認知症

down compression

介護

down compression

健康

down compression

専門家コラム

down compression

連載マガジン

down compression

おすすめ書籍

down compression
健達ねっと>映画・ドラマ>認知症>「草原に抱かれて」内モンゴルの草原で母と息子の旅

「草原に抱かれて」内モンゴルの草原で母と息子の旅

  • 公開/放送日:2023年9月23日

あらすじ

内モンゴルの都会に暮らす電子ミュージシャンのアルスは、人生に迷いながら兄夫婦と共に暮らすアルツハイマー病を患う母のことが気がかりだった。

ある日、兄夫婦の家を訪れたアルスは、母が徘徊を繰り返すため手首に紐を結ばれている姿を目にする。
兄の介護方法に納得がいかないアルスは、思い切って母を引き取り、母の故郷である内モンゴルの草原へと帰ることを決意する。

母の記憶に残る「思い出の木」を探して、雄大な草原を旅する二人。
母と息子の絆が、大自然の中で静かに深まっていく。

特徴・見どころ

コンクリートに囲まれた都会のマンションの一室で、安全に、しかしどこか息苦しそうに過ごす母。

「これが、本当に母の望む幸せな最期なのだろうか?」。
本作『草原に抱かれて』は、そんな介護のあり方に疑問を抱いた息子が、アルツハイマー病を患う母を連れ、内モンゴルの広大な草原へと旅立つロードムービーです。

圧倒的な映像美と、モンゴルの伝統音楽が織りなす、静謐(せいひつ)で、魂が洗われるような感動作です。

「記憶の木」を探して。母と息子の最期の旅

物語の主人公は、都会でミュージシャンとして活動するアルス。
彼は、兄夫婦の家で暮らす母が、認知症によってまるで「囚人」のように閉じ込められ、日に日に生気を失っていく姿に心を痛めていました。

「母を、故郷の草原に帰してあげたい」。
その一心で、アルスは母を連れ出し、母がうわ言のように繰り返す「思い出の木(半分の木)」を探す旅に出ることを決意します。

それは、近代的な医療や介護システムから離れ、自然の厳しさと優しさの中に身を投じることでもありました。
しかし、広大な草原の風に吹かれ、焚き火を囲み、満天の星空の下で眠る日々の中で、母の表情は少しずつ、しかし確実に変わり始めます。

雄大な自然と音楽が、失われた時を繋ぐ

本作の最大の見どころは、スクリーンいっぱいに広がる内モンゴルの美しく力強い風景と、親子の絆を象徴するような演出です。
認知症で徘徊する母が迷子にならないよう、アルスは自分と母の腰を一本の「縄」で結びます。
その姿は、まるで母胎と胎児を繋ぐへその緒のようであり、逆転した親子関係の絆のようにも見えます。

言葉が通じなくなっても、モンゴルの伝統的な馬頭琴の音色や、古い民謡が、母の閉ざされた記憶の扉を優しく叩きます。
薬では治せない心が、懐かしい景色と音楽によって癒やされていく。
その様子は、人間の生命力がいかに自然と深く結びついているかを、私たちに教えてくれます。

「介護」に正解はあるのか

安全で清潔な施設で過ごすことだけが、介護の正解なのでしょうか。
本作は、息子が選んだ「旅」という選択を通して、介護の在り方は決して一つではないことを静かに訴えかけます。

母の願いを叶えようとする息子の姿と、それに応えるように笑顔を取り戻していく母。
二人の旅路は、認知症という病を抱えながらも、最期までその人らしく生きることの尊さと、家族だからこそできる「寄り添い方」の形を示してくれます。
忙しない日常の中で見失いがちな、命の根源的な輝きを思い出させてくれる、美しく優しい傑作です。

作品詳細

監督 チャオ・スーシュエ
脚本家 チャオ・スーシュエ
主要キャスト
上映時間 96分
放送局/制作 パンドラ
中国
公式サイト 公式サイトを見る

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売

スポンサーリンク