認知症

down compression

介護

down compression

健康

down compression

専門家コラム

down compression

連載マガジン

down compression

おすすめ書籍

down compression
健達ねっと>マガジン>羅針盤>和田行男>「介護職になることが将来の夢」という若者の言葉にどう応えていくのか

「介護職になることが将来の夢」という若者の言葉にどう応えていくのか

介護業界に海外の人材がたくさん来てくださっています。

2024年調査で、東京都内介護現場の7割が海外人材を採用し、職員の3割以上が海外人材という事業所が7%弱あり、全国で9万人を超えていると報道されています。

 

僕が所属する法人でも海外人材の採用に取り組んでいて、グループホーム2事業所4ユニット分、入居者36名分相当の生活支援にあたってくださっていますので、

この方々がいなければ、コトは当法人の問題ではなく日本人介護人材の絶対数が減少しているのですから、36人の入居者が支援を受けられない事態が生じていたということになり、考えるほどに恐ろしくなりますが、

逆に考えれば海外人材に頼ったということは「安易な道を選択した」ということでもあり、日本人介護人材の養成・確保策は置き去りにされたとも思えなくはないです。

 

日本でお金を稼ぎたいじゃなく介護を学びたい

先日、ある国から日本の介護職を目指す特定技能ビザ者たちの面接をさせていただきました。

本国で「看護(日本の看護とはイコールではないでしょうが)」の勉強をされ、その中で高齢者の支援を実習等で経験することで「高齢者の支援」に興味をもった人たちで、

志望動機として「日本の介護を学びたい」中には「日本の介護を学んで国に戻って高齢者施設をやりたい」といったように、「お金を稼ぎたい」「家族のために」とは違っていたので感心しました。

というのも、その面接をセッティングしてくれた海外人材をあっせんする会社を立ち上げた方の考え方として「介護をやりたいと考えている人しか紹介しない」という背景があり、そのような人しか面接に挑んでいないからのようです。

 

この国にとって欠かせないインフラ整備を重視してきたか

超高齢社会の到来、それに連動して要介護状態にある人の増加は、1990年代から予測されていましたが、
それに連動して「介護の仕事をしたい」と考える日本人を増やしていく施策がとられていたかと言えば「?」を持たざるを得ません。

それは、国の施策だけではなく僕ら介護業界に在籍している者も「介護の仕事を目指そうとする人を増やすための仕事ぶり」を見せてきたかということも含めての「?」です。

 

随分前になりますが「要介護高齢者の増加や認知症の状態にある人の出現予測を立てていますが、それに比例して介護の仕事に就きたい、要介護状態、認知症の状態にある人の支援をしたいと考える国民が増えると考えていますか」と公的会議の場で質問したことがあります。

僕は、到底そうは思えないと考えていましたし、だからこそ、せめて「待遇」で引き寄せる施策が必要だとも考えていました。

合わせて、介護保険事業は国民生活に不可欠なインフラであり公的事業なので、必要な知識・技能の習得を個人や事業者・事業所に委ねるのではなく、公的に仕組み化して、介護に従事する者への必須事項とし且つ、
介護福祉士という国家資格がないとできない職業(業務独占)に熟成していくべきだと考えていましたし、今もそう思っています。

 

このブログで応えさせていただいている高校生からの質問に「介護を将来の夢、なりたい職業として目指すことをどう思いますか」というのがありましたが、こういう若者たちが増える施策がとられてきたかですが、
介護福祉士を養成する学校等の減少や日本人入学者数の減少がそれを表しているのではないでしょうか。

今は、海外留学生が入学者数の半数を超えましたからね。

 

介護職に就かせたくない、でも介護職に頼らざるを得ないなんて虫が良すぎる

別の側面で思うのは、若者が介護の仕事を目指したいと考えても親が反対する、学校の先生が反対するなんていうことも耳にしてきましたが、

仮にそうだとしたら、この国の民は、自分の親や配偶者、自分が要介護状態になったとき「どうしようと思っているのか」を問いたいということです。

自分の子供は介護職に就かせない
自分が要介護状態になったら誰かの支援を受けたい・受けざるを得ない

って、そもそも成立しない話ですからね

 

日本の土台を支える介護職 介護職は日本の宝

極の話、この国に広い意味での「介護職」が存在しなければ介護事業は成立しないので、

自分の親が自力で生きていけなくなった時は「子である自分(以下 自分さん)が介護する」か「放置する」かしか選択できず、さすがに放置しきれないでしょうから自分が介護せざるを得なくなることでしょう。

そうなるとコトは自分に留まらず、要介護状態にある人の数だけ支援する「自分さん」の数が必要となりますから「自分さん」の自立度が下がりますので、介護職が存在することで成立している今の社会構造は激変することでしょう。

親のことを考えなくて良いときは、仕事もレジャーも好きにできますが、親が要介護状態になればそういうわけにはいきません。

 

ということは「稼げない・使えない」ということになり「お金の流れ」に支障がきますので、社会全体の経済活動が下がるのではないでしょうか。

それが間違っていなければ、介護職は日本の土台を支える非常に重要な職業だということになり、介護職って「日本国の宝」なんですが、「手」としての位置づけどまりで「宝」として国策に位置づけられていないと僕は考えています。

 

最近耳にした「日本人のことは日本人で」という国政選挙に挑む人の言葉ですが、

では具体的に「どうすれば介護業界にいる海外人材9万人分を埋められるか、それでも不足している人材をどうやって確保するのか」を聞きたいし
「日本の介護を学びたい」と言う海外の人たちの要望はどう考えているかを聞きたいと思いました。

しかも、介護業界だけの話ではなくて、国民生活に欠かせない分野で海外人材がどれほど活躍していますので、そのおかげで「今を維持できている」ことをどう考えるかです。

 

前述の「介護職になることが将来の夢」と言う若者にしっかり応えられる、そういう若者があふれ出る職業にしていくために「この仕事に先に就いた者」として尽力しなければです。

 

介護職はクリエーター

NHKの番組「プロフェッショナル~仕事の流儀~」の撮影時にディレクターが、「和田さんに早く出会っていたら介護の道を選んだかもしれない」と言ってくれたので「なんで」って聞くと「めっちゃ、奥が深いじゃないですか」というので

「介護職ってクリエーターだからね」と答えさせていただきました。

僕は、ディレクターの言葉に未来があると思いました。

 

山を背に、墓地と田んぼが広がる風景
人への尊び感をもちます
海を見て生きてきた人たちは海が眺望できる場に
山を見て生きてきた人たちは山が眺望できる場に
 
僕には何が見える場が用意されるのかなぁ
と思っていたら友人は「ここが自分の墓」と自分で用意していました
僕は委ねたいな

 

和田 行男 さん

1987年、日本国有鉄道から介護業界へ転身。1999年には、東京都初となる認知症高齢者グループホーム「こもれび」の施設長に就任した。淑徳大学客員教授。