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健達ねっと>健康・生活>【3/1~3/8 女性の健康週間】9人に1人がなる「乳がん」。早期発見で未来を守るために知っておくべき全知識

【3/1~3/8 女性の健康週間】9人に1人がなる「乳がん」。早期発見で未来を守るために知っておくべき全知識

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なぜ今、「乳がん」なのか? 現代女性を取り巻くリスク

胸に手を当てる女性

増加し続ける罹患率

乳がんは、日本人女性が最もかかりやすいがん(部位別罹患数第1位)です。
かつては「欧米に多い病気」と言われていましたが、食生活の欧米化やライフスタイルの変化に伴い、日本でも急速に増加しています。
国立がん研究センターの最新の統計によると、日本人女性が一生のうちに乳がんと診断される確率は9人に1人にまで上昇しています。

これは、学校のクラスメートや職場の同僚、あるいは家族や親戚の中に、必ずと言っていいほど乳がんを経験する人がいる計算になります。
もはや乳がんは「特別な人がなる病気」ではなく、「誰がなってもおかしくない身近な病気」なのです。

若い世代も要注意! 30代から始まるリスク

他のがん(胃がんや肺がんなど)は高齢になるほどリスクが高まりますが、乳がんの特徴は「働き盛りの世代」を襲う点にあります。
年齢階級別の罹患率を見ると、30代前半から徐々に増え始め、40代後半から50代前半、そして60代前半に発症のピークを迎えます。
仕事や子育て、介護などで最も忙しく、自分のことを後回しにしがちな時期と重なるため、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。
また、30代以下の若い世代(AYA世代)での発症も、全体から見れば少ないものの決してゼロではありません。

乳がんのリスクファクター(危険因子)

乳がんの発生には、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」が深く関わっています。
体内でエストロゲンにさらされる期間が長いほど、リスクが高まると考えられています。

【主なリスク要因】
国立がん研究センター「がん情報サービス」などによると、以下の要因がリスクを高めるとされています。

  • 月経に関すること: 初潮が早い(11歳以下)、閉経が遅い(55歳以上)、出産経験がない、初産年齢が高い(30歳以上)、授乳経験がない。
  • 生活習慣・体型: 閉経後の肥満、過度のアルコール摂取、喫煙、運動不足。
  • 遺伝的要因: 近親者(母、姉妹、娘)に乳がん経験者がいる。
  • その他: 過去に良性の乳腺疾患にかかったことがある、ホルモン補充療法を長期間受けている、経口避妊薬の使用歴がある。

ただし、これらに当てはまらないからといって安心はできません。
リスク要因が全くない人でも乳がんになる可能性は十分にあります。
だからこそ、すべての女性にとって「検診」と「セルフチェック」が不可欠なのです。

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自分の胸を知る習慣「ブレスト・アウェアネス」

乳がんは、体の中にできるがんの中で唯一、「自分で触って発見できるがん」です。
早期発見のために、近年、日本乳癌学会やピンクリボン運動などで提唱されているのが「ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)」という考え方です。

ブレスト・アウェアネスの4つのポイント

ブレスト・アウェアネスは、難しいことではありません。
日々の生活の中で以下の4つを意識するだけです。

  1. 自分の乳房の状態を知る
    普段の乳房の柔らかさ、形、乳首の状態などを把握しておきます。「いつもの状態」を知っているからこそ、「いつもと違う」変化に気づくことができます。
  2. 乳房の変化に気をつける(見て、触って、感じる)
    着替えや入浴のついでに、乳房を見て、触って確認します。
  3. 変化に気づいたらすぐに医師に相談する
    「これくらい大丈夫だろう」「検診まで待とう」と先延ばしにせず、すぐに乳腺科を受診します。
  4. 40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける
    自覚症状がなくても、画像検査でしか見つからない小さながんを発見するために検診を受けます。

