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健達ねっと>健康お役立ち記事>栄養>乳酸菌を食べると下痢になる?整腸作用や乳糖不耐症などの原因を解説

乳酸菌を食べると下痢になる?整腸作用や乳糖不耐症などの原因を解説

乳酸菌はヨーグルトなど多くの乳製品で摂ることができます。
乳酸菌には腸内環境を整える整腸作用があります。

乳製品を食べてお腹が痛くなる人がいますがなぜでしょうか?
乳酸菌と下痢とはどのような関係があるでしょうか?

本記事では乳酸菌を食べて下痢になる現象について以下の点を中心にご紹介します。

  • 乳酸菌が持つ腸への働きについて
  • 乳酸菌を食べて下痢になるのは本当かについて
  • 乳酸菌を食べて下痢になる人の特徴について

乳酸菌を食べて下痢になる現象について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読み下さい。

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乳酸菌とは

乳酸菌とは糖を発酵させて乳酸を作る微生物の総称です。
乳酸菌は人体に有益な善玉菌と呼ばれ以下のような働きをします。

  • 腸内で大腸菌などの悪玉菌の繁殖を抑える
  • 腸内細菌のバランスをとって腸内環境を整える

乳酸菌を含む食品としては以下のような発酵食品があります。

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 漬物
  • 乳酸菌飲料

ヨーグルトのパッケージでよく見かけるビフィズス菌も乳酸菌の1種です。
尚、乳酸菌を含む食品は摂りすぎるとお腹がゆるくなる場合があります。

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下痢の症状について

医学的には下痢の厳密な定義はありません。
おおむね以下のような状態をさして「下痢」といいます。

  • 便が水っぽくなっている状態
  • 固まっていない便が1日に何度もでる

下痢は症状が続く期間で以下の2つに分けられます。

  • 急性下痢:発症からほぼ1週間以内に症状が治まる下痢
  • 慢性下痢:発症から1ヵ月以上続く下痢

下痢になる主な原因は急性下痢と慢性下痢で異なります
急性下痢になる主な原因は以下のようなものです。

  • 暴飲暴食
  • 刺激物の摂取
  • アルコールの摂りすぎ
  • ウイルスや細菌の感染
  • 食あたり
  • 薬剤や心理的要因

慢性下痢になる主な原因は以下のようになります。

  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)
  • 腫瘍(大腸がんなど)
  • 乳糖不耐症
  • 薬剤や心理的要因
  • 過敏性腸症候群

下痢の症状は便の状態と下痢に伴って出現する症状をみます。
便の状態は、

  • 便が軟らかいだけや水っぽいだけか
  • 便に色がついている(黒い、白い、赤いなど)か
  • 便に血液や粘液が混じっていないか

などから下痢になる原因が診断できるので大変重要な手がかりになります。

下痢に伴って出現する症状には以下のようなものがあります。

  • 腹痛
  • 発熱
  • 悪心
  • 嘔吐

急性下痢の場合は重大な病気が原因になっている場合もまれにあるので注意が必要です。
以下のような病気の初期症状が下痢の場合があります。

  • 敗血症(細菌感染が重症化し起こる)
  • 心筋梗塞
  • 大動脈瘤の破裂
  • 胃腸からの出血

また下痢のほかに一緒にあらわれる症状として

  • 腹痛
  • 胸痛
  • 血圧低下
  • ショック症状

などがあります。

急性下痢の場合はほとんどが暴飲暴食など生活習慣の乱れが原因です。
下痢の症状が出たときは以下のようなことに気を付けましょう。

暴飲暴食を控える脂っこい食事を控える
辛いものを控える刺激物(飲酒やコーヒー)を控える
冷たい食べ物・飲み物を控えるお腹を冷やさない

下痢をしているときは脱水状態になりやすくなっています。
適度な水分補給、お腹をあたためてゆっくり休養しましょう。
尚、慢性下痢の場合は、原因となる病気の治療を行う必要があります。

