出生前に胎児の染色体や遺伝子の異常を検査できる「NIPT」は、今注目されています。
しかし、費用が高く、医療機関によっては、受けるための条件があります。
この記事では、NIPT検査の費用について説明します。
- NIPTの費用相場15~20万円
- 価格の安い医療機関を選択したり必要項目だけの検査に絞ると安くできる
- 妊娠10週以降、全年齢の特定条件を満たす妊婦が対象
後半には出生前診断の種類についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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NIPT検査とは
そもそもNIPT検査とは何かについて説明します。
NIPT検査は「新型出生前診断」
NIPT検査は、通称「NIPT」と呼ばれる「新型出生前診断」のことです。
妊娠10週から行うことのできる、非確定的なスクリーニング検査です。
NIPT検査の仕組み
NIPT検査では母体から採血し、血中に浮遊するDNA断片から、胎児の染色体異常を検査します。
一般的な染色体疾患(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー)その他の染色体疾患、性染色体または微小欠失症などの検査ができます。
NIPT検査の特徴
NIPT検査にどのような特徴があるのか説明します。
- 赤ちゃんへの負担が少ない
NIPT検査は母体血からの採血で検査できるため、検査による流産や死産の心配がありません。
- 検査精度が高い
検査機関によっても精度が異なりますが、他の非確定的検査と比べて検査精度が高いことが特長です。
- 早期から検査可能
妊娠早期の10週から検査ができるので、赤ちゃんの状態が早くわかります。
NIPT検査について知る
ここまでNIPT検査について解説してきましたが、NIPTの検査結果を正確に解釈するためには専門的な知識が必要です。
NIPT検査は母体への負担も少なく、妊娠早期から実施できます。
また,検査は採血のみのため、お腹にいる赤ちゃんへの影響はありません。
流産のリスクがなく、妊娠初期に高い精度で行うことが可能です。
最新の遺伝子検査を利用したNIPT検査について知りたい方やNIPT検査を考えている方は,こちらのサイトも併せてご覧ください.
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NIPT検査に必要な検査費用
それでは、本題のNIPT検査に必要な検査費用について説明します。
NIPT検査の費用相場
NIPT検査の費用相場は、15〜20万円です。
検査機関や検査内容によって費用は異なります。
他の出生前診断との比較
他の出生前診断との比較が以下の表です。
NIPT検査 | 15〜20万円 |
母体血清マーカー検査 | 2〜3万円 |
コンバインド検査 | 3〜5万円 |
羊水検査 | 10〜20万円 |
超音波検査 | 2〜3万円 |
このように、他の出生前診断と比べて費用が高額であることがわかります。
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NIPT検査の費用は補助が出ない
NIPT検査の費用は、補助が出ません。
その詳細について説明します。
医療費控除・医療保険とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定金額を超えた場合に受けられる控除のことをいいます。
国民健康保険法や、健康保険法などにより定められている診療を、「保険診療」といいます。
保険診療の場合、医療保険加入者は保険証を提示することで、自己負担は原則3割になります。
出生前診断は医療費控除・医療保険適用対象外
出生前診断は、医療費控除の対象外です。
その理由として、胎児の染色体異常を調べたとしても、治療に繋がらないためです。
医療保険も、出生前診断は自由診療であるため、適用されません。
そのため、検査費用が全額自己負担になります。
検査費用は各医療機関が決定して良い決まりになっているため、医療機関により金額が大きく異なります。
NIPT検査の認可施設と無認可施設の違い
NIPT検査を実施できる医療機関には、認可施設と無認可施設があります。
日本医学会と日本産科婦人科学会が出した「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」という指針による認定を受けている施設を認可施設、受けていない施設を無認可施設といいます。
認可施設でNIPT検査を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
無認可施設は、認可施設に比べて費用が安く、検査条件が緩くなっています。
しかし、無認可施設は遺伝カウンセリングがない、フル検査ではない、何か問題が生じた場合のケアが弱いなどの欠点があります。
そのため、その後問題になりやすいため、認可施設での検査をおすすめします。
NIPT検査の認可施設と無認可施設の利用割合
NIPT検査受検経験のある女性1,198人へ実施した、認可施設と無認可施設の利用割合の調査があります。
調査の結果、認可施設と無認可施設の利用割合は、認可施設が48%、無認可施設が50.9%であり、NIPT検査受検者の半数以上が無認可施設で検査を受検していることがわかりました。
無認可施設を選択する理由としては、
- 3つの染色体疾患以外の検査ができる
- 受診当日に検査を受けられる
- インターネット上の広告や口コミ
- インターネットで予約ができる
- 検査費用が安い
などが挙げられました。
NIPTの検査条件
認可施設でNIPT検査を受検するためには、以下の条件を満たすことが必要となります。
- 胎児超音波検査で胎児が染色体数的異常を有する可能性があると指摘された場合
- 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性があると指摘された場合
- 染色体数的異常を有する子供を妊娠、または出産した既往がある場合
- 高年齢の妊婦(出産時の年齢が35歳以上)
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーになる可能性がある場合
