認知症の介護が始まると、出口の見えないトンネルにいるような不安に襲われることがあります。
- 「この介護生活はいつまで続くのだろう」
- 「長生きしすぎて、家族が共倒れになってしまうのでは…」
- 「早く楽になりたいと思ってしまう自分は冷酷なのか」
先の見えない恐怖から、こうした感情を抱くのは決して悪いことではありません。
大切なのは、目安を知り、心の準備を整えることです。
この記事では、認知症の進行や寿命に関するデータを元に、以下のポイントを解説します。
- 認知症発症後の平均的な余命と進行スピード
- 末期に訪れる身体的な変化と主な死因
- 後悔しない最期を迎えるためのACP(人生会議)
「最期はどうなるか」という漠然とした恐怖を、「最期までどう過ごさせてあげたいか」という具体的な目標に変えるヒントがここにあります。
不安を解消し、ご家族らしい選択をするための一助としてお役立てください。
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認知症の経過について

認知症には、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」などのタイプがあります。
タイプによって認知症の経過は異なりますが、一般的には「初期」「中期」「末期」の3段階に分類できます。
「最近、親の物忘れがひどくて心配…」 「同じことを何度も聞かれるけど、これって認知症の始まり?」 「もし家族が認知症になったら、どう接すればよいのだろう?」 「自分自身の将来を考えて、認知症の症状について知っておき[…]
発症初期
認知症発症のごく初期段階では、認知症状は単なる「もの忘れ」と大差ありません。
たとえば、「物をどこかに置き忘れる」「少し前に聞いた話の内容を覚えていない」など些細なもの忘れの症状が見られます。
進行が進み、初期になると物忘れがやや激しくなります。
たとえば「直前の出来事を覚えていない」「忘れたことすら忘れる」などの記憶障害があります。
認知症の初期症状を見逃さないためには、これらのサインを早期に認識することが大切です。
ごく初期の段階に比べて、いつもこなしていた事柄がスムーズにできなくなるのも、初期段階の特徴です。
症状の例は以下の通りです。
- 直近の出来事を忘れる
- 同じ質問を何度もする
- いつも出来ていたことに、時間がかかる
「最近、親のもの忘れがひどくなった気がする…」「さっき言ったことを何度も聞いてくるのは、年のせい?」「もしかして、認知症の始まり…?」ご家族のささいな変化に、このような不安を抱えていませんか。その不安の裏には、「この先ど[…]
発症中期
中期に進むと認知機能の低下が著しくなり、1人での日常生活が困難になります。
たとえば着替えや買い物、掃除などの日常的な動作でさえ、自分ではうまくできません。
直前の記憶が、丸ごと抜け落ちることも多くなります。
食事をしたのに「ごはんを食べていない」と言うのは、認知症中期の代表的な例です。
認知機能の低下とともに、周辺症状も頻発するようになります。
周辺症状とは、本人の性格や周囲の環境によってあらわれる、副次的な症状です。
たとえば、「せん妄」「幻覚」「徘徊」「暴力」「興奮」などがあてはまります。
これらの症状への適切な対応方法を知ることで、介護の負担を軽減できます。
症状の例は以下の通りです。
- 着替え・買い物・食事・掃除などが困難
- 入浴や排泄に全面的な介助が必要
- 体験が丸ごと記憶から抜け落ちる
- 徘徊・幻覚・妄想・暴力などの問題行動が目立つ
発症末期
認知症末期になると認知機能の低下に加え、自発性や意欲の著しい低下がみられます。
たとえば「ごはんを食べていない」と思っても、それを訴えることすら困難です。
記憶力や判断力はますます低下し、家族の顔や名前を認識できなくなります。
感情もあらわれにくくなり「話しかけても反応しない」ことも多くなるでしょう。
身体機能もかなりの低下がみられ歩行が難しくなり、寝たきり状態になる方も少なくありません。
症状の例は以下の通りです。
- 表情が動かない
- 家族を認識できない
- 会話ができない
- 自宅内で迷子になる
- 寝たきり・意識の混濁
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認知症の寿命について

