疲れ・だるさが続く場合は、倦怠感が疑われます。
倦怠感は過労・ストレスだけでなく、重大な病気のサインとしてあらわれることもあります。
もし倦怠感が続く場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。
本記事では、倦怠感の原因について、以下の点を中心にご紹介します。
- 倦怠感を引き起こす生活習慣
- 倦怠感を引き起こす疾病
- 倦怠感の改善方法
- 慢性疲労症候群とは
倦怠感の原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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倦怠感とは
倦怠感とは、身体的・精神的に「疲れた」「だるい」と感じることです。
疲労感によって日常生活に支障が出ている場合が該当します。
たとえば以下のような状態が倦怠感に該当します。
- 身体が重いと感じる
- なにをするにも億劫に感じる
- 朝、ベッドから起きられない、身体に力が入らない
- 集中力・注意力が低下して仕事・日常生活に支障をきたしている
倦怠感は、男女や年代に関係なくあらわれます。
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倦怠感の主な原因は?
倦怠感の原因として代表的なのは、生活習慣の乱れや全身疾患です。
それぞれの内容について、具体的にみていきましょう。
日常生活の中にある原因
倦怠感は日常生活の乱れに起因することが多いです。
たとえば以下のような習慣は、倦怠感の原因となります。
過労
過労は倦怠感の代表的な原因です。
ちなみに過労とは、疲労が蓄積された状態を指します。
たとえば長時間残業が毎日続くと、身体を休めるヒマがなくなります。
前日の疲れが残っている状態で、さらに新しい疲労が襲いかかるため、身体的にも精神的にも「疲れた」と感じます。
この「疲れた」という感覚が倦怠感につながるのです。
食生活の乱れ
栄養バランスの悪い食事は、倦怠感の原因となります。
栄養が偏ると、身体に必要な栄養が足りなくなるためです。
栄養不足になると、身体は活動に必要なエネルギーを生み出せません。
結果、身体を重く感じるなどの倦怠感があらわれやすくなります。
睡眠不足や不眠
睡眠不足が続くと、身体的・精神的な疲労を引き起こします。
結果、身体が重いと感じたり、日中に強い眠気を感じたりしやすくなります。
睡眠不足・不眠の原因となりやすいのは、夜更かし・昼夜逆転生活などです。
ストレスや過労、全身疾患が睡眠不足を引き起こすこともあります。
ストレスの多い環境や状況
ストレスは倦怠感の代表的な原因です。
ストレスとはたとえば、対人関係や仕事の悩みのほか、転居・転職などの環境の変化があげられます。
あるいは、結婚・出産などのライフイベントもストレスの原因となります。
ストレスを受けると心身は緊張状態になります。
結果、寝付きが悪くなったり、食欲が落ちたりして、倦怠感を感じやすくなります。
あるいはストレスによって、血行が悪化したり、ホルモンバランスが崩れたりするのも倦怠感の一因です。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れによって、疲れやだるさを感じることもあります。
特に影響を受けやすいのは女性です。
女性は妊娠・出産・閉経などによって女性ホルモンのバランスが大きく変動するためです。
そのほか、ストレス・過労・季節の変わり目などもホルモンバランスが乱れる原因です。
疾患などによる原因
倦怠感は全身疾患が原因で起こることもあります。
もし生活習慣の乱れなどに心当たりがない場合は、隠れた病気のサインである可能性が高いです。
倦怠感の原因となるのは、たとえば以下のような疾患です。
ウェルニッケ脳症
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1不足によって起こる病気です。特にリスクが高いのは、大量飲酒の習慣がある方です。
ウェルニッケ脳症では、ビタミンB1不足によって脳に小さな出血が生じます。
初期症状として代表的なのが倦怠感です。
症状の進行に伴い、眼の震え・歩行時のふらつき・意識障害などがあらわれます。
脳機能が低下しやすくなるため、そのまま認知症に移行することも少なくありません。
うつ病
倦怠感はうつ病の主な症状の1つです。
ちなみにうつ病とは、気分障害の1種です。
発症原因の1つとして、脳の神経伝達物質の機能低下が指摘されています。
簡単にいえば、脳の働きが悪くなるため、身体的・精神的に不調を感じやすくなるのです。
