「アデノウイルスは妊婦にどのような影響があるのか気になる」
「アデノウイルスを予防する方法について知りたい」
現在、アデノウイルスについて気になっている方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アデノウイルスの妊婦への影響について以下の点を中心に詳しく解説します。
- アデノウイルスが原因となる病気
- アデノウイルスの妊婦への影響
- アデノウイルスを予防する方法
アデノウイルスと妊婦の関係にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アデノウイルスの特徴
まずは、アデノウイルスの特徴について解説します。
アデノウイルスは流行角結膜炎や胃腸炎、膀胱炎などの感染症を起こす原因となるウイルスです。
症状は各感染症によって異なりますが、高熱が出る、頭痛が起こるといった症状が一般的です。
また、アデノウイルスの型は、1〜51型までと複数あるため、免疫ができにくく、人によっては何回もかかる場合があります。
また、感染力が強いために、簡単に周囲に感染する可能性があります。
感染しやすい時期や主な感染経路
続いて、アデノウイルスに感染しやすい時期や、主な感染経路についてご紹介します。
アデノウイルスは、温暖多湿を好む傾向にあるため、特に5月末頃から増え始めて、夏の時期となる6月や7月にはピークを迎えます。
また、アデノウイルスは、飛沫感染や接触感染がほとんどです。
感染している人の咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込む、感染した人が使用したものに触れた手で、口や鼻に触れた場合などに感染します。
感染してから、症状が出るまでの潜伏期間は5〜7日間、症状が治ったあとは7〜14日間はウイルスを排出し続けます。
治療に関する特効薬はない
次に、治療に関する特効薬がないことについて解説します。
アデノウイルスには、ワクチンや治療のための特効薬がありません。
そのため、感染した後は解熱剤や鎮痛剤、目に症状がある場合は目薬など、それぞれの症状に合わせた対処療法が行われます。
もし感染した場合は、高熱が出た際に体を冷やすなど、風邪を引いた時と同じような対処が必要です。
アデノウイルスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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アデノウイルスが原因の病気
ここでは、アデノウイルスが原因の病気について、以下の5つをご紹介します。
- 胃腸炎
- 咽頭結膜炎
- 流行性角結膜炎
- 呼吸器感染症
- 膀胱炎
①胃腸炎
アデノウイルスが原因の病気の1つ目は「胃腸炎」です。
胃腸炎の主な症状は、下痢や嘔吐、嘔気、微熱、腹痛などで、ロタウイルスが原因の胃腸炎と症状は似ています。
激しい嘔吐などは少ないですが、咽頭炎や頭痛などを合併する可能性が高いです。
感染経路としては、便の中のウイルスが口に入る、飛び散ったウイルスを吸い込むなどが挙げられます。
アデノウイルスによる胃腸炎は、乳幼児期に見られるため、子供の排泄物などを処理した際に親に感染するケースもめずらしくありません。
また、感染しても症状が出ない場合もあり、他の人に無自覚に移してしまう可能性もあります。
②咽頭結膜炎
2つ目は「咽頭結膜炎」です。
咽頭結膜炎の主な症状は、発熱や頭痛、喉の痛み、結膜炎などで、場合によっては高熱が1週間近く続く場合もあります。
特に夏の時期に子供を中心に流行しやすく、プール熱とも呼ばれています。
プール熱と呼ばれる理由は、水の消毒が不十分なプールや、プール後のタオルの貸し借りなどが原因で感染が広がるためです。
また、プールはもちろん、温泉施設などでも同様の理由で感染する可能性があります。
もし、感染してしまった場合は、感染の拡大を防ぐために症状消失2日後までは登校や登園はできません。
③流行性角結膜炎
3つ目は「流行性角結膜炎」です。
流行性角結膜炎の主な症状は、白目の充血やたくさんの目やに、涙目になるほか、黒目に傷がつくとしょぼしょぼ感、異物感などです。
しかし、他の病気のように発熱などはありません。
また、片目だけに症状が出ても、数日後にはもう片方の目にも症状が出る場合もあります。