見逃さないで! 乳がんのサイン

乳がんの初期症状として最も有名なのは「しこり」ですが、それ以外にもさまざまなサインがあります。

  • しこり: 石のように硬いもの、コリコリしたもの、あまり動かないもの。ただし、柔らかいしこりもあります。
  • 皮膚の変化: 乳房の皮膚にくぼみ(えくぼ)がある、ひきつれがある、赤く腫れている、オレンジの皮のように毛穴が目立つ。
  • 乳頭の変化: 乳頭が陥没している、ただれている、湿疹のようなものができている。
  • 分泌物: 乳頭から血の混じった分泌物や、焦げ茶色の分泌物が出る(片側から出ることが多い)。
  • 脇の下のしこり: 脇の下のリンパ節に転移してしこりができることがあります。

正しいセルフチェックの方法

セルフチェックは、月に1回行うのが理想的です。
閉経前の人は、乳房が柔らかくなる月経終了後1週間~10日頃がベストタイミングです。
閉経後の人は、「毎月1日」など日にちを決めて行いましょう。

鏡の前で腕を上げ下げして「見た目の変化」を確認し、入浴時や就寝前に指の腹を使って「しこりの有無」を確認します。
この時、乳房全体だけでなく、脇の下や鎖骨のあたりまで広くチェックすることが重要です。

「しこりかどうかわからない」「何となく違和感がある」といった場合でも、迷わず専門医を受診してください。
早期発見のチャンスを逃さないためにも、自己判断は禁物です。

以下の記事では、乳がん特有のしこりの特徴や、イラスト付きの詳しいセルフチェック手順、良性のしこりとの違いなどを解説しています。
早期発見のために、ぜひご一読ください。

▼詳しくはこちらの記事をチェック
それ、乳がんかも?胸のしこりに注意!特徴とセルフチェック方法

検診に行こう! マンモグラフィと超音波検査

乳がん検診のアイコンセット

セルフチェックで見つかるがんは、ある程度の大きさ(1cm〜2cm以上)になっていることがほとんどです。
それよりも小さな、手で触れてもわからない早期のがんを見つけるためには、医療機関での検診が必要です。

国が推奨する乳がん検診

厚生労働省は、科学的根拠に基づき、40歳以上の女性に対し、2年に1回のマンモグラフィ検診を推奨しています。
多くの自治体では、費用の助成を行っており、無料や数千円程度で受けることができます。
また、職場での検診や人間ドックを利用する方も多いでしょう。

検査方法の違いと特徴

1. マンモグラフィ(乳房X線検査)
乳房を透明な板で挟んで薄く伸ばし、X線で撮影する検査です。

  • 得意なこと: しこりになる前の「石灰化(カルシウムの沈着)」を見つけるのが得意です。これは非浸潤がん(超早期のがん)のサインである場合があります。
  • 苦手なこと: 若い人や乳腺の密度が高い人(高濃度乳房)の場合、乳腺が白く写り、がん(白く写る)と重なって見えにくくなることがあります。
  • 痛み: 乳房を圧迫するため、人によっては痛みを伴います。月経前の胸が張っている時期を避けると痛みが和らぐことがあります。

2. 超音波検査(エコー検査)
乳房に超音波を当て、その反射画像で内部を観察する検査です。

  • 得意なこと: 数ミリ程度の小さなしこりや、乳腺の密度が高い人(高濃度乳房)のしこりを見つけるのが得意です。放射線被曝がないため、妊娠中の方も受けられます。
  • 苦手なこと: 細かい石灰化を見つけるのは苦手です。また、検査を行う技師の技術によって精度に差が出ることがあります。
  • 対象: 一般的に、乳腺が発達している20代〜30代の若い世代や、マンモグラフィで高濃度乳房と指摘された方に推奨されます(※現時点では、国が推奨する対策型検診には含まれていませんが、任意型検診として広く行われています)。

「高濃度乳房(デンスブレスト)」とは?

