ある日、母親の介護について話し合う場面で、兄は妹にこう声をかけました。
- 「パートだから時間あるだろ?母さんの世話してくれないか?」
- 「何、その言い方?私だって、暇じゃないのよ!」
このやりとりに、妹としては苛立ちを覚えるかもしれません。しかし、この背景には「自己奉仕バイアス」という心理が関係している可能性があります。
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兄の心をのぞくと…「自己奉仕バイアス」の影響とは?
「自己奉仕バイアス」とは、自分の行動や選択を正当化するために都合の良い解釈をする心理的傾向のことです。
兄は、「介護は女性がやるべき」「男は仕事を優先すべき」という固定観念に基づき、自分の行動を正当化している可能性があります。
例えば、「自分は仕事で忙しいから」「女性は家のことに向いているから」という理屈を並べ立てることで、自分が介護に関与しないことへの言い訳を作り上げているのです。
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親の介護で兄弟が絶縁しないための対策
1. 兄弟で話し合いの場を設ける
まずは家族全員で定期的に話し合う場を設け、各自の負担感を確認することが重要です。
「最近、負担が偏っていない?」と切り出し、冷静に現状を共有する場を設けることで、不満の早期発見が可能になります。
2. お金の負担の明確化
介護にかかる費用を具体的にリストアップし、兄弟間で公平に分担できるように話し合いましょう。
「〇〇円を3人で分担しよう」「訪問介護は〇〇円、これをどう負担する?」といった具体的な提案が効果的です。
3. 遠方の兄弟の役割を見直す
遠方に住む兄弟も、「お金を送る」「定期的に電話で様子を聞く」など、できる範囲で関与することが求められます。
「物理的に難しいけれど、経済的な支援はできるよ」といった形で役割分担を明確にすることが解決の鍵です。
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「ナッジ」で役割を利用して調整役を引き出す
自己奉仕バイアスが強く働いている剛に対して、直接的な指摘は反発を招きがちです。そこで効果的なのが ナッジ を用いる方法です。
兄は「介護は女性がやるものだ」と考え、自分の役割を軽視しています。この場合、「長男」という役割を強調しながら彼の自尊心をくすぐる形で伝えると、自然と協力を引き出しやすくなります。
具体例:
- 妹:「調整役、大変ね。兄さんにしかできないわ。」
- 兄:「ありがとう。」(心の声:わかってもらえて嬉しい)
このように、「調整役」という立場を強調し、兄が「頼られている」と感じられる言葉かけを意識します。これにより、兄のプライドを刺激し、自発的な行動を引き出しやすくなるのです。
家族の絆を保つために
親の介護は、兄弟間の関係を試す場面でもあります。
剛が自己奉仕バイアスに気づき、自分の立場を見直すことで、家族全員が協力し合える環境が整いやすくなります。
- 自己奉仕バイアスに気づく: 「自分だけが正しい」という考え方を改める
- 負担の可視化: 具体的な分担を話し合い、不公平感を減らす
- 感謝の共有: 互いの努力を認め合い、感謝の言葉をかける
家族間の摩擦を避け、協力体制を築くことが、親の介護をスムーズに進めるための第一歩です。
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