認可施設では、これらの条件のいずれかに該当しなければ、NIPT検査を実施できません。
また、多くの施設では医師からの予約・紹介、夫婦同伴での外来受診が必要となります。
即日の採血が可能な施設だけでなく、採血を実施するまでに2〜3回の外来受診が必要な施設もあります。
NIPT検査の流れ
一般的なNIPT検査の流れについて説明します。
予約する
検査する医療機関を決め、検査日時、検査項目を予約します。
医療機関により、電話予約やネット予約など予約方法が異なる場合があります。
遺伝カウンセリング
認可施設では、NIPT検査を受ける前に、原則、専門家である臨床遺伝専門医または、認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを受けます。
遺伝カウンセリングでは、検査に関する適切な情報を十分に理解し、検査を受けるかどうかを判断することなどを主な目的としています。
無認可施設など、遺伝カウンセリングがない場合もあります。
NIPTの実施
採血を実施します。
採血は遺伝カウンセリングと同じ日に行う医療機関もあれば、後日改めて行う医療機関もあります。
結果報告
医療機関にもよりますが、検査結果は採血日から1〜2週間後にわかります。
認可施設では、検査結果の説明や、必要に応じて検査前遺伝カウンセリングでの説明内容の確認、さらに追加で確定検査する必要があるのかなどについて、検査後遺伝カウンセリングを受けます。
無認可施設などでは、検査後遺伝カウンセリングがない場合もあります。
その場合は郵送、または電子ダウンロードで、検査結果を受け取ることとなります。
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NIPT検査の結果報告後の判断基準
NIPT検査の結果報告後の判断基準について説明します。
陰性判定の場合
NIPT検査は、精度が高い非確定診断です。
低リスクと判定された場合であっても偽陰性の可能性は否定できません。
かかりつけ医で引き続き定期診断を受けるなどして、経過観察することになります。
陽性判定の場合
高リスクと判定された場合は、確定診断(羊水検査、絨毛検査)によって確認できます。
医療機関によっては、陽性判定後、確定診断費用を補助するところもあるため、事前に調べておくと良いでしょう。
保留判定の場合
採血した血液中の胎児DNA量が足りない場合や、投薬の影響で検査結果が出なかった場合などには、再分析となり、通常よりも時間を要します。
再分析の結果が保留判定の場合は、再採血となります。
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NIPT検査の注意点
NIPT検査の注意点やデメリットについて紹介します。
NIPTは確定検査ではない
NIPTは非確定検査です。
したがって、出生前の異常について確定診断はできません。
陽性判定が出た場合は、確定検査を受ける必要があります。
確定検査は、非確定検査と違って診断を確定できます。
確定検査にはお腹から針を刺して採取した羊水を使用する羊水検査と、同様にお腹から針を刺して採取した絨毛細胞を使用する絨毛検査があります。
しかし、どちらの検査も破水・出血・感染などの合併症を起こしたり、流産や死産を引き起こす可能性があります。
全てが検査できるわけではない
NIPT検査では、主に染色体異常による疾患の可能性を検査します。
したがって、他の先天性疾患についての判断はできません。
他の先天性疾患について調べる場合は、NIPT検査以外の検査を受ける必要があります。
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出生前診断の種類
NIPT検査の他にも、出生前診断にはいくつか種類があります。
それぞれの検査方法や特徴などを説明します。
超音波エコー検査 | ||
検査方法 | 超音波エコー | |
検査可能時期 | 11〜13週 | |
特徴 | ・超音波エコーで胎児の首後方の浮腫(NT)をはかる ・染色体疾患や心臓奇形のマーカー ・非確定検査 |
母体血清マーカー検査 | |
検査方法 | 採血 |
検査可能時期 | 15〜18週 |
特徴 | ・ダウン症、18トリソミー、開放性神経管奇形の検査 ・非確定検査 |
コンバインド検査 | |
検査方法 | 超音波エコーと採血検査法 |
検査可能時期 | 11〜13週 |
特徴 | ・2つの検査結果を組み合わせることで精度が上がる ・ダウン症と18トリソミーの検査 ・検査から結果報告まで2週間程度 ・非確定検査 |
絨毛検査 | |
検査方法 | 超音波エコーを使用しお腹を穿刺する |
検査可能時期 | 11〜14週 |
特徴 | ・超音波画像をみながら妊婦のお腹に針を刺して絨毛細胞を採取し検査する ・染色体疾患全般の検査 ・検体採取から結果報告まで2〜3週間 ・破水、出血、感染、穿刺による母体障害、流産、死産の可能性あり ・確定検査 |
羊水検査 | |
検査方法 | 超音波エコーを使用しお腹を穿刺する |
検査可能時期 | 15〜16週 |
特徴 | ・超音波画像をみながら妊婦のお腹に針を刺して羊水を採取し検査する ・染色体疾患全体の検査 ・検体採取から結果報告まで2〜3週間 ・破水、出血、感染、羊水塞栓症、穿刺による母体障害、流産、死産の可能性あり ・確定検査 |
NIPT検査の費用まとめ
NIPT検査の費用についてのまとめです。
- NIPT検査に必要な費用は15〜20万円が相場
- 認可施設は日本医学会からの認可があり、専門家による遺伝カウンセリングなどサポートが充実しているが、検査条件がある
- 無認可施設は日本医学会からの認可がなく、遺伝カウンセリングなどのサポートが弱い場合もあるが、比較的費用が安く、検査条件が緩い
- NIPTの検査条件は、
- 胎児超音波検査や母体血清マーカー検査で胎児が染色体数的異常を有する可能性があると指摘された場合
- 染色体数的異常を有する子供を妊娠、または出産した既往がある場合
- 高年齢の妊婦(出産時の年齢が35歳以上)
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーになる可能性がある場合
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。