日本人の約4割は、乳腺の密度が高い「高濃度乳房」だと言われています。
これは病気ではなく体質ですが、マンモグラフィだけではがんが見つけにくいというデメリットがあります。
検診結果で「高濃度乳房」と通知された場合や、「判定困難」となった場合は、超音波検査を併用することで発見率を高めることができます。
自分の乳房のタイプを知っておくことも、ブレスト・アウェアネスの一つです。

もし乳がんと言われたら? ステージと最新治療

「がん」と告知されたら、誰もが大きなショックを受け、不安に押しつぶされそうになるでしょう。
しかし、乳がんは数あるがんの中でも研究が進んでおり、治療の選択肢が多く、生存率も比較的高いがんです。

乳がんの「サブタイプ」分類

乳がんの治療方針を決める上で非常に重要なのが、「サブタイプ」という分類です。
乳がんは単一の病気ではなく、がん細胞の性質によっていくつかに分けられます。
主に以下の3つの要素を調べて分類します。

  • ホルモン受容体: 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)を餌にして増殖するタイプか(陽性・陰性)。
  • HER2(ハーツー)タンパク: がん細胞の増殖に関わるタンパク質を過剰に持っているか(陽性・陰性)。
  • Ki-67(増殖能): がん細胞が増えるスピードが速いか遅いか。

これらの組み合わせにより、「ルミナールA型」「ルミナールB型」「HER2タイプ」「トリプルネガティブ」などに分類され、それぞれに効く薬(ホルモン療法、抗がん剤、分子標的薬)が異なります。
「友人は抗がん剤をしなかったのに、私はなぜ?」といった疑問は、このサブタイプの違いによるものです。

ステージ(病期)と生存率

乳がんの進行度は、0期からIV期までのステージで表されます。

  • 0期(非浸潤がん): がんが乳管の中にとどまっている状態。転移の可能性はほぼなく、手術で取りきれば治癒率はほぼ100%です。
  • I期・II期: しこりの大きさが比較的小さく、リンパ節転移がないか、あっても少ない状態。
  • III期: しこりが大きい、あるいはリンパ節への転移が進んでいる状態。
  • IV期: 骨、肺、肝臓、脳など、乳房から離れた臓器に転移している状態(遠隔転移)。

【5年相対生存率(2014-2015年診断症例)】

  • ステージI: 100.0%
  • ステージII: 96.2%
  • ステージIII: 82.3%
  • ステージIV: 37.6% (出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計」)

このデータからも分かるように、早期に発見できれば、命を脅かすことはほとんどありません。
ステージが進んでいても、新しい薬の登場により、がんとうまく付き合いながら長く生活できるケースが増えています。

主な治療法:「局所療法」と「全身療法」

乳がんの治療は、がんのある場所を治療する「局所療法」と、体全体に潜んでいるかもしれないがん細胞を叩く「全身療法」を組み合わせて行います。

1. 手術(局所療法)

  • 乳房温存手術(部分切除): しこりとその周辺だけを切除し、乳房の形を残す方法。術後に放射線治療を行うのが標準的です。
  • 乳房全摘術: 乳房全体を切除する方法。がんが広がっている場合や、多発している場合に選択されます。全摘と同時に、あるいは後日に「乳房再建手術」を行うことも可能です(保険適用あり)。

2. 放射線療法(局所療法)

手術後の再発を防ぐためや、骨転移などの痛みを和らげるために行われます。

3. 薬物療法(全身療法)

  • ホルモン療法: 女性ホルモンの働きを抑える薬(飲み薬や注射)。ホルモン受容体陽性のタイプに使われます。副作用として更年期障害のような症状が出ることがあります。
  • 化学療法(抗がん剤): がん細胞を攻撃する薬。点滴や飲み薬があります。術前にがんを小さくするためや、術後の再発予防、進行がんの治療に使われます。脱毛や吐き気などの副作用があります。
  • 分子標的治療: がん細胞の増殖に関わる特定の分子(HER2など)を狙い撃ちする薬。正常な細胞へのダメージが比較的少ないのが特徴です。

治療は長期にわたることもありますが、仕事や家庭生活を続けながら通院治療を行う人が増えています。
以下の記事では、ステージごとの標準的な治療の流れや、気になる生存率の詳細、治療費の目安などを徹底解説しています。