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乳酸菌が持つ腸への働き

乳酸菌が持つ腸への働きについて以下の4つが挙げられます。

  • 腸内細菌叢のバランスを整える
  • 腸内環境を産生側に傾けて腐敗を抑制する
  • 腸の蠕動運動を促す
  • 腸管免疫による感染防御作用

それぞれの働きについてご説明します。

腸内細菌叢のバランスを整える

乳酸菌には腸内細菌叢のバランスを整える働きがあります。
腸内細菌叢は善玉菌と悪玉菌、どちらでもない中間の菌の3つから構成されています。

腸内細菌叢の中で多いほうから

  • 中間の菌
  • 善玉菌
  • 悪玉菌

の順番で、相互に密接な関係を保ちながら複雑にバランスをとっています。

腸内細菌叢のバランスは以下のような原因で悪玉菌が増えると崩れることがあります。

  • タンパク質や脂質中心の食事
  • 不規則な生活
  • 各種のストレス
  • 便秘

善玉菌は悪玉菌の増殖を抑え腸内細菌叢のバランスを整える働きをします。
乳酸菌を意識して摂取することは腸内環境を整え健康を維持することに効果があります。

腸内環境を酸性側に傾けて腐敗を抑制する

乳酸菌が優勢な腸内環境では腸内が酸性に保たれています。
乳酸菌は腸内を酸性にするために乳酸や酢酸などを作って悪玉菌の増殖を抑えます。

腸内細菌叢は大腸がんや炎症性腸疾患などの発症と密接な関係があるとされています。
大腸がんや炎症性腸疾患の方は健康な方に比べて腸内環境が悪玉菌優勢に著しく変化することが知られています。
乳酸菌の腸内を酸性に持っていく働きは、がんや炎症で腸内環境悪化の進行を抑制します。

腸の蠕動運動を促す

乳酸菌には腸の蠕動運動を促す働きがあります。
正常な腸内環境では小腸で栄養素や水分を吸収後のカスを大腸へ送り便として排出します。

便秘は悪玉菌が増えて腸管が麻痺し大腸の蠕動運動が鈍くなり便が滞ることで起こります。
乳酸菌で腸内環境を正常なバランスに戻すことは腸の蠕動運動を促すことになります

腸管免疫による感染防御作用

腸には「腸管免疫」という免疫システムが備わっていて感染防御作用があります。
腸管免疫は病原菌やウイルスから私たちの体を守るために以下のような働きをしています。

  • 病原体の発見や情報伝達
  • 病原体への攻撃

腸内環境の悪化は腸管免疫の機能を弱めます。
腸管免疫の機能が弱まると体内での病原菌の増殖を抑えることができません。
乳酸菌には腸内の善玉菌を増やし腸内環境を改善する働きがあります。

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乳酸菌を食べて下痢になるって本当?

乳酸菌を食べて下痢になるのは本当か、以下の3点で説明します。

  • 乳糖不耐症の症状として下痢になる
  • 乳製品を大量に摂るとラクターゼが不足する
  • 冷たい飲食物でお腹が冷える

乳糖不耐症の症状として下痢になる

ヨーグルトや牛乳を摂取してお腹がゆるくなるのは乳糖不耐症が原因です。
乳糖不耐症は乳製品に含まれる乳糖が原因として起こります。

乳糖不耐症とはラクターゼ(消化酵素)不足により乳糖を消化できないことで起こります。
乳糖不耐症の症状には下痢になったり腹部のけいれんなどがあります。

一方、乳製品に含まれる乳酸菌には逆に下痢の症状を改善することが期待できます。
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌には以下のような作用があり体に有益といえます。

腸内の有害菌の排除腸内細菌叢のバランス正常化
栄養素の消化吸収の促進腸の蠕動運動活性化で便の状態の改善
腸管免疫の感染症防御作用

 

