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桜の花を見て振り返る 和田流 移動支援策2選

桜の花が咲き始め「春本番」を感じる季節を迎えました。

花を見ると思い出すことがあります。ひょっとしたらすでにご紹介した話かもしれません。

随分前のことです。

 

いきなり15人を伴って花見を企画

デイサービスで利用者お迎えのクルマに添乗した時のことですが、2月なのに風もなく上天気でしたので、送迎委託会社のドライバーさんに、最初の利用者をお迎えに行く前に○○公園に寄ってもらうようお願いしました。

○○公園は梅花が見事な公園なので「開花状況」を見に寄ったのですが、見事な咲きっぷりでした。

お迎え最後の利用者に乗車していただいた時点でクルマを停めていただき利用者たちに聞いてみました。

「皆さん、このままいつも通りセンターに向かい昼食をとるか、昼食は少々遅くなりますが梅の花が見事なので見に行くか、どちらにしますか」

すると皆さんが「梅の花を見に行きたいです」と答えられたので「では、行きましょう」となり、センターにその旨を伝えて昼食時間をずらしてもらい行くことにしました。

 

利用者を職員化

公園に到着するまでに15人の利用者を見渡し「このうち5人の利用者なら職員化できる」と考えました。

というのも、クルマを停めて公園に入り、ベンチのある東屋まで少々距離があるにもかかわらず職員は僕と運転手さんだけ。

利用者の状態から考えて「どう考えても職員不足は否めません」から、利用者の中から職員としてチカラを貸していただける人だと判断し、それが何人いるかで、移動の仕方が変わるからです。

5人いれば大丈夫だと判断した僕は、利用者にこう伝え確認させていただきました。

「皆さん、公園に着きましたが、ここからは僕の言う通りに行動していただけますか」
「ハァーイ」

利用者の中には何人も認知症の状態にある方がいますし、歩行に障がいを有している方もいます。

花見に寄り道して事故を起こしたのでは話になりませんので、かなり移動に工夫を凝らす必要がありました。

 

「では、利用者1さん、まずはクルマを下りましょう」

そう言って利用者1さんに下りていただき、その場で待機していただくことを伝えました。

次に利用者6さん、利用者7さん、歩行に障がいのある利用者8さんに下りていただきました。

残りの方に「僕が戻ってくるまでクルマから下りないようにお待ちくださいね」と伝え、クルマの運転手さんにクルマに残った方が下りて来ないように見ていただくことをお願いしました。

利用者1さん6さん7さんは自力で歩いていただき、それに歩行障がいのある8さんに僕が付き添って、クルマから見える距離のある梅の木(僕の中では第一地点)まで移動しました。

「利用者1さん、6さん、7さん、8さん、僕が来るまでここで動かないで待っててください。利用者1さん、よろしくお願いしますね」と伝え、クルマに戻りました。

同じように利用者2さんと何名か、利用者3さんと何名か、利用者4さんと何名か、利用者5さんと何名かで第一地点まで移動しました。

 

次に、同じように第一地点から僕が定めた第二地点まで移動し、最後、ベンチのある東屋を最終地点と定めて、移動していきます。

利用者1さん、2さん、3さん、4さん、5さんは意気に感じて「動いちゃダメよ」なんて他者に声をかけてくださっていました。

こうして僕だけで15人の花見を無事に終えることができましたが、運転手さんは感心してくれていましたね。

 

成功体験が失敗を招く

グループホームでのことです。

入居者Aさん、Bさん、Cさん、Dさんに声をかけ連れ立って外出しました。

入居者Aさんは歩行能力が低く付き添っていないとつまづいて転ぶ可能性が高い方なので、入居者Aさんの横に付き添い歩き出しました。

往路は問題なく移動できましたが帰路でとんでもない失敗をしでかしました。

 

入居者Aさんの歩行に付き添いながらも後方を歩いていた入居者Bさん、Cさん、Dさんを視野に入れて移動していたのですが、あるとき3人の姿が視線から外れてしまいました。

チラッと後方を振り返ると3人が視野に入り、そのとき何をしているのかわからず「何してんのかな「チラッ見」よりも長く時間をかけてしまったのですが、その時です。

Aさんが歩道のちょっとしたでっぱりにつまづかれて前のめりに転んでしまい、ケガを負わせてしまいました。

その時、入居者Bさん、Cさん、Dさんは3人揃って焼肉屋のウインドーを覗かれていました。美味しそうだったんでしょうね。

 

同時にふたつのことをした結果

僕の失敗は、歩行に付き添いながら後方を確認するために振り替えってしまうという「同時にふたつのことを成そうとした」ことで、振り返るのなら入居者Aさんの足を止めて安全確保してからにするべきでした。

そもそも入居者Aさんと他者3人の行動を一人で対応することに異議が上がっても仕方がない状態なのですが「僕なら大丈夫」というおごりがあったことは否めません。

僕のおごりで入居者に痛い目をさせてしまいましたが、だからと言って、この行動自体を問題視するのではなく「同時にふたつの行動をとったことが課題」と捉える僕ですから、こういう挑みは止まらなかったですね。

 

尺取虫式移動支援策

ある朝、夜勤明け勤務で日勤が出勤する前、僕一人でしたが入居者に「焼きたてのパンを買いに行きませんか」と誘い水をかけ、8人の入居者全員でパン屋へと向かいました。

歩行能力の違いから8人が縦長にばらつくので「尺取虫式移動支援策」で移動していきます。

尺取虫式とは、僕が勝手に言っているやり方なのですが、先の梅の花を見に行ったときと同じで、
A地点から8人が一斉に歩き出せば縦長になることは予測がつくので一番前を歩く健脚な入居者に付き添い、後方を確認しながら早め早めに歩行を止めて、後方の入居者がすぐに追い付けるようにして「集団」を取り戻す移動方法で、リスクヘッジ策です。

職員が2人いれば真ん中にもう一人つけるのでに分割できますから、安全性はより高まります。

 

それを繰り返して目的地を目指し、あと10mくらいのところで思いもよらぬ降雨。

「エーッ」

パラパラ雨だったので助かりましたが、パン屋の前にある公園の大木下に避難。

結局、本降りとなり日勤者に電話して迎えに来てもらうハメに。

懲りない僕は、周りの方々に助けられながらいろいろな支援策に挑んできました。

ホント、ご入居者・ご家族、上司、同僚には感謝しかないですね。

 

追伸

介護福祉士の試験に合格された皆さん、おめでとうございます。

僕の身近にいる海外から来られている方も3人受かりました。

海外から来てくれている人たちが介護福祉士の資格を取得するのは僕らが取得するのとはわけが違い、家族も含めて人生を変えてしまうであろうインパクトのあることで、喜びもひとしおではないかと思います。

ブログに「Q&A」で紹介させていただいている高校生たちも全員合格したようで、教え子が受かるのも又、先生にとってはひとしおでしょうね。

 

霧の朝
名古屋では味わえない霧の朝
この地では味わえない名古屋のモーニング
土地・土地のステキさがあるから旅は止められません
違うってステキやね

 

和田 行男 さん

1987年、日本国有鉄道から介護業界へ転身。1999年には、東京都初となる認知症高齢者グループホーム「こもれび」の施設長に就任した。淑徳大学客員教授。