倦怠感に加え、憂鬱・不安感などの精神的症状がある場合、うつ病の可能性が高いです。
そのほか、食欲不振・不眠・肩こりなどの症状を伴うこともあります。
風邪
倦怠感は風邪・インフルエンザの症状でもあります。
倦怠感のほかに微熱・鼻水・咳などを伴う場合、風邪を疑いましょう。
倦怠感が出やすいのは、風邪のひき始め・治りかけです。
ただし、症状の程度やあらわれ方は個人差があります。
がん
がんでは倦怠感があらわれやすくなります。
倦怠感は、がん自体によって引き起こされることもあれば、治療・薬の副作用によって生じることもあります。
がん自体が倦怠感を引き起こす場合、原因としてがん悪質液が考えられます。
がん悪質液は、がん細胞が作り出す「サイトカイン」という物質によって引き起こされます。
主な症状は食欲不振や筋肉減少などです。
また、なにもしていないのに活動エネルギーが消費されるため、慢性的な疲れやだるさを感じやすくなります。
急性肝炎
急性肝炎は、急激に肝臓に炎症が起こることです。
主な原因として、肝炎ウイルスへの感染があげられます。
急性肝炎の代表的な症状が倦怠感です。
そのほか、黄疸・吐き気・腹痛・発熱・尿の色が濃いといった症状があらわれます。
急性肝炎は、重症化して急性肝不全に移行することもあります。
肝不全を防ぐためにも、症状に気づいたらすぐに病院を受診してください。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群
筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群は、原因不明の慢性疾患です。強い倦怠感や微熱・頭痛・抑うつ症状などが慢性的に続き、日常生活を送るのが困難になります。
休養しても疲れが取れない場合や、疲労感・だるさが半年以上続く場合は、筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群が疑われます。
更年期障害
更年期障害は、更年期にあらわれるさまざまな不調の総称です。特に女性に目立ちますが、男性でかかる方もいます。
更年期とは、閉経をはさんで前後10年間を指します。
具体的な年齢は個人差がありますが、40代後半~50代で更年期を迎えるケースが多いです。
更年期ではホルモンバランスが大きく変動します。
結果、身体がホルモンバランスの影響を受けて、倦怠感や頭痛・めまいなどの症状があらわれやすくなります。
コロナ
新型コロナ感染症では、コルナウイルスに感染することで発症します。
主な症状として、強い倦怠感が指摘されています。
そのほかの症状としては咳・発熱・関節痛・嗅覚の異常などが代表的です。
ただし、症状の程度・あらわれ方は個人差があります。
また、倦怠感は、快復後も後遺症として残る場合があります。
腎不全
腎不全は腎臓の機能が30%以下に低下した状態です。
より具体的には、腎機能の低下によって、老廃物を尿として体外に排出できなくなった状態が腎不全と呼ばれます。
主な症状は倦怠感・むくみ・高血圧です。
重症化すると、高カリウム血症や心疾患、尿毒症などが起こることもあります。
倦怠感は、腎不全の末期にあらわれやすい症状です。
そのため倦怠感は、人工透析を始める目安とされることもあります。
睡眠無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が無意識に停止する状態です。
睡眠中に大きないびきをかいたり、息苦しさで眼が覚めたりする頻度が高い場合、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
睡眠時無呼吸症候群になると、十分な睡眠が取れなくなります。
つまり身体が休まらないため、日中に強い倦怠感や眠気などを感じやすくなります。
集中力や注意力が低下して、仕事・学業に支障をきたすケースも多くみられます。
糖尿病
糖尿病は、血液中の糖の量が異常に多くなる状態です。
主な原因は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きが低下することです。
糖尿病になると、体内の糖を活動エネルギーに変換できなくなります。
結果、身体がエネルギー不足になり、疲れやだるさを感じやすくなります。
貧血
貧血は、血液中のヘモグロビンという成分が不足した状態です。ヘモグロビンは全身に酸素を運搬する役割があります。
ヘモグロビンが不足すると身体が酸欠になるため、だるさ・めまいなどの不調があらわれやすくなります。
貧血の代表的な原因は鉄分不足です。
鉄分はヘモグロビンの原料であるためです。
原因不明の倦怠感は何科に行くべき?
