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トップページ>健康お役立ち記事>低体温症>低体温症の高齢者の不安とは?予防と対策について徹底解説!

低体温症の高齢者の不安とは?予防と対策について徹底解説!

低体温症は、身体の中が冷えて意識障害などの症状が出た状態です。

特に高齢者は低体温症のリスクが高いため、予防や対処方法を把握しておくことが大切です。
高齢者に低体温症がみられた場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。

本記事では、低体温症の高齢者について以下の点を中心にご紹介します。

  • 高齢者の方の低体温症の原因
  • 高齢者の方の低体温症の予防方法
  • 高齢者の方の低体温症の対処方法

低体温症の高齢者について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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低体温症とは

低体温症とはどのような症状なのでしょうか。
まずは低体温症の基本的な情報をご紹介します。

深部体温が通常よりも低い状態

低体温症とは深部体温が通常よりも低下した状態です。
より具体的にいえば、深部体温が35℃以下の場合が低体温症と呼ばれます。

深部体温とは、身体の内部(内臓・脳)の体温のことです。
なお、深部体温と平熱は異なります。

平熱とは身体の表面的な体温を指し、脇の下などで測ることが一般的です。
一方、深部体温は直腸や肛門で測ることが一般的です。

治療が必要

平熱が低い方は原則として特別な治療は不要です。
対して、低体温症の方は治療が必要な場合もあります。

深部体温が下がりすぎると、生命維持機能に支障が出ることがあるためです。
低体温症は放置すると命を落とすこともあるため、気づいた時点で早急に対処することが大切です。

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高齢者の低体温症の原因とは?

高齢者は低体温症のリスクが特に高いと指摘されています。
高齢者の方の主な低体温症の原因をご紹介します。

環境として寒い場所にいる

高齢者の方の低体温症の代表的な原因は、寒い場所にいることです。
寒い場所としては、冬場の屋外が代表的です。
たとえば冬場の山登り・マラソン大会などが該当します。

低体温症は室内でも起こり得ます。
暖房器具の使用を我慢した結果、室内の気温が下がって低体温症になることは少なくありません。

低体温になりやすい持病を持っている

持病がある高齢者の方は、特に低体温症のリスクが高いと考えられています。

低体温症を誘発しやすい持病の例は次の通りです。

  • 甲状腺機能低下症
  • 下垂体機能低下症
  • 副腎機能低下症

体温調節能力が劣ってきている

高齢者の方が低体温症になりやすい原因として、体温調節機能の低下が指摘されています。
体温調節機能低下の要因は加齢です。

年を重ねると、血管の収縮力が弱くなるため、身体が熱を生み出しにくくなります。
加齢による筋肉量の減少も体温調節機能低下の原因です。

生活習慣が不規則になっている

不規則な生活習慣は、年齢にかかわらず低体温症の原因となります。
理由は、不規則な生活が続くと、体温を調節する自律神経がバランスを乱しやすくなるためです。

不規則な生活とは、たとえば昼夜逆転生活・欠食・運動不足が代表的です。
自律神経を整えて体温調節機能を高めるためにも、規則正しい生活を送りましょう。

本人が寒さを自覚できない

高齢者の方は、若年者に比べると、寒さを実感しにくい傾向がみられます。
寒い環境で寒さを自覚できず、薄着のまま過ごして低体温症になるというケースは少なくありません。

特に低体温症は、冷え性と異なり、身体の冷えを自覚できないケースが多くみられます。
低体温症を防ぐには、まず第1に高齢者の方は冷えを自覚しにくいという意識を持つことが大切です。

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高齢者の低体温症の予防方法

高齢者は低体温症のリスクが高いため、日頃から予防に努めることが大切です。
低体温症の主な予防方法をご紹介します。

習慣的に身体を動かす

低体温症予防のためには、日頃から身体を動かす習慣をつけましょう。
具体的には、運動して筋肉をつけることを意識してください。

筋肉には熱を生み出す作用があります。
高齢者の方は筋肉量が減少しやすいため、身体も冷えやすい傾向がみられます。

筋肉をつけて熱を生み出すためにも、適度な運動に取り組んでみてください。

温かい飲み物を飲む

温かい飲み物を飲むと、身体が内側から温められます。
飲み物を飲むタイミングは、寒いと感じたタイミングです。

温かい飲み物は、起床後に摂るのもおすすめです。
理由は、起床後は深部体温が低くなっているためです。
起床後に温かい飲み物を摂ることで、効率的に体温が上がりやすくなります。

