認知症が進行すると、片付けができなくなることがあります。
廊下を歩いていると、読んでいない新聞がいくつも積み重なっているのが目に留まりました。かつては几帳面に整理されていたはずの場所が、今では散らかっているようにも見えます。
「読んでない新聞がこんなにたくさん……もう、解約しなよ」と声をかけると、「全部後で読むんだから、放っておいて!」と強い口調で拒まれました。
片付けを促しても頑なに拒む姿に、家族としては戸惑いを感じることがあります。
「なぜ手放せないのだろう?」「どうしてこんなにも執着するのだろう?」と感じることも少なくありません。
認知症が進行すると、「現状維持バイアス」が強まることがあります。
「捨てる」ことが、「自分の生活や習慣を壊される」という不安につながり、かえって物への執着が強まるのです。
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親の心をのぞくと…「現状維持バイアス」の影響とは?
「現状維持バイアス」とは、これまでの生活パターンを変えることを避け、今の状態が続くと信じ込む心理的傾向です。
廊下に積まれた新聞を見て家族が「最近、片付けができていないよ」と声をかけても、「今までこれで大丈夫だったから問題ない」と返されることがあります。
過去の習慣に固執し、「捨てる必要はない」「まだ使える」と繰り返すことで、不安を和らげようとしているのです。
この心理が強まると、家族の助言を「生活を壊そうとしている」と感じ、余計に反発してしまうこともあります。
高齢になると判断力や記憶力が低下し、「これまで問題なかったから、これからも大丈夫」と思い込みやすくなり、問題が深刻化しやすくなるのです。
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認知症の親が片付けられないときの対処法
認知症が進行すると、片付けができなくなることがあります。
部屋が汚れたままだったり、整理収納がうまくいかず、物が増え続けることに家族が困惑するケースも少なくありません。
例えば、片付けを提案すると「まだ使うから」と怒ったり、反対に片付けばかりして逆に物が散乱してしまったりすることがあります。
また、歳をとると片付けが億劫になり、高齢者特有の心理が影響している場合も多いです。
認知症の親が片付けられないときの方法
- 共感を示しながら話す:「大事にしているんだね」と気持ちを受け止めることで、不安を和らげやすくなります
- 少しずつ進める:一度に片付けようとせず、毎日少しずつ整理することで負担を減らします
- 思い出の品を残す工夫:写真に撮ってアルバムにするなど、物を減らしつつ思い出を残すことで納得してもらいやすくなります
- 整理収納をサポートする:ラベルやボックスを使い、何がどこにあるか一目でわかるように工夫することで混乱を防ぎます
認知症の親が片付けられないときは、心理的な背景を理解し、無理のない方法で少しずつ取り組むことが大切です。
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「ナッジで」促す認知症の親への片付けサポート
認知症の親が片付けを拒む場面では、強引に解約を進めると「お前、何か悪いことをしているだろう」と疑念を抱かれることがあります。こうした場合には、本人のこだわりに深入りせず、「ナッジ」を活用して自然に片付けを促すのが効果的です。
例えば、廊下に新聞が山積みになり転倒のリスクがある場合、「新聞で転びそうになったから、押し入れに移動したよ」と伝えるだけで、不信感を抱かれずに片付けを進めることができます。
ここで重要なのは、物自体を問題視せず、「転びやすい状態」を解決のポイントにすることです。
無理に捨てようとせず、置き場所を変えるといった小さな工夫で、安全確保を理由に片付けを受け入れてもらいやすくなります。
認知症の親が見せる変化に気づいたときの向き合い方
親の生活習慣に変化を感じたとき、「片付けて!」と強く言いたくなる場面もあるかもしれません。しかし、「現状維持バイアス」を理解することで、より効果的な対応ができます。
大切なのは、正論を押し付けるのではなく、本人の気持ちを受け止めながら、自分で気づくように導くことです。
- 高齢者には「現状維持バイアス」が働きやすい:これまでの生活パターンを守りたがる心理がある
- 正論ではなく、寄り添いながら話すことが重要:「何が困っているの?」とまずは現状を尋ねる
- ナッジを活用してさりげなく促す:「危ないから、ここに置いておくね」と伝え、指示ではなく提案の形にする
親の変化に戸惑ったときこそ、焦らずに相手のペースに合わせ、優しく寄り添うことがポイントです。
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