介護の平均期間は6〜7年です。
介護生活の終わりとは、すなわち認知症当事者の逝去を指します。
ただし、認知症の寿命には個人差があるため一概に「何年」とは言えません。
認知症発症からの10年以内生存率は以下の通りです。
- アルツハイマー型認知症…18.9%
- レビー小体型認知症…2.2%
- 血管性認知症…13.2%
アルツハイマー型認知症の診断後の生存期間は以下の通りです。
- 男性…4.2年
- 女性…5.7年
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症では、それぞれ進行速度や症状の特徴が異なります。
各タイプの詳細を知ることで、適切なケアプランを立てやすくなります。
以上のようにおなじ認知症当事者であっても寿命にはバラつきがあることが分かります。
しかし1つ言えることは、寿命に差はあれど必ず最期を迎えるということです。
「長生きしすぎでは…」と自分を責めてしまう方へ
認知症の介護は出口が見えず、精神的にも肉体的にも限界を感じることがあります。
「長生きしすぎではないか」「早く楽になりたい」という感情を抱くことは、介護に真剣に向き合っているからこそ生まれる悩みであり、決してご自身を責める必要はありません。
大切なのは、ご家族だけで抱え込まず、専門家の手を借りて「介護する側・される側」という関係から「家族」という関係に戻ることです。
私たちが運営する「愛の家グループホーム」でも、入居をきっかけに家族関係が劇的に改善した事例が数多くあります。
ホームへの入居で物理的な介護負担がなくなったことで、面会時には笑顔で会話ができるようになり、以前のような仲の良い親子関係を取り戻されました。
(参照:仲の良い母娘に戻った|愛の家グループホーム ふじえだ高洲)
最期まで「妻」「夫」として寄り添い続け、穏やかな時間を過ごすことができました。
(参照:離れても夫婦のつながりを|愛の家グループホーム 福島宮代)
寿命(時間)の長さだけでなく、「その時間をどう過ごすか」というQOL(生活の質)を支えるのが、私たち専門スタッフの役割です。
プラズマローゲンは認知症に効果的?サプリについても説明

プラズマローゲンとは、グリセロリン脂質の一種であり、細胞を構成する主要な成分です。
人間の全身のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンであるといわれており、特に脳に多く存在しプラズマローゲンは人間が存在する上でとても重要な成分と考えられています。
しかし、このプラズマローゲンはさまざまな要因で減少しやすい成分でもあります。
酸化ストレスや炎症、神経の変性、感染症や外傷など、さまざまなストレスにさらされることで、プラズマローゲンが減少していきます。
特に、脳の海馬や前頭葉には多くのプラズマローゲンが含まれており、成分の減少と認知症の進行度には関連性があるという報告もあります。
プラズマローゲンは現在、認知機能の維持をサポートするサプリメントとして注目されています。
※機能性表示食品として届出された成分であり、記憶力の維持に役立つことが報告されています。
日々の生活習慣の改善とあわせて、栄養面からのサポートを検討される方が増えています。
1995年にアルツハイマー型認知症の患者の、脳のプラズマローゲンが減少していることが確認されました。
その後、2007年にはアルツハイマー型認知症患者の血清でもプラズマローゲンの減少が認められており、プラズマローゲンは認知症と関係があると考えられています。
また、アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβたんぱくの沈着が関係しているといわれています。
プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果のほか、脳神経細胞のアポトーシス抑制の効果も見込めるため、プラズマローゲンを摂取することで認知症への対策が期待できます。
出典:認知症との関係|AdvancedMedicalCareInc.
認知症予防に使われるサプリメントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
また、機能性表示食品として認められたプラズマローゲン配合サプリメントのラインナップもご参考ください。
認知症予防とは、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能の低下によって社会生活に支障を来さないよう、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味で、生活習慣病対策やサプリメントを用いるなどの予防策があります。[…]
認知症患者のために!最期はどう過ごしたいかを考える

「最期はどうなるのか」より「最期はどうしたいか」を考えることが大切です。
認知症はときに本人はもちろん、家族や周囲に大きな負担やストレスをもたらします。
認知症の介護において、家族の負担を軽減する方法や適切なケアの在り方を知ることも重要です。
また、終末期の介護サービスについても早めに情報収集しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
終わりの見えない介護生活に疲れ果ててしまうこともあるでしょう。
しかし前述の通り、寿命に個人差はあれどどんな方でも認知症の最後は寿命を迎えます。
言ってしまえば、どんなに先が見えなくとも「必ず終わりがくる」わけです。
自分や家族が「いつか死ぬ」と考えるのはナーバスに思えるかもしれません。
しかし、「終わりがある」と割り切ることは一種の覚悟につながります。
すなわち「最期」を受け入れることで、「その時までどのように生きたいか」が具体的にイメージしやすくなるでしょう。
「認知症の最期はどうなるんだろう」と漠然と恐れるより「最期はこう迎えたい」と理想を描くことは、残りの人生の質を高めるうえで重要です。
認知症ケアという言葉を聞いたことあるでしょうか?認知症ケアには多くの心構えがあり、1人1人にあったケアをすることが重要です。この難しさから、介護者自身が体調を崩すことも多く、認知症ケア専門士といった資格も存在しています。今回は、[…]
認知症患者の寿命は何で決まる?

