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トップページ>介護お役立ち記事>介護保険>任意後見制度とは?手続きの流れやメリット・デメリットも解説!

任意後見制度とは?手続きの流れやメリット・デメリットも解説!

今は元気だけど、認知症になって判断がつかなくなるかもと心配したことはありませんか?
そんな時に、利用できる任意後見制度があります。
しかしどのような制度か、わからない方もいると思います。

今回は任意後見制度について、以下の項目を中心に説明します。

  • 任意後見制度の種類について
  • 任意後見制度のメリットとデメリットについて
  • 任意後見制度の費用と報酬について

任意後見制度について詳しく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

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任意後見制度とは

任意後見制度とは、「本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ、任意後見人となる方や、将来その方に委任する事務の内容を公正証書による契約で定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人が委任された事務を本人に代わって行う制度」と法務省に記載しています。

簡単にかみ砕くと、これから認知症などで判断能力低下したときのために、色々な決めごとを代行してくれる人を選んでおく制度です。

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任意後見契約には種類がある?

任意後見契約には3つの種類があります。

それぞれ解説していきます。

将来型

将来型とは、自身の判断能力があるうちに任意後見契約を締結しておき、判断能力が低下したときに、事務処理などをしてもらう契約方法になります。

判断能力が低下してから、任意後見制度が活用されるので、契約と制度活用にタイムラグが生じることになります。
そのため、契約時と制度活用時にはお互いの関係性が変化してしまい、希望していた後見内容が実施できない可能性があります。

後見人と定期的な接触を保っておくことで、スムーズな後見制度に移行できます。

移行型

移行型とは、任意後見契約と任意代理契約を同時に結ぶ方法です。

任意代理契約とは、身体は不自由だが判断能力がはっきりしているうちに、財産管理や見守りなどの生活支援を判断する代理人を決めておく契約になります。
任意後見制度と任意代理契約を同時に結んでおくことで、判断能力がはっきりしているうちから関係性を築くことができます。

そのため、定期的な接触を確保することができるので、より良い関係性を維持しやすいです。

即効型

即効型とは、判断能力が低下し始めているときに行われる契約になります。

任意後見契約を結んだ直後に、家庭裁判所に任意後見管理人の申し立てを行う必要があります。
しかし、契約開始時に本人の判断能力が低下しているので、判断能力の鑑定に時間が掛かることがあります。

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手続きの流れは?

どのような手続きを踏むと任意後見契約ができるのでしょうか?

手順は以下の通りです。

①任意後見受任者の決定
②任意後見契約の締結
③任意後見監督人専任の申し立て
④任意後見人になる

項目ごとに詳しく説明します。

任意後見受任者の決定

まずは、任意後見受任者となる人を決めましょう。

任意後見人は、家族や親戚、友人、法人など自分が信頼している人なら誰でも選ぶことができます。
しかし、以下の項目に当てはまる場合に後見人を選ぶことはできません。

  • 未成年者
  • 破産者
  • 本人と訴訟関係になった本人とその家族
  • 不正な行為を行い適さない理由があるもの

判断能力が低下する前に、まわりにいる人の中から信頼できる人を選んでおくと良いでしょう。

任意後見契約の締結

任意後見契約の内容は、契約者同士で自由に決める事ができます。
例えば、身体が不自由になったときに、入りたい施設や病院などを書面で伝えるなどがあります。

契約内容が決まったら、必要書類をそろえ公証役場にて手続きを行います。

任意後見監督人選任の申し立て

任意後見監督人選任の申し立ては、本人の住所がある地域の家庭裁判所で行います。
専任の申し立ては、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者に限られます。

家庭裁判所で任意後見監督人が選ばれると、任意後見契約が効力を持ち、監督人による監督下での支援が開始となります。

任意後見人になる

任意後見人になったあとは、契約で決めた内容で支援を開始します。
しかし、任意後見は契約しているどちらかが死亡した場合に契約終了となります。

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メリット・デメリットは?

任意後見人制度にはメリットとデメリットがあります。
詳しく解説していきます。

メリット

任意後見人制度のメリットは以下の通りです。

  • 後見人に信頼できる人を選ぶことができる
  • 判断能力が低下した時に、希望する支援を受ける事ができる
  • 家庭裁判所の監視がある など

後見人は、判断能力が低下する前に選ぶ必要があるので、親族や友人など自分が信頼を寄せる人を選ぶことができます。
また、信頼できる人であれば自分の希望を気兼ねなく伝えやすいかと思います。

そのため、体調が悪くなったときに入りたい施設や病院選びなど、希望に合った支援を望むことができます。
さらに、家庭裁判所の任意後見監督人が後見人の支援内容を監視しているため、お金を使い込むなどの不正行為の抑止力になっています。

このように、事前に後見人を準備しておくことで、判断能力が低下した時でも安心して生活の支援を受けられるメリットがあります。

デメリット

反対にデメリットは以下の通りです。

  • 死後の事務処理は依頼できない
  • 取消権がない
  • 利用するタイミングがわかりにくい など

後見人制度は、どちらかの死亡によって契約は終了となります。
そのため、死後の財産管理や葬式の手配などを行うことができません。

また、本人が後見人不在の状況で悪徳商法と契約した場合に、その契約を取り消す権利(取消権)がありません。
本人の財産を守る面に関しては、デメリットとなります。

そして、後見人制度は本人の判断能力低下によって利用開始となります。
そのため、本人の判断能力がどの程度なのかを見極める必要があります。

しかし、後見人が同居していない場合の判断は難しく、開始タイミングが遅れてしまうデメリットがあります。

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費用や報酬額は?