倦怠感で病院を受診する場合、何科を受診すべきでしょうか。
まず受診すべきは内科です。
倦怠感は、隠れた病気のサインである可能性が高いためです。
原因不明の倦怠感が続く場合は、まず検査を受けて身体的異常がないかを調べましょう。
なお、診療科は必ずしも内科にこだわる必要はありません。
たとえば頭痛を伴う場合は、脳神経外科などでの検査がおすすめです。
倦怠感以外に気になる症状がある場合、症状にあわせた診療科を選びましょう。
何科を受診すべきか迷ったときは、とりあえずかかりつけ医に相談するのもよい方法です。
では、検査を受けても身体的な異常が見つからなかった場合、どうしたらよいでしょうか。
おすすめは、精神科・心療内科の受診です。
病気などの身体的異常がない場合、倦怠感の原因は精神障害である可能性が高いです。
代表的なのはうつ病です。
精神障害は、放置するほど回復までの時間が長くなる傾向があります。
もし身体的な問題がなく、かつ倦怠感が続く場合は、念のため精神科や心療内科を受診するのも1つの方法です。
- 病院で検査しても原因が見つからない場合、心の問題である可能性が高い
- 原因不明のときは精神科、心療内科に行ってみるのもおすすめ
倦怠感を治す6つの対策・対処法
倦怠感の原因の多くは、生活習慣の乱れです。
たとえば不規則な生活やストレスが代表的です。
倦怠感を解消するには、まず生活習慣を見直しましょう。
具体的なポイントを6つご紹介します。
(1)しっかり睡眠をとる
倦怠感の原因は、疲労の積み重ねであることが多いです。
疲労が蓄積していると感じる場合、まずは身体をゆっくり休めましょう。
具体的には質のよい睡眠を心がけてください。
1日の睡眠時間は6~8時間が理想的です。
睡眠の質を高める方法には以下があります。
- 起床・就寝の時間を一定にする
- 食事・運動は就寝の2~3時間前までに済ませる
- 就寝の2~3時間前に入浴して身体を温める
- 夜は照明を下げてリラックスできる雰囲気を作る
- ブルーライトは眠気を妨げるため、就寝1時間以内のPC・スマホの使用は控える
- 起床後は朝陽を浴びる
- 起床1時間以内に朝食をしっかり摂る
(2)食事の栄養バランスを意識する
倦怠感の解消のためには、栄養バランスのよい食事が大切です。
炭水化物・タンパク質・脂質のほか、ビタミン・ミネラルをしっかり摂りましょう。
栄養をまんべんなく摂取するには、さまざまな食品を少しずつ食べるのがおすすめです。
一汁三菜を心がけると自然と品数が増えるため、栄養バランスが整いやすくなります。
なお、倦怠感がある場合は胃腸の働きが弱まっていることが多いです。
胃腸に負担をかけないためには、消化のよい食事や、よく噛んで食べることを心がけましょう。
(3)ストレスを解消する
ストレスは倦怠感の代表的な原因です。
倦怠感を緩和するためには、ストレスをためないような工夫をしましょう。
たとえば仕事上でのストレスが溜まっている場合、配置換えや仕事量の見直しなどが求められます。
すでに溜まってしまったストレスは、適度に発散しましょう。
たとえば趣味・旅行・買い物のほか、休養などは、ストレスを発散するためのよい方法です。
(4)軽い運動を取り入れる
適度な運動は倦怠感を緩和してくれます。
身体を動かすと筋肉の緊張がほぐれて、気分がリラックスしやすくなるためです。
おすすめなのは有酸素運動です。
ウォーキングや散歩、水泳などに無理のない範囲で取り組みましょう。
(5)疲れを感じたら休憩する
倦怠感を解消するには、疲れをため込まないことが大切です。
疲れを感じたら、無理をせずこまめに休憩しましょう。
可能であれば、すこし昼寝するのもおすすめです。
ただし、長時間の昼寝はかえって倦怠感の原因となります。
昼寝時間は長くても30分以内にしましょう。
(6)入浴(半身浴)をする
入浴は身体のリズムを整える効果があります。
就寝前など身体を休めたいときは、38℃前後のお風呂にゆっくり浸かるのがおすすめです。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かると心身がリラックスします。
自然と身体が休息モードに切り替わるため、疲労が回復されやすくなります。
反対に、朝など活動前の時間帯であれば、熱めのお風呂に入りましょう。
41~42℃くらいのお風呂にさっと入ると、身体が活動モードに切り替わりやすくなります。
倦怠感を回復する栄養素にも注目!