前項の通り、認知症発症者の寿命には個人差があります。
寿命を決める主な要因を3つ紹介します。
年齢
高齢になるほど、認知症発症からの寿命は短くなります。
認知症にかかると徐々に身体機能や免疫機能が低下します。
肺炎や感染症を合併しやすくなるため、高齢の方ほど死亡リスクは高くなります。
性別
性別に関しては、明確な根拠はありません。
しかし研究データの多くは男性の方が寿命が短いと指摘しています。
進行速度
認知症は、タイプによって進行速度が異なります。
進行がゆるやかなタイプほど寿命が長い傾向が見られます。
たとえば、数十年単位で進行するアルツハイマー型は発症から寿命を迎えるまでの期間が長くなります。
一方、比較的進行が早いといわれるレビー小体型は寿命が短いといわれています。
認知症と寿命の関係や、進行を緩やかにする生活習慣については、多くの研究が進められています。
より詳しく、医学的な根拠に基づいた「予防」や「習慣」について知りたい方には、認知症専門医が執筆した以下の書籍も参考になります。
もし自分や身近な人が認知症と診断されたら、「これからどうなってしまうの?」と不安に駆られるのは当然です。できれば進行をおさえて、なるべく長く生活の質を保ちたいですよね。また認知症はすぐに対処しないと進行が一気に進んでしまうのでは[…]
認知症の末期の症状について

認知症を発症し「最期はどうなるんだろう」と恐怖を感じる人も多いでしょう。
その理由は「なにもできなくなる」という漠然としたイメージがあるためです。
たしかに、認知症末期にはさまざまな重篤症状があらわれます。
しかしそれをおそれるのではなく、受け入れることが大切です。
「最期はどうなるのか」と考えるより、最期に起こりうる事態を想定し「その事態に直面した時にどのように生きたいか」を考えてみましょう。
そのためにも、認知症の最期はどうなるかをあらかじめ知っておくことは重要です。
自分が直面するであろう事態を正しく理解することは「認知症」と冷静に向き合う手助けとなるでしょう。
できること
認知症末期になっても、意識を保っている場合もあります。
明確な意思表示は難しいかもしれませんが、アイコンタクトなどで周囲とある程度の意思疎通ができることもあるでしょう。
また、感情機能も完全には停止していません。
会話の内容は完全に理解できなくても明るく話しかければ「楽しい」という感覚を感じ取ることはできます。
ただし、「末期だから寝たきりになるのは仕方がない」と諦める必要はありません。
適切な水分摂取(1日1,500ml〜1,800ml目安)や栄養管理、運動を行うことで、認知症の方の活動性が改善することは科学的にも実証されています。
私たちメディカル・ケア・サービスが実施している「MCS版自立支援ケア」では、水分摂取やタンパク質の管理、独自の運動プログラムなどを通じて、85%以上の方の状態改善・維持を実現しています(※当社運営287ホーム・3,821名のデータより)。
たとえ進行しても、適切なケア環境があれば、その人らしい生活や笑顔を取り戻せる可能性は十分にあります。
以下できることの例です。
- アイコンタクトなどでの意思疎通
- 返事・相槌
- 介助つきの食事・入浴・排泄
- テレビ・ラジオ鑑賞
- 周囲の会話を聞く
など
できないこと
基本的に自分では身動きできません。
また、末期でもさらに最終段階に進むと嚥下障害などが起こりやすくなり食事をとれなくなることも多いです。
以下はできないことの例です。
- 家族や親しい人の認識
- 周囲との意思疎通
- 自力で立つ・歩く
- 寝返り
- 自力での食事・入浴・排泄
- (嚥下障害などによる)食事
など
普段の生活
自力で座っていることも難しいため、1日を寝たきりで過ごすことが多いでしょう。
喉の筋肉の低下から物を飲み込みづらくなり食事はすりつぶしたものや、流動食が中心になります。
末期には家族や身近な人の認識も難しくなります。
話しかけても反応がないことが多いですが「話しかけられている」ことは理解できることもあります。
また、話の内容を完全に理解できなくても明るく話しかけられれば「楽しい」「うれしい」と感じることもできるでしょう。
末期症状が進行する中でも、適切な食事介助や栄養管理により、QOL(生活の質)を維持することは可能です。また、この時期の家族の心のケアも忘れてはいけません。
認知症が進行し末期の状態になると、寝たきりになったり体重が減少したりなど様々な症状が現れます。中でも食欲の低下は、介護者が不安になる症状の一つです。今回は認知症の末期症状をご紹介した上で、三大認知症の食欲低下と改善方法をご紹[…]
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認知症患者の死亡原因について

