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健達ねっと>映画・ドラマ>介護>認知症の祖父が起こした事件「ファミリー☆ウォーズ」衝撃の家族サバイバル

認知症の祖父が起こした事件「ファミリー☆ウォーズ」衝撃の家族サバイバル

あらすじ

祖父、父親、母親、長女、次女、長男、次男の7人で暮らす福島家は、誰の目にも幸せそうな家族だった。

しかし、ある時から祖父の伸介が認知症を発症。
ドライブ中に近所の子供を轢き殺し、その死体を家に持ち帰ってしまったことから、明るかった家庭は一変する。

家族は伸介に餅を食べさせて殺そうとするが、事態は次第に無関係の周辺の人々をも巻き込んだ、家族同士の殺し合いに発展していく。

認知症介護の過酷な現実が、家族を狂気へと導いていくブラックコメディ。

特徴・見どころ

本作『ファミリー☆ウォーズ』は、私たちが「介護」や「家族愛」と聞いて想像する、心温まる感動的な物語とは、まったく正反対の場所に位置する作品です。

これは、認知症介護の過酷さと、そこから始まる「家族の崩壊」という地獄絵図を、過激なブラックユーモア満載で描いた、衝撃のブラックコメディです。
そのあまりにもセンセーショナルな内容と表現は、公開当時、SNSを中心に「これは不謹慎ではないか」といった賛否両論の大論争を巻き起こしました。

しかし、本作は単なる悪趣味な作品ではありません。
この過激な笑いの裏には、現代社会が抱える「介護」と「家族」の問題に対する、痛烈な告発と問題提起が込められているのです。

物語は、ある家族に起こった「最悪の事故」から始まります。
認知症を患う祖父が、家族の制止を振り切って車を運転し、死亡事故を起こしてしまうのです。
残された家族。

彼らは被害者遺族への対応、世間からの非難、そして想像を絶する額の損害賠償請求に直面します。
この「事故」をきっかけに、それまで何とか取り繕っていた家族の関係は、一気に崩壊へと突き進んでいきます。

突きつけられる「認知症患者の家族の責任」

本作が観る者に容赦なく突きつける、最も重いテーマ。
それが、「認知症患者の家族に求められる責任」という現実です。

認知症の人が事故を起こした場合、その責任は誰が負うのか。
現在の日本の法律では、多くの場合、その監督責任を問われるのは「家族」です。
たとえ介護に疲れ果て、心身ともに限界を迎えていたとしても、「家族なのだから、ちゃんと監督するのが当たり前だろう」という社会的、法的なプレッシャーが、家族に重くのしかかります。

本作は、この「家族が全責任を背負わなければならない」という過酷な現実を、あえて極端な、シュールとも言えるブラックコメディの形で描いていきます。
事故の賠償金のために、家族が互いを罵り合い、財産を奪い合い、果てには想像もつかないような狂気の行動に走っていく。
その姿は、滑稽でありながらも、「もし自分たちの家族が同じ状況に陥ったら」と考えると、背筋が凍るような恐ろしさを孕んでいます。

なぜ「ブラックコメディ」で描く必要があったのか

なぜ、本作はこんなにも重いテーマを、感動ドラマではなく「ブラックコメディ」として描いたのでしょうか。
それは、認知症介護の過酷さや、介護で疲れ果てた家族が追い詰められていく「限界」と「苦悩」は、もはや「美談」や「お涙頂戴」では描き切れないほど、深刻な領域に達している、という作り手の強烈な問題意識の表れに他なりません。

「介護は家族の愛で乗り越えるもの」。
そんな綺麗事では済まされない、介護の現場の壮絶な現実。
本作は、介護で疲れ果てた家族が抱える、怒り、絶望、そして時には「介護対象者(=認知症の祖父)さえいなければ」と願ってしまう、人間の暗い本音の部分から目をそらしません。
過激な表現とブラックユーモアという「毒」をもってしか、この社会問題を浮き彫りにすることはできなかったのです。

賛否両論を呼んだ本作は、まさに「問題作」です。
しかし、家族という密室の中で行われる介護がいかに過酷で、当事者たちを孤立させていくか。

そして、「家族の責任」という名のもとに、介護のすべてを家族だけに押し付けていて、本当に社会は大丈夫なのか。
本作は、観る者の倫理観を激しく揺さぶりながら、認知症を取り巻く社会の課題そのものを、私たち一人ひとりに問いかけてくるのです。

作品詳細

監督 阪元裕吾
脚本家 阪元裕吾
主要キャスト
放送局/制作 キングレコード
日本

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売

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