乳製品を大量に摂るとラクターゼが不足する

消化酵素のラクターゼの不足が乳糖の消化不良を起こすことは既に説明しました。
乳製品を大量に摂ることでラクターゼが不足して下痢になることがあります。

大量の乳製品を一気に摂ると乳糖の摂取量がラクターゼの分泌量を上回るからです。
ラクターゼの分泌量には個人差があります。
中には体質としてそんなに多くない乳糖でも下痢になる場合もあります。

冷たい飲食物でお腹が冷える

乳糖不耐症以外でも乳製品で下痢になったり腹痛を起こす場合があります。
冷たい飲み物や食べ物で過度に胃腸を冷やすと下痢になりやすくなります。

特に夏場などは冷たい飲食が多くなりがちです。
胃腸を冷やさないためには、食べ方や飲み方を以下のように工夫してはどうでしょう。

  • ヨーグルトであれば冷蔵庫から出してすぐに食べないで常温に戻してから食べる
  • 水や麦茶などは常温で飲む
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乳酸菌を摂ると下痢になる人の特徴

乳酸菌を摂ると下痢になる人には以下のような特徴があります。

乳糖不耐症がある人暴飲暴食することが多い人
刺激物やアルコールを多く摂る人腸の病気がある人
下痢が副作用としてあらわれる薬を飲んでいる人

それぞれの特徴についてご説明します。

乳糖不耐症がある人

乳酸菌が豊富な乳製品を摂ると乳糖不耐症の人は下痢を起こすことがあります。
乳製品の中には糖質の乳糖が含まれます。

乳糖(ラクトース)はグルコースとガラクトースからなる二糖類に属します。
乳糖はラクターゼによってグルコースとガラクトースに分解され体内へ吸収されます。

乳糖不耐症の場合はラクターゼが不足してグルコースとガラクトースが分解されません。
グルコースとガラクトースが分解されず消化不良で大腸へ送られると下痢を起こします。
乳糖不耐症の方はラクターゼ分泌量と活性が不十分なために下痢を起こしやすいのです。

暴飲暴食することが多い人

暴飲暴食することが多い人は乳酸菌の摂取にかかわらず下痢を起こしやすくなります。
下痢の症状を起こす原因で分けると「運動亢進性下痢」にあたります。

運動亢進性下痢は自律神経の乱れから腸の動きが過剰に高まることによって起こります。
腸の動きが高まると便の通過速度が速まり水分の吸収が不十分になって下痢になります。
腹痛を伴う下痢です。

刺激物やアルコールを多く摂る人

刺激物やアルコールを多く摂る人も下痢を起こしやすくなっています。
下痢の症状を起こす原因で分けると「浸透圧系下痢」にあたります。
腸管内に浸透圧の高い成分があると水分が吸収されないまま排便され下痢になります。

腸の病気がある人

慢性的な下痢で以下のような腸の疾患により起こる下痢もあります。

【過敏性腸症候群】
過敏性腸症候群は腸がストレスなどの原因で刺激に過敏になって起こります。
腸が刺激に過敏になることで下痢や便秘などの便通異常を起こす病気です。

【潰瘍性大腸炎】
潰瘍性大腸炎は大腸の炎症性疾患です。
大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができて特徴的な症状に下痢があります。
下痢は血便を伴う場合と伴わない場合があります。

下痢が副作用として現れる薬を飲んでいる人

服用している薬の副作用としてあらわれる下痢もあります。
厚生労働省は薬剤による重度の下痢に対する注意喚起を行っています。

薬剤性の下痢とは、治療薬の服用で以下のようなことを原因とする下痢をいいます。

  • 腸の粘膜の炎症
  • 粘膜に傷がつく
  • 腸管の動きが激しくなる
  • 腸内細菌のバランスを著しく変化させる

原因になる医薬品の代表的なものとして

  • 抗がん剤(イリノテカン、シタラビンなど)
  • 抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系など)
  • 免疫抑制薬

などがあげられています。
出典:厚生労働省【重篤副作用疾患別対応マニュアル 平成22年3月 厚生労働省

薬の使い方

乳製品で下痢になるのを予防するには?

