内容紹介
臨床の最前線で対話に注力する戸谷修二医師と、日本の認知症ケアの軸をぶらさずに牽引してきたパイオニアである和田行男氏による、これからの「新しい認知症観」を共に考えるための必読書
著者らの視点は、「何でもかんでも病気のせい」にして思考を止めてしまう世間の眼差しやケアのあり方を、根底から揺さぶる。
介護現場で「徘徊」や「拒否」という症状として扱われてきた行動の裏には、本人なりの「意味や目的」があり、それは状況に対する「人として自然で当たり前の心の反応」であるとし、混同されがちな「周辺症状」と「BPSD」の違いを歴史的背景から解きほぐしながら、本書はそのことを丁寧に解説している。
そして記憶や判断など認知機能の低下を「あるかないか」の二分法ではなく、強弱のグラデーションである「スペクトラム」として捉える視点を提示し、医療がかかわるフェーズに入ったことを示す印に過ぎないと説いている。
巻末には、お笑い芸人の安藤なつ氏や医療・介護の識者、認知症本人である丹野智文氏らによる貴重な読後感想も多数収録されており、著者らへのメッセージとともに本書の読みどころを知ることができる。
言葉遣い一つで世界の見え方が変わり、かかわり方の結果が変わるという事実は、認知症にかかわる専門職だけでなく家族やこれからを生きる私たち全員に深い気づきを与える。
目次
Part TODANI 医療の決め事に影響されずにありのままをみる
第1章 BPSDを再考する
認知症とその診断/中核症状と周辺症状/BPSD症状とは/BPSDは使わない/認知機能低下は症状?/まとめ「認知症の症状」とは
第2章 認知症を徒然に語る
ニンチロ撃:悪意なく使う言葉で、相手を傷つけている人たち
認知症=社会に当てはまらない人=排除してよい存在?
Part WADA そもそも症状なのか
第1章 丸ごと症状扱い
はじめに/行動を症状にした/何でもかんでも症状扱い[介護に抵抗/暴力・暴言/拒否/被害妄想/放尿・放便/帰宅欲求・帰宅願望/徘徊/異食/落ち着かない/役割/度数で人を語る/不穏/丸ごと認知症ケア]
第2章 僕と認知症
はじめに/ばかげたことをする1人呼ばわり・人扱い」/ばかげたことをする「人扱い」に思ったこと/ものの見方・考え方
隊談|“認知症のあれこれ”を僕らなりに語ってみた
認知症だから許す/医師/そもそも認知症とは/副作用/認知症の人
読後の想い
安藤なつ(お笑い芸人)/石黒秀喜(公益社団法人認知症の人と家族の会東京支部世話人)/及川ゆりこ(社会福祉法人駿府葵会 法人本部次長)/河崎茂子(公益社団法人日本認知症グループホーム協会会長)/川村雄次(NHKディレクター)/木之下徹(のぞみメモリークリニック 院長)/下地将生(沖縄県立陽明高等学校・高等支援学校総合学科福祉科教諭)/丹野智文(認知症本人)/東憲太郎(全国老人保健施設協会会長)/福井トシ子(国際医療福祉大学大学院教授・副大学院長)/町永俊雄(福祉ジャーナリスト)※50音順
著者
戸谷 修二
医療法人社団聖仁会
介護老人保健施設愛生苑 管理医師
戸谷医院 副院長
医療法人社団更生会
こころホスピタル草津 非常勤医師
2005年久留米大学医学部卒業後、広島市立広島市民病院勤務。その後、品川区こだまクリニックにて木之下徹医師に師事。くまもと心療病院、熊本大学神経精神科医師として池田学教授に師事。草津病院勤務を経て、2019年より現職。
和田 行男
株式会社大起エンゼルヘルプ 取締役
一般社団法人注文をまちがえる料理店 代表理事
淑徳大学 客員教授
介護福祉士
1987年鉄道マンから介護職へ転身。多種な介護事業所で実践を経て2003年より現職。2012年NHKプロフェッショナル出演。2017年注文をまちがえる料理店プロジェクト起ち上げ。2018年日本看護協会ヘルシーンサエティ賞パイオニア部門受賞。
戸谷修二と和田行男が
圧倒的に認知症の今を語る
BPSD丸ごと症状扱いしていいのか
“そもそも”から認知症を考える
定価:1,980円(税込)
2026年7月2日発売
A5/216ページ
ISBN:978-4-05-802755-4

