日本では、介護の需要が高まっているのが現状です。
介護に関して不安ばかりという方も多いのではないでしょうか?
介護保険制度を活用すれば、さまざまなサービスを利用できます。
今回は、介護するときの流れについて以下の点を中心にご紹介します。
- 介護するときの流れ
- 介護認定の区分
- 介護保険の自己負担額
- 在宅介護と施設介護について
介護の不安を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
参考:みんなが選んだ終活
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介護とは?
介護は、超高齢社会の日本にとって深刻な問題の一つです。
かつては住み慣れた自宅で最期を迎えるのが一般的でした。
しかし、近年では平均寿命の長期化により介護をしなければいけない期間が増え、さらにはその担い手が減少しています。
以下、介護の定義とその対象者について説明します。
介護の定義
介護とは、日常生活に支障がある方に対し、食事、排泄、入浴、更衣などの身体的援助を行うことのほか、日常生活全般の支援を行うことです。
近年、日本は超高齢社会となり、社会問題の一つとして介護問題が取り上げられています。
総務省統計局の「人口統計」によれば、令和3年9月1日時点での65歳以上人口は3,629万人以上となっています。
65歳以上の方が総人口に占める割合は約29%です。
ちなみに、介護保険制度が施行された2000年には17.4%ですから、高齢者が占める割合が大幅に増加していることがわかります。
また、高齢化にともなって少子化もまた日本の抱える問題です。
高齢者の増加に反し、介護の担い手不足が懸念される現代において家族介護の負担が増えつつあります。
そのような現状から、介護職として働く介護福祉士の需要がますます高まっている状況にあります。
介護と看護の違い
単語が似ている2つの仕事ですが、役割は以下の部分で異なります。
- 職種の違い
- 業務内容の違い
- 資格の違い
介護の仕事は、無資格で可能なものから国家資格が必要となるものまで多岐にわたります。
介護を必要とする様々な支援を行う「福祉職」です。
身体介護や生活援助など、高齢者の方や障がいのある方をサポートします。
一方、看護の仕事は、全ての現場で資格が必要となります。
准看護師の資格以外、すべてが国家資格です。
専門知識を持ち、医療を必要とする方に必要なフォローをする「医療職」です。
医師の診察や治療をサポートし、患者の方の家族の対応を行うこともあります。
介護は誰のために行う?
介護の対象者は、高齢者をはじめ、病気や障害のために自立した日常生活を送ることが困難な方です。
また、介護保険サービスが対象とするのは自立した生活が送れない方だけではありません。
その介護を担う家族も対象となります。
家族の介護負担軽減も介護保険サービスが担う役割です。
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介護は何から始める?
高齢者の増加や介護者の減少、長寿化などから近年では家族介護の負担は大きくなる一方です。
そこで重要となるのが、各市町村及び特別区が運営している介護保険制度による介護保険サービスです。
介護保険制度は2000年に施行され、制度改定を繰り返しながら現在も多くの高齢者に利用されている制度です。
ただし、介護保険サービスを利用する際に注意すべきことがあります。
要介護認定を受けていない場合には、サービスを利用できない点です。
以下、その手順などについて説明します。
申請の手続き
介護保険制度の運営主体は、お住まいの市町村及び特別区です。
介護保険サービスを利用するためには、まずお住まいの地域の介護保険課もしくは地域包括支援センターなどの指定窓口での申請手続きが必要です。
申請窓口は市町村及び特別区によって異なりますが、ホームページで検索すれば簡単に調べられます。
もし、調べてもわからなければ地域包括支援センターに相談してみてください。
介護保険制度の説明から申請まで支援してもらえます。
認定調査を行う
窓口にて申請した後は、現状の身体状況や生活状況を確認するため市町村及び特別区の職員または委託された地域のケアマネジャーが介護認定調査を行います。
調査を行う場所は、基本的に自宅です。
仮に入院中であれば入院先の医療機関で認定調査が行われます。
審査認定を行う
適切な要介護認定を決定するため、市町村及び特別区の介護保険課では介護認定審査会が行われます。
認定調査によって得られた情報のほか、かかりつけ医療機関の主治医によって作成された主治医意見書をもとに、要支援1~2、要介護1~5といった認定が決まります。
申請した場合、介護が必要な状態とみなされなければ非該当(自立)となる場合もあります。
介護サービス計画書の作成
要介護認定が決まれば、介護保険サービスの利用が可能になります。
ただし、サービス利用のためには介護サービス計画書、通称ケアプランが必要になります。
そして、ケアプランの作成を行うのはケアマネジャー(介護支援専門員)です。
市区町村及び特別区から送られてくる資料の中から、事業所を選び、担当ケアマネジャーを決めなければいけません。
ケアマネジャーは利用者の希望にあわせながら必要なサービスをケアプランに盛り込みますが、生活状況にあわせたサービスプランも提案してくれます。
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要介護認定の判定基準は?
