配信サービスで観る
あらすじ
人民解放軍で長年要人警護を担当していた退役軍人のディンは、ロシア国境に近い中国の田舎町で、66歳の今も独り暮らしをしている。
初期の認知症を患いながらも、隣に住む少女チュンファとの交流が唯一の心の支えだった。
ある日、チュンファの父親ジンガウが中国マフィアとロシアンマフィアの抗争に巻き込まれてしまう。
チュンファを救うため、ディンは封印していた無敵の拳を駆使し、若い頃の記憶を頼りに死地へと向かう。
老いた身体で最後の戦いに挑む元軍人の姿が描かれる。
特徴・見どころ
本作『おじいちゃんはデブゴン』は、そのコミカルで親しみやすい邦題とは裏腹に、香港アクション映画界の重鎮サモ・ハンが、老いと孤独、そして認知症の初期症状に抗いながら戦う姿を描いた、魂のアクションドラマです。
約20年ぶりに監督・主演を務めた本作は、単なるカンフー映画の枠を超え、哀愁漂う人間ドラマとして観る者の胸を熱くさせます。
65歳のレジェンドが魅せる、「最強」で「最愛」のアクション
かつて「デブゴン」の愛称で日本でも親しまれ、ジャッキー・チェンらと共に時代を築いたサモ・ハン。
本作公開時65歳となっていた彼は、その巨体を揺らしながらも、全盛期を彷彿とさせるキレのあるアクションを見せつけます。
しかし、本作のアクションがこれまでの作品と一線を画すのは、それが「強さの証明」ではなく、少女を守るための「愛の拳」であるからです。
関節技を主体とした実戦的な格闘術は、老いてなお衰えない元護衛官としての説得力を持ち、痛みさえ感じさせるリアリティがあります。
アクション監督としても一流である彼が、自身の肉体の限界に挑んだ殺陣(たて)は、まさに集大成と呼ぶにふさわしい迫力です。
忘却の恐怖と戦う、孤独な老兵の決意
物語の主人公は、引退した元・中央警衛局の隊員ですが、現在は認知症の初期症状による物忘れに悩まされています。
かつて孫娘を不注意で失ってしまったトラウマと、日に日に曖昧になっていく記憶。
そんな孤独な日々の中で出会った隣人の少女に、失った孫娘の面影を重ね、彼女がマフィアの抗争に巻き込まれた時、彼は再び戦うことを決意します。
「名前は忘れても、守りたいという想いは消えない」。
認知症が重度になる前の、記憶を失うことへの恐怖と葛藤。
そして、それを乗り越えようとする精神力は、アクションシーンに深い哀愁と感動を与えています。
ただ敵を倒すだけではない、老兵の悲壮な決意が涙を誘います。
香港映画ファン感涙の豪華ゲストが集結
本作のもう一つの大きな見どころは、サモ・ハンの復帰を祝うかのように集まった豪華なキャスト陣です。
- 製作も兼任し、物語の鍵を握る役で出演するアンディ・ラウ
- 往年の盟友であり、息の合った掛け合いを見せるユン・ピョウ
- 香港映画界の巨匠ツイ・ハーク
彼らの共演は、往年のファンへの最高のプレゼントであると同時に、映画人としてのサモ・ハンの人望の厚さを物語っています。
老いとは何か、守るべきものとは何か。
アクションと人間ドラマが見事に融合した、アクション映画ファンならずとも必見の傑作です。