症状が出てから治るまでには、7日〜14日ほどの時間がかかりますが、休息が十分でない場合は1ヶ月ほどかかる可能性もあります。
流行性角結膜炎は、非常に伝染力が強いため、子供の場合は伝染の可能性がなくなるまで登校禁止です。
大人であっても仕事を休むよう、医師から指示されるでしょう。
④呼吸器感染症
4つ目は「呼吸器感染症」です。
呼吸器感染症の主な症状は、喉の腫れや痛み、炎症などで、人によっては鼻炎などが表れる場合もあります。
ほぼ、風邪を引いた時と同じような症状です。
また、扁桃周辺に炎症が発生した場合は、激しい咳が出ることもあるでしょう。
咳はなかなか治りにくく、ほかの症状が治っても咳だけは残り続ける場合もあります。
さらに、重症化した場合は気管支炎や肺炎などが起こり、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
複数あるアデノウイルスの型の中でも、特に7型は肺炎などの重症を引き起こす原因です。
⑤膀胱炎
5つ目は「膀胱炎」です。
膀胱炎の主な症状は、排尿時の痛みや血尿、尿意の頻発、場合によっては微熱が出ることもあります。
また、肉眼ではわからないほどの血尿が起こる場合もあります。
原因となるのはアデノウイルスの11型が主で、乳幼児よりも小学生以降や成人などに多く見られる症状です。
症状自体は2〜3日で良くなり、血尿は10日程度で改善する場合が多いです。
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アデノウイルスの妊婦への影響
次に、アデノウイルスの妊婦への影響について解説します。
妊娠中にアデノウイルスが原因の病気にかかっても、ウイルスが直接胎児へ影響を与えることや、母乳にウイルスが入ることはありません。
また、アデノウイルスに関係なく、ウイルス感染が胎児の発育に大きく影響するのは、妊娠4週目までです。
そのため、4週目前後で高熱やウイルスへ感染した場合は、胎児へ影響が起こる可能性も考えられます。
また、妊婦の場合は免疫自体が下がっているため、感染症にかかりやすくなります。
妊娠している場合は、普段以上に感染症への対策が必要です。
もし、妊娠期間中にアデノウイルスなどの感染症にかかった場合は、医師へ相談しましょう。
妊婦の人が気を付けるべきアデノウイルスの感染経路
ここでは、妊婦の人が気を付けるべきアデノウイルスの感染経路についてご紹介します。
アデノウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
そのため、家族や友人などがアデノウイルスに感染している場合は、特に注意しましょう。
特に、すでに小さな子供がいる家庭は、警戒をしておきましょう。
子供がプール熱や胃腸炎などにかかった場合、看病の際に移る可能性が高まるからです。
アデノウイルスは胎児や母乳に直接影響はありませんが、体調不良によってさらに別のウイルスにかかる可能性があります。
健康に過ごすためにも、周囲でアデノウイルスによる病気になった人がいる場合は、できる限りタオルなどを共有しない、洗濯を別で行うなどの対策を行いましょう。
妊婦がアデノウイルスを予防する方法
ここでは、妊婦がアデノウイルスを予防する方法を4つご紹介します。
- 手洗い・うがい
- プール後のシャワー
- タオルなどを分けて使う
- リネン類を洗浄・消毒
予防方法①|手洗い・うがい
妊婦がアデノウイルスを予防する方法の1つ目は「手洗い・うがい」です。
アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいという特徴があるため、石けんを使った手洗いとうがいが大切です。
アルコール消毒のみでは効果が期待できませんが、丁寧に手洗いをしたうえで、手指消毒を行うと効果があるとされます。
指の間や爪の隙間など、洗い残しが出やすい箇所も、意識して洗いましょう。
特に、排泄物と一緒にウイルスが排出されるため、トイレの後は徹底して行いましょう。
予防方法②|プール後のシャワー
2つ目は「プール後のシャワー」です。
こちらは、妊婦の人が直接行うというよりも、同居している家族に必要な対策です。
特に、小さな子供がいる家庭では、プールの後にしっかりとシャワーを浴びて、ウイルスを家庭内に持ち込まないようにしましょう。
また、プール後の目洗いとうがいも、予防には有効的とされます。
そのほか、プールに入る際はゴーグルを付けるようにすると、目からの感染リスクも防げます。