▼詳しくはこちらの記事をチェック
乳がんのステージ別治療法と生存率について徹底解説

乳がんを予防するためにできること

国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防」によると、乳がんを完全に防ぐ方法は確立されていませんが、リスクを下げる可能性が高いとされる生活習慣はいくつか存在します。

1. 運動習慣をつける

閉経後の女性において、運動習慣のある人は乳がんリスクが低下することが「確実」と評価されています。
週に数回、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動(身体活動)を取り入れましょう。

2. アルコールを控える

飲酒は乳がんのリスクを上げることが「確実」とされています。
飲む場合は適量を心がけ、休肝日を設けることが大切です。

3. 適切な体重を維持する

閉経後の肥満は乳がんのリスクを上げることが「確実」とされています。
閉経後は卵巣からの女性ホルモン分泌が止まりますが、脂肪組織にある酵素の働きで男性ホルモンが女性ホルモン(エストロゲン)に変換されます。
そのため、脂肪が多いとエストロゲンの影響を受けやすくなるのです。
BMI(体格指数)を標準範囲内に保つよう心がけましょう。

4. 喫煙をしない

喫煙は乳がんのリスクを高める可能性が「ほぼ確実」とされており、受動喫煙も避けるべきです。
他のがんや生活習慣病のリスクも高めるため、禁煙が推奨されます。

5. 大豆製品を摂る

豆腐や納豆などの大豆製品に含まれるイソフラボンは、乳がんリスクを下げる「可能性がある」とされています(※サプリメントでの過剰摂取は推奨されていません。食事から摂るのが基本です)。

がんと共に生きる、女性の人生を支える

乳がん治療は、病気そのものを治すだけでなく、その後の生活の質(QOL)を保つことも重要視されています。

アピアランスケア(外見のケア)

手術の傷跡、抗がん剤による脱毛、爪の変色、肌のくすみなど、治療に伴う外見の変化は女性にとって大きなストレスです。
ウィッグ(かつら)や補正下着、メイクアップなどの「アピアランスケア」に関する相談窓口や助成金制度を設ける自治体が増えています。
外見を整えることは、自分らしさを取り戻し、社会生活に戻るための大きな力になります。

妊孕性(にんようせい)の温存

これから妊娠・出産を希望する若い世代(AYA世代など)が治療を受ける場合、抗がん剤やホルモン療法の影響で卵巣機能が低下し、妊娠しにくくなる可能性があります。
治療開始前に卵子や受精卵を凍結保存する「妊孕性温存療法」という選択肢もあります。
治療を急ぐ必要がある場合も多いため、主治医や専門の生殖医療医に早めに相談することが重要です。

遺伝性乳がんへの対応

乳がん全体の5〜10%は遺伝性と言われています。
中でも「BRCA1」または「BRCA2」という遺伝子に変異がある場合(遺伝性乳がん卵巣がん症候群:HBOC)、乳がんや卵巣がんになりやすいことが分かっています。
家族歴があり心配な場合は、遺伝カウンセリングを受けることができます。
また、HBOCと診断された場合、予防的な切除手術やサーベイランス(定期検査)などが保険適用になるケースもあります。

まとめ:あなたの健康は、あなた自身と大切な人のために

乳がんは、早期発見できれば決して怖い病気ではありません。
しかし、仕事や家事に追われる日々の中で、自分の体の変化を見逃してしまったり、「検診に行く時間がない」と後回しにしてしまったりすることが、最大のリスクとなります。

3月1日から8日の「女性の健康週間」をきっかけに、ぜひ以下の3つのアクションを起こしてみてください。

  • 今日、お風呂に入った時にセルフチェックをしてみる。
  • 今年度の検診予約を入れる(または予定を立てる)。
  • 家族や友人と乳がんについて話してみる。

あなたの胸にある小さなしこりに気づけるのは、世界中であなただけです。
そして、あなたが健康で笑顔でいることは、あなたを大切に思う家族やパートナー、友人にとっても一番の願いです。
正しい知識を持ち、自分の体を守る行動を、今日から始めてみませんか?

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売

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