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あらすじ
83歳のセルヒオは、探偵事務所に雇われて老人ホームに潜入調査を行うことになる。
虐待の疑いがあるホームで3か月間生活し、入居者たちの日常を観察する中で、高齢者の孤独と尊厳について深く考えさせられる。
実際の老人ホームで撮影されたドキュメンタリー映画として、高齢者ケアの現実を浮き彫りにする。
特徴・見どころ
第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた、世界中が涙し、喝采を送った話題作です。
「83歳の男性がスパイとして老人ホームに潜入する」という、まるで映画のような実話を基にしたドキュメンタリー作品です。
スパイ映画さながらのユーモアあふれる展開に笑い、そして、そこで浮き彫りになる高齢者の現実と、主人公セルヒオの優しさが織りなす人間ドラマに、誰もが心を揺さぶられることでしょう。
観終えた後、きっとあなたも大切な人に会いたくなる、そんな温かい感動に包まれる一作です。
チャーミングな83歳の新人スパイが教えてくれる人生の輝き
本作の最大の魅力は、なんといっても主人公セルヒオさんのチャーミングな人柄です。
妻に先立たれ、新しい生きがいを探していた彼は、探偵事務所の「80~90歳のスパイ募集」という奇妙な求人に応募します。
与えられた任務は、とある老人ホームでの虐待疑惑の調査でした。
しかし、隠しカメラやスマートフォンなどの扱いに悪戦苦闘する姿は、スパイとは程遠い、ごく普通の心優しいおじいちゃんです。
目立ってはいけないはずが、その紳士的で誠実な人柄から、たちまちホームの人気者になってしまいます。
彼の優しさは、孤独を抱える入居者たちの心を少しずつ溶かし、生きる希望を与えていきます。
そんなセルヒオの姿は、私たちに年齢を重ねてもなお、新たな役割を見つけ、輝ける可能性を教えてくれます。
スパイの潜入調査が映し出す、老人ホームのリアルな日常
本作は、ユーモラスな設定の中に、現代社会が抱える高齢者問題への鋭い視点を投げかけます。
当初の目的であった虐待の証拠探しは、やがて入居者一人ひとりが抱える「孤独」という名の心の叫びを浮き彫りにしていきます。
家族の訪問を待ちわびる人、認知症の症状と不安の中で暮らす人、それぞれの人生の物語が、セルヒオの目を通して丁寧に描かれます。
この作品は、老人ホームでの生活をリアルに映し出すことで、高齢者の認知症発症リスクや、様々な認知症の種類と特徴について、改めて考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
また、入居者に寄り添うセルヒオの姿は、認知症の方への適切な対応や、これからの高齢者ケアの在り方を考える上でも、大きなヒントを与えてくれます。
これは決して遠い国の物語ではなく、私たち自身の未来、そして家族の物語でもあるのです。