湯舟に浸かる

低体温症を防ぐには、入浴習慣の見直しも大切です。
具体的には、湯船に浸かることを心がけましょう。

湯船に浸かると、末端の毛細血管が拡張しやすくなります。
毛細血管が広がると血行が全身の隅々まで行き渡るため、体温アップが期待できます。

低体温症予防のための入浴のポイントは、ぬるめのお湯に20分以上浸かることです。
なぜ20分かというと、温まった血液が全身を巡るまでに20分程度かかるためです。

ただし、無理に20分以上浸かる必要はありません。
体力などの問題で長時間の入浴が難しいという方は、無理のない範囲で調節してください。

入浴の前後は水分補給を忘れないでください。
入浴中は想像以上に汗をかいており、脱水状態に陥りやすいためです。
脱水症状はかえって健康を損なう原因となります。

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高齢者の低体温症の症状

低体温症の主な症状をご紹介します。
低体温症の早期発見につなげるためにも、ぜひチェックしてください。

意識の低下

低体温症では意識の低下が起こることがあります。

具体的な症状は次の通りです。

  • 思考力が低下する
  • 頭がぼんやりする
  • 周囲の呼びかけに反応しなくなる
  • 意識がなくなる

意識の低下は、低体温症が進行しているサインです。
意識の低下を放置すると、最終的に昏睡状態に至ります。

昏睡すると内臓の働きが悪くなるため、体温はさらに下がりやすくなります。
体温が下がりすぎると、凍死に発展する危険性があります。

体温が急激に下がる

低体温症になると体温が急激に下がります。
具体的なサインは、深部体温が36度を下回った場合です。

深部体温は脇の下などでは測定できません。
深部体温を測るには、専用の体温計で肛門や膀胱の体温を測る必要があります。

ちなみに、脇の下や手足で測る体温は低体温症の目安にはなりません。
脇の下・手足などの温度は、身体を軽く温めただけでも大きく変動するためです。
低体温症かどうかを判断するには、必ず深部体温を測りましょう。

指先が紫色や白色になる

低体温症になると指先・足先などの末端が紫・白っぽくなることがあります。
末端が変色する現象は「チアノーゼ」と呼ばれています。

チアノーゼの原因は、末端に血流が行かなくなることです。
低体温症になると血流が滞りやすくなるため、末端にまで血液が届きにくくなります。

筋肉が震える

筋肉の震えは低体温症の初期にあらわれやすい症状です。
シバリングと呼ばれています。

シバリングが起こりやすいのは骨格筋です。
簡単にいえば、寒さで全身がブルブル震えている場合はシバリングが疑われます。

シバリングは、低体温症が進行するにつれて消失することが一般的です。

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低体温症の高齢者の治療・対策

高齢者が低体温症に陥った場合の対処法をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

身体を温かくする

低体温症が疑われる場合は、まず身体を温めることが大切です。
ただし、温め方は低体温症の程度によって異なります。

【初期の場合の温め方】

  • 暖かい場所に移動する
  • 衣服が濡れている場合は脱がす
  • 肌・髪の水気を拭き取る
  • 温かい飲み物を飲む
  • 毛布・ヒーターなどで身体を温める

【中度~重症の場合の温め方】

  • むやみに身体を動かさない
  • 毛布などで緩やかに体温を上げる(ヒータなどは使わない)
  • 温めるときは胸部を中心にする(四肢を温めない)

特に注意したいのが中度以上の低体温症の方を温めるときです。
中度以上の低体温症では、急激に体温を上げることは止めましょう。
四肢を温めたり、身体をむやみに動かしたりすることも控えてください。

理由は、冷たい血液が心臓に流れ込むおそれがあるためです。
冷たい血液が一気に流れ込むと、心臓がショック(心室細動)を起こす場合があります。

中度以上の低体温症を見分けるには、シバリング(身体の震え)を確認してください。
シバリングがない場合は、低体温症の初期を過ぎている可能性があります。

中度の低体温症が疑われる場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
もし呼吸・心拍が確認できない場合は、心臓マッサージ・人工呼吸も検討してください。

