あらすじ
チリの著名なジャーナリスト、アウグスト・ゴンゴラと国民的女優のパウリナ・ウルティア。
20年以上にわたり深い愛情で結ばれた二人に、アウグストがアルツハイマー病を患うという試練が訪れる。
記憶を少しずつ失っていくアウグストと、困難に直面しながらも彼との生活を慈しみ支えるパウリナ。
読書や散歩を楽しみ、丁寧に日々を生きる二人の姿を通して、真実の愛とは何かを問いかける。
独裁政権時代のチリを記録したジャーナリストが、今度は自分自身の記憶を失っていく――その切なくも美しい日々の記録。
特徴・見どころ
『83歳のやさしいスパイ』で世界的な注目を集め、アカデミー賞ノミネートを果たしたマイテ・アルベルディ監督。
その彼女が再び観客の心を捉え、2度目のアカデミー賞ノミネートという快挙を成し遂げた感動のドキュメンタリーが、本作『エターナルメモリー』です。
2023年のサンダンス映画祭では、ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門で審査員大賞を受賞するなど、公開前から世界中で高い評価を受けています。
単なるドキュメンタリー映画という枠を超え、観る人すべての心に「愛とは何か」「記憶とは何か」を問いかける、珠玉の作品となっています。
世界が絶賛した、ある夫婦の愛の記録
本作が描くのは、チリの著名なジャーナリストであるアウグストと、女優であり文化大臣も務めたパウリナという夫婦の物語です。
彼らは25年以上にわたり、深い愛情と尊敬で結ばれたパートナーでした。
しかし、アウグストがアルツハイマー病による脳への影響と診断されたことで、二人の生活は静かに、しかし確実に変化していきます。
本作は、アルベルディ監督が約4年間にわたって二人を丹念に記録した、貴重な映像で構成されています。
記憶を失っていくアウグストと、彼を献身的に支え続けるパウリナ。
そこには、病気の過酷な現実だけではなく、それを上回るほどの深い絆と、日々の暮らしの中に宿るユーモアや優しさが溢れています。
記憶が薄れても、愛は残り続ける
アルツハイマー病が進行すると、過去の記憶だけでなく、今この瞬間の出来事さえも留めておくことが難しくなっていきます。
アウグストもまた、自分が誰であるか、隣にいる最愛の人が誰であるかさえ、わからなくなる瞬間を迎えます。
しかし、パウリナは彼に「私はパウリナ、あなたの妻よ」と、毎日優しく語りかけ続けます。
本作は、認知症の最期という重いテーマにも、目をそらすことなく向き合います。
それと同時に、記憶が失われても「感情」や「身体が覚えている愛」は消えないことを、二人の姿を通して力強く証明してくれます。
忘れてしまう恐怖と向き合いながらも、お互いを慈しみ、尊重し合う二人の日常は、私たちに「尊厳を持って生きること」の大切さを教えてくれるでしょう。
これは認知症と向き合う夫婦の物語であると同時に、すべての人に共通する「愛と喪失」の普遍的な物語です。
観終わった後、きっとあなたは、自分の大切な人のことを想わずにはいられないはずです。









