「夜、布団に入ってもなかなか寝付けない」
「眠りたいのに眠れない時間が長く、つらい」
誰でも一度は経験したことがあるであろう「入眠障害」。
しかし、その状態が長く続くと、日中のパフォーマンス低下や生活習慣病のリスクを高める原因になります。
入眠障害とは具体的にどのような症状なのでしょうか?
また、改善するためには何をすればいいのでしょうか?
本記事では、入眠障害について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 入眠障害になる5つの主な原因
- 睡眠の質を高める予防・改善策
- 入眠障害に用いられる治療薬と漢方薬
- 睡眠障害と生活習慣病の深い関係
入眠障害について正しく理解し、健やかな睡眠を取り戻すための参考にしていただければ幸いです。
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入眠障害とは
入眠障害は、不眠症の症状の1つであり、睡眠障害のなかでも最も多い症状だといわれています。
布団に入ってから実際に眠りにつくまでに30分~1時間以上かかり、それによって日中のだるさや集中力低下など、日常生活に支障が出ている状態を指します。
たまたま1〜2日眠れなかった程度では不眠症とは診断されず、なかなか寝付けない日々が1か月以上続くことで、確定診断となるのが一般的です。
不眠症には入眠障害以外にも、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、予定より早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ぐっすり眠った気がしない「熟眠障害」があります。
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入眠障害を引き起こす5つの原因
入眠障害の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
主な原因は以下の5つです。

1. 生活習慣の乱れ
夜勤シフトなどの不規則な勤務形態が長く続くことで、体内時計が乱れ、寝付きが悪くなります。
また、就寝直前までのスマートフォンやパソコンの使用(ブルーライトの刺激)、海外出張などでの時差ボケも、入眠障害の大きな原因です。
2. 心的ストレス
人間関係や仕事の悩みなど、ネガティブなストレスを感じることで交感神経が優位になり、眠れなくなります。
しかし、ストレスはネガティブな出来事だけではありません。
進学や就職などの生活環境の変化、翌日の楽しいイベント(旅行や遠足など)を控えて興奮している状態も、無意識のうちに脳がストレス(刺激)を感じて寝付きにくくなる原因となります。
3. 薬やアルコール・嗜好品
抗がん剤やステロイド薬などの副作用として、入眠障害が起こる場合があります。
また、就寝前のアルコール、コーヒー等に含まれるカフェイン、タバコに含まれるニコチンは、脳を覚醒させ、睡眠の質を著しく低下させることが分かっています。
4. からだの病気
糖尿病や高血圧などの生活習慣病を患っている場合、入眠障害を併発しやすくなります。
他にも、呼吸器疾患に伴う咳や息苦しさ、皮膚炎などによるかゆみ、ケガや関節痛などの「痛み」も、寝付きを妨げる身体的な原因となります。
5. こころの病気
うつ病や不安障害などの精神疾患を患う方の多くに、不眠症状がみられます。
「今日も眠れないかもしれない」「このまま眠れなかったら明日の仕事に響く」と考え込んでしまうことで、さらに脳が緊張し、眠れない状態に陥る悪循環(精神生理性不眠)もよく見られます。
入眠障害の予防・改善方法(生活習慣の見直し)
入眠障害を改善し、質の高い睡眠をとるためには、日々の生活習慣を見直すことが最も重要です。
規則正しい生活を心がける
休日・平日問わず、毎日同じ時間に起床し、朝日を浴びることで体内時計の乱れを防げます。
また、日中に少し汗ばむ程度の適度な運動(ウォーキングなど)を取り入れることも、入眠障害の予防に効果的です。
睡眠時間にこだわりすぎない
「絶対に〇時間は寝なければならない」というこだわりは捨てましょう。
適切な睡眠時間は年齢や個人によって異なり、明確な定義があるわけではありません。
「何時間眠るか」よりも、「いかに質の高い睡眠をとるか」を重視し、眠れない時は思い切って一度布団から出るのも有効な手段です。
就寝前のカフェイン・アルコール・ニコチンを控える
就寝の4時間前からはカフェインの摂取を控えましょう。
コーヒーを飲む習慣がある方は、夕方以降はカフェインレス(デカフェ)や麦茶などに切り替える工夫が必要です。
寝酒も中途覚醒の原因になるため控えましょう。
寝室の環境づくり
自分に合った寝具(マットレスや枕)を選ぶことはもちろん、寝室の温度や湿度、光、音の調整も重要です。
