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あらすじ
ちょっと気弱な小学生の翼は、いつも励ましてくれる大好きなばあばと暮らしていた。
しかしばあばは最近「わすれてしまう病気(認知症)」にかかり、何度も同じ質問を繰り返したり、急に怒り出したりするようになった。
怖くなって近づけなくなった翼だったが、ある日ばあばが家を出て行ってしまい、家族で必死に探す。
ばあばの箱に入っていた「翼は良い子」というメモを見つけた翼は、ばあばの愛に気づく。
特徴・見どころ
本作『ばあばは、だいじょうぶ』は、10万部を超えるベストセラーとなった同名の絵本を原作に、認知症という少し難しいテーマを、主人公である「ぼく(翼)」という小学生の真っ直ぐな視点から描いた、深く温かい感動作です。
物語は、翼が大好きだった「ばあば」が、少しずつ変わっていくところから始まります。
「大好きなばあばが、僕の名前を忘れてしまった」
「いつも優しかったのに、時々、理由もなく怒ったりする」
大人の視点から描かれる認知症の作品とは異なり、本作は、子どもが最初に直面する「どうして?」「なぜ変わってしまったの?」という、純粋で、だからこそ切実な戸惑いや悲しみに、真正面から焦点を当てています。
寺田心さんの繊Fさな演技が光る「子どもの葛藤」
主人公の翼を演じたのは、俳優の寺田心さんです。
大好きだったばあばの変化を受け入れられない戸惑い、認知症の介護によって疲れ、時にぶつかり合う両親の姿を目の当たりにする不安。
そして、それでも「ばあばが大好き」だという変わらない思い。
こうした複雑な子どもの内面を、寺田心さんは驚くべき繊細さで表現しました。
その演技は国境を越えて高く評価され、ミラノ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞する快挙を成し遂げています。
子どもながらに家族の中で何が起きているのかを必死に理解しようとし、自分にできることはないかと模索する翼の姿は、観る者の心を強く打ちます。
子どもにも分かる「認知症」と「家族の愛」
本作が多くの共感を呼ぶのは、認知症の症状や、介護が始まると家族にどのような変化が起こるのかを、子どもにも理解できる具体的なエピソードで丁寧に描いている点です。
例えば、
- 翼の好きだった料理を、ばあばが作れなくなってしまうこと。
- 何度も同じことを聞いたり、突然不安になったりすること。
- そんなばあばの姿に、翼の両親が戸惑い、疲弊していく様子。
こうした出来事を「翼の目」を通して体験することで、観客は「認知症は本人が一番不安であること」「家族もまた、どうしていいか分からず苦しんでいること」を自然に理解していきます。
『ばあばは、だいじょうぶ』というタイトルは、翼がばあばを安心させようとする健気な言葉であると同時に、「家族みんなで支えていくから大丈夫」という、家族全体の決意のようにも響きます。
認知症の人への接し方、そして何よりも家族の支え合いの大切さを、温かい視点で伝えてくれる、世代を超えて見ていただきたい作品です。