同時に、使用した水着やタオルなどもしっかりと消毒を行い、普段の洗濯物とは分けて洗濯を行うようにしましょう。
予防方法③|タオルなどを分けて使う
3つ目は「タオルなどを分けて使うこと」です。
アデノウイルスは強い感染力を持っており、飛沫や接触によって感染します。
特に、咽頭結膜炎や流行性角結膜炎は、目やにや涙に触れたタオルなどからも感染します。
そのため、タオルや食器など感染している人が触れたものは、共有しないようにしましょう。
また、目や鼻を拭く時はティッシュなど、使い捨てにできるものを使いましょう。
そのほか、お風呂なども順番を変えて最後に入るようにすると、家族内での感染リスクを下げられます。
予防方法④|リネン類を洗浄・消毒
4つ目は「リネン類を洗浄や消毒すること」です。
リネン類のシーツや食器など、感染した人が使用したものは、家族とは分けて洗浄や消毒を行いましょう。
ただし、アデノウイルスは消毒剤が効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウムなどを使用して消毒する必要があります。
市販されている次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて、換気しながら消毒を行いましょう。
注意点としては、次亜塩素酸ナトリウム金属を腐食させてしまうため、金属を含む物には使用をやめましょう。
感染症の対策方法について、以下の記事でも詳しく解説しています。
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アデノウイルス以外に妊婦が気をつけるべき病気
最後に、アデノウイルス以外に妊婦が気を付けるべき病気を3つご紹介します。
- りんご病
- 手足口病
- 風しんウイルス
①りんご病
アデノウイルス以外に、妊婦が気を付けるべき病気の1つ目は「りんご病」です。
りんご病とは、頬の左右が赤く盛り上がる発疹が出る感染症です。
パルボウイルスB19というウイルスが原因で、主に冬から初夏にかけて飛沫によって感染します。
主に、4〜10歳程度の子供の頃にかかりますが、場合によっては大人になって初めてかかる人もいるでしょう。
妊婦になってから初めて感染した場合は、胎盤を経由して胎児にも感染します。
その場合、胎児の赤血球の産生を停止させて貧血を起こし、むくみや死亡に至る可能性があります。
予防をするには手洗いやうがいなど、基本的な対策が必要です。
②手足口病
2つ目は「手足口病」です。
手足口病は病名の通り、手や足、口に発疹がでる病気で、特に夏に流行る病気です。
もし、手足口病にかかった場合は、手のひらや足の裏に2mm〜3mmほどの発疹が出るほか、発熱する場合もあります。
手足口病は5歳頃までの子供がかかる場合が多く、大人になってかかることはほとんどありません。
もし、妊婦の人が手足口病となっても、軽症であれば胎児への影響はほとんどありません。
ただし、免疫が下がっている妊婦の人は、ほかの病気を発症する可能性もあるため、注意が必要です。
③風しんウイルス
3つ目は「風しんウイルス」です。
妊娠初期に風しんウイルスに感染すると、胎児にも影響を与える可能性があります。
胎児が風しんウイルスに感染した場合は、白内障や先天性心疾患、難聴などの障害を持って生まれる場合があります。
風しんウイルスは、免疫を持っていない人の場合、1人の患者から5〜7人に移る可能性があるほど感染力が強いです。
妊娠前にワクチンを接種している場合は問題ありませんが、もし接種していない場合は、手洗いやうがいなどのほか、人の多い場所へ外出しないなどの対策が必要です。
また、同居家族でワクチン接種をしていない人がいる場合は、ワクチンを接種するよう協力をお願いしましょう。
アデノウイルスの妊婦への影響まとめ
ここまでアデノウイルスの妊婦への影響についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- アデノウイルスが原因の病気には咽頭結膜炎や、流行性角結膜炎などがある
- アデノウイルス自体は妊婦や胎児への影響はありません
- アデノウイルスの予防には手洗いやうがい、感染した人とタオルなどの使い分けが大切です
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。