就寝の1〜2時間前からは部屋の照明を暗めにし、心身をリラックスモード(副交感神経優位)に切り替えましょう。
昼寝は「午後3時まで・20分程度」
日中に眠気を感じて昼寝をする場合は、午後3時までに切り上げましょう。
夕方以降の昼寝は、夜の寝付きを悪くします。
また、昼寝の時間は20分〜30分程度に留めるのが理想です。
短時間の昼寝(パワーナップ)は脳をすっきりさせ、午後の作業効率低下を防ぐ効果があります。
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入眠障害の治療薬(睡眠薬)と漢方薬
生活習慣の改善でも入眠障害が治らない場合は、医療機関での治療が必要になります。
病院で処方される主な睡眠薬
現在の不眠症治療薬は、主に以下の3種類に分けられます。
GABA受容体作動薬
脳の活動を休ませる神経伝達物質(GABA)の働きを強め、強制的に眠りへと導く薬です。
「ベンゾジアゼピン系(効果が強く即効性があるが依存性に注意が必要)」と「非ベンゾジアゼピン系(効果はマイルドで依存性が少ない)」に分けられます。
入眠障害には、効果が早く出る超短時間作用型の薬(マイスリーなど)がよく使われます。
メラトニン受容体作動薬
体内時計を調節する睡眠ホルモン「メラトニン」と同じ働きをする薬(ロゼレムなど)です。
自然な眠気を促し、睡眠リズムを整えます。
依存性は極めて少ないですが、即効性はやや弱いです。
オレキシン受容体拮抗薬
脳を起きている状態(覚醒)に保つ物質「オレキシン」の働きをブロックすることで、脳を睡眠状態へと移行させる新しいタイプの薬(ベルソムラ、デエビゴなど)です。
自然に近い睡眠をもたらし、依存性も低いのが特徴です。
※市販の「睡眠改善薬(ドリエルなど)」は、風邪薬の副作用である眠気を利用したもので、一時的な寝付きの悪さには使えますが、慢性的な入眠障害(不眠症)の治療には適していません。
入眠障害におすすめの漢方薬
睡眠薬の副作用が心配な方や、体質から改善したい方には、漢方薬が処方されることもあります。
- 加味帰脾湯(カミキヒトウ): 精神的な不安感やイライラを鎮め、浅い眠りを改善します。
- 桂枝加竜骨牡蠣湯(ケイシカリュウコツボレイトウ): 神経の高ぶりを鎮め、些細なことが気になって寝付けない方に向いています。
- 酸棗仁湯(サンソウニントウ): 心身が疲労しているのに眠れないという、不眠症の代表的な漢方薬です。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン): 自律神経のバランスを整えるため、更年期障害によるのぼせやイライラを伴う不眠に効果的です。
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睡眠障害も「生活習慣病」の一つ?
近年、入眠障害をはじめとする睡眠障害は、単なる疲れやストレスの問題ではなく、「生活習慣病の一つ」として捉えられるようになっています。
日本人は睡眠時間が短い
厚生労働省やOECDのデータによると、日本の就労者の平均睡眠時間は、世界各国のなかでもトップクラスに短いことが分かっています。
特に日本の女性は、家事や育児の負担が大きいことなどが影響し、男性よりもさらに睡眠時間が短い傾向にあります。
睡眠と生活習慣病の深い関係
睡眠不足が慢性化(睡眠負債)すると、自律神経やホルモンバランスが崩れ、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の罹患リスクを著しく高めることが多くの研究で示唆されています。
逆に、生活習慣病の患者は睡眠時無呼吸症候群や不眠症を併発しやすいという悪循環も存在します。
不規則な食事や運動不足は睡眠の質を低下させ、睡眠の質の低下はさらなる生活習慣の乱れを生みます。
「規則正しい生活」「適度な運動」「良質な睡眠」はすべて繋がっているのです。
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まとめ
入眠障害について解説しました。
本記事の要点は以下の通りです。
- 原因: 生活習慣の乱れ、心的ストレス、環境の変化、アルコールやカフェイン、心身の病気などが挙げられる。
- 予防・改善策: 毎日同じ時間に起きる、睡眠時間に固執しない、就寝前のカフェイン・スマホを控える、寝室の環境を整える。
- 治療: 病院では、自然な眠りを促す新しいタイプの睡眠薬や、体質を改善する漢方薬などが処方される。市販薬は一時的な対処に留める。
- 重要性: 睡眠障害を放置すると生活習慣病のリスクが高まるため、早めの生活習慣の改善と受診が大切。
眠れない夜が続く場合は一人で悩まず、まずは生活習慣を見直し、それでも改善しない場合は早めに心療内科や睡眠外来などの医療機関に相談しましょう。


