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あらすじ
北海道の医学生・田中は、ボランティアとして筋ジストロフィーを患う鹿野靖明と知り合う。
12歳の時に発症した鹿野は、身体が不自由ながらも、いつも王様のようなワガママぶりで周囲を振り回してばかりだった。
しかし、どこか憎めない愛される存在だった。
ある日、新人ボランティアの美咲に恋心を抱いた鹿野は、ラブレターの代筆を田中に依頼するが、実は美咲は田中と付き合っていた。
夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた鹿野と、彼を支えたボランティアたちの心温まる日々が描かれる。
特徴・見どころ
大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した、嘘のような本当の物語がここにあります。
この映画は、ただの感動ストーリーではありません。
「わがまま」で「おしゃべり」で「自由すぎる」主人公が、なぜ多くの人に愛されたのか。
その秘密を知ったとき、あなたの心にも温かい何かが灯るはずです。
笑いと涙で描かれる、一人の男性と彼を取り巻く人々の、かけがえのない日々を覗いてみませんか。
大泉洋の圧巻の演技で魅せる、鹿野靖明という強烈な個性
本作の主人公は、難病である筋ジストロフィーを抱え、車椅子での生活を送る鹿野靖明さんです。
彼は体が不自由であるにもかかわらず、自らの欲望にどこまでも正直に生きています。
「夜更けにバナナが食べたい」。
そんな突拍子もない願いを、真夜中にボランティアへ平気で要求してしまうような人物なのです。
この強烈なキャラクターを、北海道が誇る名優・大泉洋さんが見事に演じきりました。
顔と手しか動かせないという非常に難しい役どころでありながら、その表情や声のトーンだけで、鹿野さんの喜び、怒り、悲しみ、そして人間的な魅力を鮮やかに表現しています。
彼の周りには、医学生の田中くん(三浦春馬)や、新米ボランティアの美咲ちゃん(高畑充希)など、個性豊かな人々が集まってきます。
鹿野さんの底なしのワガママに振り回され、時にはぶつかり合いながらも、彼らは次第に気づいていくのです。
- 遠慮なく本音でぶつかることの大切さ
- 誰かに頼り、頼られることで生まれる絆の強さ
- できないことを嘆くのではなく、できることを全力で楽しむ生き方
鹿野さんの生き様は、知らず知らずのうちに私たちの心に深く突き刺さります。
そして、彼が巻き起こす騒動に笑い、彼の真っ直ぐな言葉に涙するうちに、観る者は生きることの素晴らしさを再確認させられるでしょう。
「介護」のイメージを覆す、新しい人間関係のカタチ
この物語は、単に難病と闘う人の話ではありません。
もう一つの大きなテーマは、「自立」と、それを支える介護とボランティアのあり方です。
鹿野さんは、自分で決めたルールのもと、大勢のボランティアに支えられながら自立生活を送っていました。
そこにあるのは、「助ける側」と「助けられる側」という一方的な関係ではありません。
鹿野さんは助けられることを当然の権利として主張する一方で、ボランティアたちの悩みを聞き、彼らの人生に影響を与えていく対等な存在なのです。
本作は、これまで福祉や介護の現場でタブー視されがちだった、障害者の「性」や「排泄」といったテーマにも真正面から向き合っています。
それは、一人の人間として当たり前の欲求や尊厳を描くために、決して避けては通れない道でした。
綺麗ごとだけではない、生々しくも人間味あふれる日常の描写こそが、この作品が多くの人の共感を呼ぶ理由です。
障がいのあるなしに関わらず、人は一人では生きていけません。
誰かを頼り、支え合いながら生きていくことの尊さを、本作は私たちに力強く語りかけてくれます。
映画を見終わった後、きっとあなたも誰かに会いたくなるはずです。

 
  
 
 
  


 
  
 
 
   
   
   
   
  