介護保険サービスは要介護認定を受けることで利用可能にはなりますが、認定された区分によって利用できるサービスが異なる場合があります。
認定によって利用できるサービスの違いや、認定ごとに利用が必要になってくるサービスをご紹介します。
要支援とは
要支援とは、現在介護の必要はないが将来的に介護が必要になる見込みがあり、日常生活動作に支援が必要な状態をいいます。
介護保険制度における要支援認定には要支援1~2の2段階があり、要介護認定同様に介護保険審査会にて認定が決まります。
要支援認定の方が受けられるサービスは、基本的に要介護状態になることを防ぐのが目的です。
そのため、介護予防サービスと呼ばれる介護保険サービスが提供されます。
以下、要支援1~2のそれぞれの基準について説明します。
要支援1
要支援1については、日常生活における基本動作はほぼ自力で行える状態です。
認知機能の低下もなく、自身でものごとの意思決定を行なうことができます。
ただし、近い将来なんらかの原因により身体機能が衰えてしまう可能性があることには注意してください。
介護状態にならないためにも、通所リハビリの利用がおすすめです。
要支援2
要支援2は日常生活における身の回りの動作や立ち上がり、歩行に見守りや軽い介護が必要であるが、改善が見込まれる場合や、現状維持が可能な場合に認定されます。
こちらも通所リハビリの利用のほか、一人暮らしの場合には訪問介護を利用される方もいます。
また、要支援2からはグループホーム(認知症対応型共同生活介護)への入所が可能です。
要介護とは
要介護とは、身体上もしくは精神上の障害により、歩行、食事、排泄、入浴、更衣などの日常生活動作になんらかの介護を要する状態です。
介護保険制度における要介護認定には、要介護1~5までの認定があり、介護保険認定審査会を経て現在の身体・精神状況に応じた認定を受けることになります。
以下、要介護1~5のそれぞれの基準について説明します。
ただし、介護保険の運営主体は市町村及び特別区であるため、お住まいの地域によっては基準が異なる場合もあります。
要介護1
要介護1では排泄や食事は自力で行えますが、立ち上がりや歩行に不安定さがみられるようになります。
掃除や洗濯といった、家事動作にも一部介護や見守りが必要な状況です。
一人暮らししている高齢者の場合には、訪問介護(ヘルパー)による家事援助を受ける方が多くいらっしゃいます。
家事の援助のほか、食事を作ってもらうこともでき、定期的に訪問を入れることで安否確認にもつながります。
また、要介護1以上では介護老人保健施設への入所が可能です。
要介護2
要介護2になると身の回りの基本動作は見守りや一部介護が必要になります。
排泄や入浴動作についても一部介護や見守りが必要な状態です。
立ち上がり時や歩行の際などには手すりなどの支えが必要になります。
要介護2からは、介護保険による福祉用具のレンタルサービスで、車いすや特殊寝台(電動ベッド)などの利用が可能になります。
要介護3
要介護3になると身の回りの動作が自分ではできなくなってきます。
排泄や入浴、歩行については基本一人では行えない状況です。
判断能力や理解力などの低下がみられ、意思決定にも影響があるような状況になります。
家族の介護負担も大きくなっていくため、介護負担軽減を目的にしたサービスの利用も重要です。
入浴介護が必要な場合にはデイサービスを利用することで、施設で入浴介護を行ってもらえるため家族の負担も軽減できます。
また、要介護3以上では特別養護老人ホームへの入所が可能になります。
要介護4
要介護4では立ち上がりや歩行が困難になります。
排泄や入浴をはじめ身の回りの動作全般に介護を要する状態です。
認知機能の著しい衰えもみられ、認知症による問題行動や、全般的な理解力の低下がみられます。
この段階になれば介護施設への入所を余儀なくされる方も少なくありません。
在宅介護を継続される場合には、数日から数週間施設への宿泊が可能なショートステイの利用も推奨されます。
要介護5
要介護5の場合には、身体機能の著しい低下がみられ生活全般において介護を要する状態です。
意思疎通も上手くできず、生活が困難なほど認知機能面が低下した状態となります。
いわゆる寝たきりの状態となります。
意思疎通もできない場合には要介護5の認定となり、もっとも介護量の多い認定区分です。
在宅介護を行う場合には、外出が困難になるため、訪問看護や訪問入浴などのサービスが中心となります。
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介護保険で負担する費用って?