任意後見人の費用や報酬額がどれくらいかかるのか気になる部分だと思います。

詳しく解説していきます。

公正証書作成の手数料

公正証書作成には、手数料や収入印紙代のほかに費用が掛かります。

具体的には以下の通りです。

公証人基本手数料1万1000円
登記嘱託手数料1,400円
収入印紙代2,600円
公正証書を正本代や切手代など数千円

これらの切手代や正本代によって、多少前後することがあります。

任意後見監督人選任申立ての費用

任意後見では、監督者申し立てにも費用が掛かります。

具体的には以下の通りです。

申立手数料800円
登記嘱託手数料1,400円
切手代や封筒等の雑費数千円

雑費によって、費用は前後することがあります。

任意後見人への報酬

任意後見人への報酬は、契約時に決めておく必要があります。
任意後見人には、家族や親族、親しい友人を選んだ場合の多くは、無償で契約するようです。

しかし、法人や会社と契約した場合は、報酬を支払う必要がありますので、契約時にしっかりと確認しましょう。

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家族信託との違い

任意後見制度と家族信託制度の違いについて以下にご紹介します。
比較の記載では、任意後見制度を(任意後見)、家族信託制度を(家族信託)とします。

【契約】

  • (任意後見):信頼できる家族や親族、友人、法人などと任意後見契約を結ぶ
  • (家族信託):信頼できる家族や親族と信託契約を結ぶ

【契約のスタート】

  • (任意後見):本人の判断能力低下がスタートの条件
  • (家族信託):本人の判断能力の低下の有無に関わりなくスタート可能

【裁判所の関与】

  • (任意後見):任意後見人は家庭裁判所に選任された任意後見監督人の監督を受        ける
  • (家族信託):裁判所の関与なく受託者(財産管理を行う人)の選任ができる

【権限】

  • (任意後見):後見人の権限は、財産管理、法律行為の代理、身上監護に限定
  • (家族信託):受託者の権限は契約で身上監護を除き自由に設定が可能

【不動産の処分】

  • (任意後見):家庭裁判所の許可が必要
  • (家族信託):受託者の責任と判断で不動産の処分が可能

法定後見制度との違いは?

成年後見制度とは、任意後見制度と法定後見制度の2つになります。

法定後見制度は、本人の判断能力がなくなったときに、本人や家族が裁判所に申し立てます。
申し立てが受理され、法定後見人となると、財産の管理や取消権が与えられます。
取消権が与えられることによって、悪質な契約などを取り消すことが可能となり、本人の財産を守りやすくなります。

このように、任意後見制度と成年後見制度2つの違いは、利用開始するタイミングと取消権の有無となります。

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任意後見制度の利用率は?

ここまでご覧になり、任意後見制度と成年後見制度では、どちらが多く使われているのか気になりますよね。

厚生労働省が発表した平成27年から令和2年のデータでは、任意後見制度に比べて成年後見制度の利用者数が多くなっております。
実際に、令和2年のデータでは任意後見制度利用者は2,688人に対して、成年後見制度利用者は17万4680人と37倍以上となっております。

成年後見制度が圧倒的に多いことから、多くの人が判断能力の低下が生じてから制度を利用していることがわかります。
判断能力が無くなったときに、自分が希望する生活を送るためには、早くから備えておける任意後見制度が必要となります。

将来に対する心配があり、自分が希望する生活を送りたい人は、任意後見制度の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

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任意後見制度に関するQ&A

ここまで、後見人制度について解説してきましたが、理解するのが難しかったかと思います。そんな方に、ここでは後見人制度に関するQ&Aで、理解を深めていただけたらと思います。

認知症の診断後でも任意後見は利用可能ですか?

それは本人の判断能力によります。任意後見契約の内容を理解し、契約を結ぶ能力がある場合は可能です。この判断は医師の診断や家族の意見を基に公証人が行います。

 月々の報酬はどのように決まりますか?

任意後見契約で決定します。報酬は自由に定めることができ、契約証書で定めて本人の財産から支払われます

任意後見と法定後見、どちらを選ぶべきですか?

それぞれのメリット・デメリットと適用可能な状況を考慮し、個々の状況に合わせて選ぶべきです。詳細は裁判所や司法書士などの専門家に相談してください。

任意後見人が適切に職務を果たしてくれるか心配ですが、どうすればいいですか?

任意後見人は家庭裁判所によって選任された任意後見監督人による監督を受けます。後見人の不適切な行動があれば、裁判所が後見人を解任し、刑事責任を問うこともあります。

 任意後見と法定後見の違いは何ですか?

任意後見は、自身の意向に基づく契約が可能で、判断能力がある間に契約を結び、後見人の範囲や選任を自己決定できます。これに対して、法定後見は、判断能力が不十分な場合に裁判所が後見人を指定します。

 任意後見契約を途中で解除することは可能ですか?

はい、可能です。任意後見監督人が就任する前ならいつでも解除できます。就任後は裁判所の許可を得て解除できます。

任意後見契約を途中で変更することは可能ですか?

原則として可能ですが、変更内容や本人の判断能力によります。場合によっては法定後見に変更した方が良いケースもあります。

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任意後見制度まとめ

ここまで、任意後見制度の種類やメリットについて解説してきました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 任意後見制度の種類は将来型、移行型、即効型の3つ
  • 任意後見制度のメリットは、「信頼できる人を選べる」「希望する支援が受けられる」「家庭裁判所の監視がある」など
    デメリットは「死後の事務処理はできない」「取消権がない」「利用するタイミングがわかりにくい」など
  • 任意後見制度の費用は、証書作成に1万円以上、申し立てに2000円以上かかる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
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  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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