倦怠感を回復する栄養素をご紹介します。
ぜひ、日々の食事に取り入れてください。
栄養素 | 主な効果 | 豊富な食品の例 |
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変換する・倦怠感・肉体疲労・眼精疲労・肩こりの改善 | 豚肉・レバー・うなぎ・かつお・大豆 |
ビタミンB2 | 糖質・タンパク質・脂質をエネルギーに変換する・疲労物質の乳酸を取り除く | レバー・うなぎ・いわし・牛乳 |
パントテン酸 | 疲労感・頭痛・手足のしびれの改善 | 桜エビ・ほうれん草 |
クエン酸 | 疲労物質を取り除く・ストレスの緩和 | レモン・グレープフルーツ・酢 |
マグネシウム | 疲労回復・イライラの改善・手足のしびれの改善 | ホタテ・かつお・あじ・大豆・穀類 |
長く続く倦怠感は慢性疲労症候群かも?
倦怠感の原因の1つとして、慢性疲労症候群が疑われます。
慢性疲労症候群とは、日常生活に支障をきたすほどの強い倦怠感が6ヶ月以上続く状態です。
倦怠感のほかに、さまざまな症状を併発するのが特徴です。
たとえば発熱・頭痛・関節痛・のどの痛み・リンパ節の腫れなどが代表的です。
慢性疲労症候群は発症原因・病態が判明していません。
ただし一説では、ストレスや生来の性格などが影響すると指摘されています。
病気などの器質的な問題がなく、十分な休養を取っても倦怠感が解消されない場合は、慢性疲労症候群の可能性が高いです。
慢性疲労症候群のセルフチェックをしてみよう
慢性疲労症候群のセルフチェック項目をご紹介します。
原因不明の倦怠感がある方は、ぜひお試しください。
【YES/NOで答える】
- 疲れやすい
- 寝ても疲れが取れない
- 頭痛・頭が重いと感じる
- 関節痛・筋肉痛がある
- のど・微熱がある
- リンパ節の痛みがある
- 集中力・注意力がなく、ミスが多い
- ボンヤリすることが多い
- 寝付けない・朝起きられない
- なにをするにもやる気がおきない
- 無性に悲しい・不安がある
- 音や光を過敏に感じる
該当項目が多い場合は病院へ
上記のセルフチェックで該当項目が多い場合は、慢性疲労症候群の可能性が高いです。
慢性疲労症候群は市販薬などで対処できません。
慢性疲労症候群が疑われる場合は、かならず医療機関を受診してください。
診療科は内科がおすすめです。
身体に病気・ケガなどがない場合は、精神科・心療内科を検討してください。
慢性疲労症候群の治療内容は、症状などによって異なります。
一般的には、以下のような治療を行うことが多いです。
- 抗酸化治療
- 抗炎症治療
- 精神療法
- 運動療法
- 漢方薬による治療
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抗うつ薬・向精神薬などによる治療 特に女性は慢性疲労症候群に注意が必要!
慢性疲労症候群は、20~50代の男女によくみられます。
厚生労働省のデータをもとに、慢性疲労症候群の傾向をみていきましょう。
出典:厚生労働省【様式1 事 業 実 施 報 告 書 慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業 調査責任者 遊道 和】
出典:厚生労働省【難病・慢性の痛み関連情報 |厚生労働省】
重症患者は女性が多い
女性は男性に比べて、慢性疲労症候群が重症化しやすいです。
男性(%) | 女性(%) | |
全体 | 22.3 | 77.7 |
重症 | 5.4 | 94.6 |
中等症 | 32.2 | 67.8 |
軽症 | 26.7 | 73.3 |
特に重症化しやすいのは、慢性疲労症候群の罹患率が長い方です。
たとえば軽症群の平均罹病期間が4年であるのに対し、重症群は6年です。
なお、慢性疲労症候群の発症要因としては以下が指摘されています。
- 発熱
- 感染症
- 過労・ストレス・環境変化・人間関係等
- 思い当たらない
悪化すると生活に影響がでる可能性も
慢性疲労症候群は、重症化すると日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
たとえば疲労感から寝たきりになってしまい、日常の家事が難しくなるケースは多々みられます。
特に困難になるのは買い物・調理です。
洗濯・掃除などが難しいと感じる方もいます。
家事をこなせた場合でも、その後に疲労感が増したり、寝たきりになったりする方も非常に多いです。
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倦怠感の原因とは
ここまで、倦怠感の原因についてお伝えしてきました。
倦怠感の原因の要点を以下にまとめます。
- 倦怠感を引き起こす生活習慣は、偏った食生活・睡眠不足・ストレスなど
- 倦怠感を引き起こす疾病は、うつ病・糖尿病・更年期障害・がんなど
- 倦怠感を改善するには、規則正しい生活習慣を心がける
- 慢性疲労症候群とは、日常生活に支障をきたすほどの強い倦怠感が長期間続いている状態
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。