生活習慣を整える

低体温症は生活習慣に起因することもあります。

低体温症を誘発しやすい生活習慣には、たとえば以下があります。

  • 偏った食事
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレス

不規則な生活習慣は自律神経のバランスを乱します。
自律神経が乱れると、体温調節機能が低下しやすくなるため、低体温症のリスクが上がります。

顔面蒼白などがあれば救急車を呼ぶ

低体温症かどうか判断が難しい場合は、救急車を呼ぶのもよい方法です。

救急車を呼ぶ目安は次の通りです。

  • 顔面蒼白
  • 周囲の声かけに反応しない
  • 寒い場所で失神している
  • 温めても症状が改善しない
薬の使い方

低体温症の高齢者の看護の気を付けるべき点

低体温症の高齢者の方の看護での注意点をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

意識状態を確認する

高齢者の方で低体温症が疑われる場合は、意識のレベルをチェックしましょう。

たとえば次のようなポイントに注目してください。

  • 呼びかけに反応するか
  • 意思疎通が取れるか
  • (反応がない場合)瞳孔が開いていないか

意識の混濁・消失がある場合は中度以上の低体温症の可能性があります。
すぐに救急車・医師を呼びましょう。

急激に体温をあげない

低体温症が疑われる高齢者の方には、急激に体温を上げるような真似は控えましょう
たとえばヒーターの利用などが代表的です。

低体温症の方の体温を急激に上げると、心臓に冷たい血液が流れ込んでショック状態に陥ることがあります。

低体温症の高齢者に糖尿病がある場合

糖尿病の持病がある高齢者の方は、ない方にくらべると、低体温症のリスクが高めです。
理由の1つとして、糖尿病の方は血流が悪化しやすい点があげられます。

糖尿病で血流が悪化しやすくなる原因は次の通りです。

  • 血液がドロドロになる
  • 動脈硬化
  • 神経障害

血行が悪化すると、血液が身体の隅々まで届きにくくなるため、体温は下がりやすくなります。

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高齢者の寒さ対策における環境整備とは

屋内での高齢者の低体温症を防ぐための対策をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

室温を整える

低体温症を防ぐには、部屋を温かくしましょう。
具体的には、室温を20℃以上に保つことが大切です。

高齢者の方は寒さを感じにくい傾向があります。
そのため、室温が20℃以下でも「寒い」と感じないこともあります。

実際には身体が冷えているにもかかわらず、室温が低い状態が続くと、低体温症に移行するおそれがあります。

たとえ高齢者の方が寒いと感じていなくても、室温は20℃以上をキープしてください。

温度差が激しい部屋に移動しない

冬場などは屋内でも部屋によって温度差が大きくなります。
高齢者の方は、温度差が激しい部屋の行き来はなるべく控えましょう

理由は、低体温症だけでなく、ヒートショックが起こる可能性もあるためです。
ヒートショックとは、急激な気温差によって血圧が変動し、めまい・失神などが起こることです。

寒い部屋でヒートショックを起こして失神すると、低体温症に移行するおそれがあります。
場合によっては、低体温症から凍死する可能性もあります。

ヒートショック・低体温症を避けるために、温度差の大きい部屋の行き来はやめましょう。
温度差をなくすために、寒い部屋を温める工夫も大切です。

寒くなりやすい部屋は、洗面所・トイレ・浴室などが代表的です。
寒い部屋には小型のヒーターを置くなどすると、温かい部屋との温度差を小さくできます。

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災害時に高齢者の低体温症はリスクが高い?

災害時にはさまざまな悪条件が重なりやすいため、低体温症のリスクが高まります。
悪条件とは、たとえば悪天候・疲労・栄養失調・脱水などです。

特にリスクが高いのは高齢者の方です。
理由は、高齢者の方は若い方に比べると体力が弱く、体温調節機能が低下しているためです。

高齢者の方の低体温症を予防するには、まず低体温症のリスクが高いことを認識しておく必要があります。

可能であれば、風・雨がしのげる場所に移動しましょう。
毛布を身体に巻いたり、段ボールを床に敷いたりして、できる限り冷気をシャットダウンする工夫も大切です。

低体温症悪化のサインがみられた場合は、可能な限り速やかに医療機関に搬送しましょう。
目安となるサインは、意識の低下・呼吸障害・ふらつきなどです。

身体を温めるときは、湯たんぽなどで脇・股の付け根・首の周りを温めてください。
意識がしっかりしている場合は、カロリー・水分を少しずつ補給するのもよい方法です。

出典:厚生労働省【災害時の保健活動推進マニュアル

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低体温症の高齢者のまとめ

ここまで低体温症の高齢者についてお伝えしてきました。
低体温症の高齢者の要点を以下にまとめます。

  • 高齢者の方の低体温症の原因は、温度が低い場所にいる・持病・体温調節機能の低下など
  • 高齢者の方の低体温症の予防方法は、適度な運動で筋肉をつける・湯船で身体を温めるなど
  • 高齢者の方の低体温症の対処方法は、身体を温める・救急車を呼ぶなど

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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