介護保険サービスの利用負担額は原則1割負担ですが、所得によっては2~3割負担の方もいます。
所得に応じた負担割合は以下の通りです。
【65歳以上の高齢者が一人の世帯】
- 2割負担:年間の合計所得が280万円以上340万円未満
- 3割負担:年間の合計所得が340万円以上
【65歳以上の高齢者が2人以上いる世帯】
- 2割負担:年間の合計所得が346万円以上463万円未満
- 3割負担:年間の合計所得が463万円以上
自身の負担割合は、介護保険負担割合証をみることで確認できます。
市町村及び特別区から送られてくる介護保険証とセットで送られてくるのが一般的です。
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在宅介護と施設介護
介護を行ううえで、在宅介護か施設介護を選択するかで悩まれる方は少なくありません。
以下、在宅介護と施設介護のメリット・デメリットについて説明します。
在宅介護とは
在宅介護とはその名の通り在宅で行われる介護です。
在宅介護の中心は家族と、在宅系サービスになります。
メリット
在宅介護のメリットは、介護を受けられる方が住み慣れた我が家で暮らすことができる点です。
知らない場所での生活よりも、住み慣れた自宅で過ごすという安心感が精神的安定につながります。
デメリット
在宅介護のデメリットは、家族の介護負担です。
家族の介護負担を軽減するためのサービスとして、デイサービスやショートステイはあるものの、夜間に利用できるサービスは多くありません。
日中の家族への負担は軽減できても、夜間の排泄介護が必要な場合には、家族の介護負担を軽減させることは難しくなります。
施設介護とは
施設介護とは、介護施設へ入所して受ける介護になります。
在宅での介護負担が大きく、家族での介護に限界を感じた場合などの選択肢となります。
メリット
施設介護のメリットは、家族の負担がほとんどないという点です。
また、施設内にいる看護師や介護士などのプロによるケアが受けられます。
痰の吸引など医療的処置が必要な場合には、家族としても安心できる面が多くあります。
デメリット
施設介護のデメリットは金銭的負担の大きさがあげられます。
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの公的介護施設であれば金銭負担を抑えられますが、有料老人ホームなど民間の介護施設ではそうはいきません。
月額20~30万円の費用がかかることもあり、その費用の高さがデメリットとなります。
介護と介助って何が違うの?
一般的には介護と介助は同じ意味の言葉として使われることがありますが、介護と介助には違いがあることを知らないという方も多いのではないでしょうか?
実際にはその意味には違いがあり、それぞれに定義があります。
以下、介護と介助のそれぞれの意味の違いについて説明します。
介護とは
介護が目的としているのは日常生活場面での自立です。
他者による支援やケアによって自立した日常生活を目指すための行為になります。
元々は身体的なサポートを主軸としていた介護でしたが、生活の質を意味するQOL(クオリティーオブライフ)の向上を目指す中で、精神的なサポートも目的の一つとなりました。
つまり、介護とは身体的、精神的側面から日常生活の自立を目指すための支援になります。
介助とは
介助とは日常生活そのものをサポートする行為にあたります。
日常生活動作が自身で行えない場合に、食事介助、排泄介助、入浴介助などを他者が手伝うことによって、目的を果たせるようサポートすることを意味しています。
介護福祉士は介護が必要な人の生活を支える専門家です。そんな介護福祉士ですが、「なるためにはどうしたらいいのか」「仕事内容はどんな感じか」という疑問を持たれる方も多いかと思います。本記事では、介護福祉士について以下の内容を中心にお[…]
介護のまとめ
ここまで介護についてお伝えしました。
要点は以下の通りです。
- 介護の流れは、認定調査、審査認定、介護計画書の作成
- 要介護認定は、要支援1~2、要介護1~5の7段階
- 介護保険サービスの自己負担は原則1割
- 在宅介護と施設介護では、それぞれ負担の種類が異なる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。