乳製品で下痢になるのを予防する以下の2点についてご紹介します。

  • 乳糖不耐の症状を緩和する
  • 腸内環境を整える

乳糖不耐の症状を緩和する

乳糖不耐の症状を緩和する対処法には以下のようなものがあります。

数回に分けて食べることで1回量を減らす

大量の乳製品を一度にたくさん摂るとラクターゼ不足になる場合があります。
数回に分けて食べることで1回の摂取量を減らし症状を緩和することができます。

温めて食べる

乳製品は冷たいまま食べたり飲まず、できれば温めて摂れば腸への刺激が弱まります。
腸への刺激が弱まればラクターゼの活性化にもつながります。

ゆっくり時間をかけて食べる

ゆっくり時間をかけて食べるのも腸への刺激を弱めることになります。
ラクターゼの働きも盛んになります。

体質に合うヨーグルトやチーズを食べる

自分の体質に合ったヨーグルトやチーズを食べるのも対処法の1つです。
乳糖不耐の症状には個人差があります。

乳糖をどのくらいの量を摂れば下痢が起こるかも一定ではありません。
下痢などの症状が出ない程度の量や食品類から乳糖を摂取することが適切な方法です。

腸内環境を整える

腸内環境を整える方法を以下には以下のようなものがあります。

毎日乳酸菌を食べる

毎日乳酸菌を食べることで腸内環境を整えることができます。
腸内環境を整えるには腸内の善玉菌の割合を増やす必要があります。

乳酸菌は腸内に長く住みつくことができないので毎日乳酸菌を補充することが必要です。
腸内環境を整えるために善玉菌の「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。

食物繊維をしっかり摂る

食物繊維をしっかり摂ることも腸内環境を整える方法です。
腸内の善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。
食物繊維は腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用があります。

水分補給をこまめに行う

水分補給をこまめに行うことも腸内環境を整える大事な方法です。
水分不足は便秘の原因にもなります。

水分を効果的にとることで腸の蠕動運動が活発になり排便を促します。
効果的な水分の摂り方には以下のようなポイントがあります。

  • 朝起きたときにコップ1杯の水を飲む
  • 冷たい水ではなく常温か温めた水(白湯)を飲む
  • こまめな水分補給(1日1.5~2リットル)

お腹周りを中心に運動をする

腸内環境を整えるのにお腹周りを中心に運動をすることが効果的です。
椅子に座った状態や仰向けになってお腹を中心にひねるようなストレッチをします。
お腹周りを刺激することで腸の蠕動運動を促し便秘の改善に効果があります。

おへそ周りを手で時計回りにマッサージして大腸や小腸を刺激する方法もあります。
その他、軽いウオーキング(30分程度)でも腸内環境改善に効果があるといわれています。

乳酸菌の摂りすぎ以外で下痢

乳酸菌の摂りすぎ以外で下痢になる原因は「乳酸菌を摂ると下痢になる人の特徴」の中でもご紹介しました。
あらためて以下にまとめます。

  • 暴飲暴食
  • 過度な刺激物やアルコール摂取
  • 腸の病気
  • 薬剤性

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乳酸菌を食べて下痢になる現象まとめ

ここまで乳酸菌を食べて下痢になる現象についてお伝えしてきました。
乳酸菌を食べて下痢になる現象についての要点を以下にまとめます。

  • 乳酸菌には腸内細菌叢のバランスを整え腸内環境の腐敗を抑制し腸の蠕動運動を促すなどの働きがある
  • 乳酸菌を食べて下痢になるのは乳製品に含まれる乳糖不耐症が原因
  • 乳酸菌を食べて下痢になる人は乳糖不耐症の人、その他腸疾患の人や生活習慣の乱れ、薬剤に原因がある人も下痢になりやすい

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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