84歳の認知症の老人・立花茂造を見事に演じきりました。
単なる「もの忘れ」といった表面的な描写にとどまりません。

徐々に記憶が薄れ、幼少期に戻ったかのような言動を見せる茂造の姿は、観る者の胸を締め付けます。

その鬼気迫る役作りとリアリティは、圧巻の一言です。
彼の演技によって、「恍惚の人」という言葉は爆発的な流行語となりました。

それまでタブー視されがちだった「老い」や「認知症」の問題が、一気に社会の共通認識として広がるきっかけを作ったのです。

家族が直面する混乱、愛情、そして葛藤。
この作品がなければ、現代の私たちが認知症について語る言葉も、また違ったものになっていたかもしれません。

50年の時を超え、現代に問いかける介護の本質

『恍惚の人』が名作として語り継がれる理由は、そのテーマの普遍性にあります。

公開当時は「老人問題」として捉えられていましたが、描かれているのは現代の私たちが直面する「介護」そのものです。

茂造が見せる特有の行動や言動。
例えば、日々の習慣や特定の物事への強い執着は、現代でいう認知症のこだわりと深く通じるものがあります。

家族は、そんな茂造にどう向き合えばよいのか悩み続けます。
特に、嫁である昭子が介護に直面する現実は壮絶です。

その姿は、「介護」と「生活の介助」の境界線が曖昧になっていく過程を生々しく映し出します。
精神的なサポートとしての「介護」と、日常の動作を手助けする「介助」。

この二つのバランスの難しさは、介護と介助の違いがどこにあるのかを、私たちに改めて考えさせます。

50年以上前の作品でありながら、介護者の孤独や社会的サポートの必要性など、現代の介護問題の核心を突いているのです。

『恍惚の人』は、単なる過去の名作映画ではありません。
家族のあり方、老いとの向き合い方、そして「尊厳とは何か」を問い続ける、現代の私たちへのメッセージです。

介護に直面している方、これから向き合う可能性のある方、そして専門職として関わっている方。

すべての人にとって、この作品は多くの気づきと深い共感を与えてくれるはずです。

日本が初めて「認知症」と真正面から向き合った、この歴史的傑作の重みをぜひ体感してください。

作品詳細

監督 豊田四郎
脚本家 松山善三
原作 有吉佐和子「恍惚の人」
主要キャスト
上映時間 102分
放送局/制作 芸苑社
日本

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売

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