認知症になったら「最期はどうなるんだろう」という疑問は、すなわち「どんな亡くなり方をするのか」という疑問でもあります。
実は、認知症の方の死亡原因は身体機能・認知機能の低下に伴う合併症状がほとんどです。
特に肺炎での死亡が最も多いとされています。
あるいは、転倒などの事故が直接的な死因になる場合もあります。
また、認知症の進行に伴い食事がとれなくなる方も多くいます。
たとえば「食べ物を認識できない」「食べ方が分からない」などの摂食障害により、衰弱死するケースも多く見られます。
以下は死亡原因の例です。
- 誤嚥性肺炎
- 気管支炎
- 虚血性心疾患
- 循環器疾患
- 呼吸器感染
- 悪性新生物(腫瘍)
- 転倒
- 摂食障害
など
特に注意が必要なのが、飲み込む力が弱くなることで起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。
これを防ぐためには、日頃から「飲み込む力」を鍛えておくことが有効です。
健達ねっとを運営するメディカル・ケア・サービスでは、西尾正輝教授(新潟医療福祉大学)監修のもと、1回5秒でできる嚥下トレーニング「ノドトレ」を推奨しています。
喉の筋肉を鍛えることは、肺炎予防だけでなく、最期まで口から美味しく食事をとる(QOLの維持)ことにも繋がります。
ご自宅で簡単にできる動画プログラムも公開していますので、ぜひご活用ください。
認知症末期に多い誤嚥性肺炎などの合併症を防ぐためには、日頃からの食事への配慮やバランスの良い栄養摂取が重要です。
また、認知機能をサポートする栄養成分として、プラズマローゲンなどの機能性成分を活用する方法もあります。
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認知症の終末期介護|アドバンス・ケア・プランニング(ACP)って何?

ACPとは認知症当事者の希望に沿って、本人・家族・医療チームが終末期の介護・医療を話し合うプロセスのことです。
ACPでは、認知症当事者と家族が将来的に「受けたい医療」と「その理由」を話し合います。
さらに、意思決定に至るまでのプロセスは医療チームと緊密に共有されます。
ACPで重視されるのは、本人・家族・医療チームが意思決定に至る「プロセス」を共有することです。
プロセスを重視することで、将来的に想定外の事態が発生してもより柔軟に本人の意思を尊重した医療を実現できると考えられています。
ACPを実践する際には、ターミナルケアや看取り対応が可能な施設についての情報も併せて検討することが推奨されます。また、終末期ケアの専門家インタビューも参考になります。
認知症におけるACP
認知症を発症すると「これからどうなるんだろう」「最期はどうなるんだろう」という恐怖がつきまといます。
しかし、恐怖する時間は実は「最期はこうしたい」と考える時間でもあります。
前述の通り、認知症では「最期はどうなるのか」より「最期はどうしたいのか」を考えることが重要です。
ACPは、その人が自分らしく生きるための意思決定をサポートする方法です。
そのため認知症の終末ケアとして取り入れられつつあります。
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ACPのメリットとデメリットについて

認知症の方のACPにおけるメリットとデメリットの両方を紹介します。
メリット
- 認知症当事者が自分の人生に責任を持てる
- 本人と家族の満足感が高まる
- 終末期の過ごし方を決めるゆとりができる
- 望まない「延命治療」や「病院死」を回避できる
- 強固かつ柔軟な医療連携を実現できる
デメリット
- 「死に方」を決めることをナーバスに感じ、そもそもACPに踏み切れない
- 本人や家族に心理的・身体的負担がかかる
- 本人・家族・医療チームの信頼関係がなければ実現が難しい
- 死生観の押し付けになることがある
認知症の最期についてのまとめ

ここまで、「認知症の最期はどうなる?」という疑問に対し、認知症の進行の仕方や予後の考え方についてお伝えしてきました。
- 認知症になると、平均寿命は6〜7年
- 寿命は必ず来るので「最期はどうなるのか」より「最期はどうしたいか」を考えることが大切
- 認知症での主な死亡原因は、肺炎などの合併症状
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。











