美容と再生医療はどう関係する?40代から知りたい新しい選択肢<②>

野村 紘史
野村 紘史一般社団法人克己会 N2クリニック ホテル椿山荘東京院 院長
目次

再生医療を検討するなら知っておきたい4つのこと

美容目的で再生医療やその周辺領域の治療を検討するときは、「新しい」「再生する」といった言葉の印象だけで決めないことが重要です。

治療の法的な位置づけ、科学的根拠、品質管理、リスクまで確認しましょう。

法令上の位置づけと必要な手続きを確認する

まず、その治療が再生医療等安全性確保法の対象となる「再生医療等」なのか、同法の対象外である培養上清やエクソソーム等を用いる医療なのかを確認しましょう。

法の対象となる再生医療等では、原則として認定または特定認定再生医療等委員会の審査を経て、厚生労働大臣へ再生医療等提供計画を提出するなどの手続きが必要です。

医療機関に、どの制度のもとで治療を行っているのかを確認することが重要です。

効果や安全性を断定する表現に注意する

「必ず若返る」「肌が完全に再生する」「副作用がない」「絶対に安全」といった断定的な表現には注意が必要です。

再生医療を含む自由診療では、科学的根拠が十分でない情報を用いて有効性や安全性を過度に強調する広告は適切ではありません。

同じ治療でも結果には個人差があり、効果が得られない可能性や合併症が起こる可能性もあります。

メリットだけでなく、限界や不確実性まで説明されているかを確認しましょう。

何を使う治療か、品質管理と費用まで確認する

「幹細胞」「エクソソーム」といった名称だけで判断せず、実際に何をどのように製造・加工し、どの方法で投与するのかを確認しましょう。

とくに培養上清やエクソソーム等では、細胞の由来、製造工程、微生物学的な安全性の確認、保存・輸送方法などが品質に関わります。

あわせて、1回の費用だけでなく、推奨される回数、検査費、診察料などを含めた総額も確認しておきましょう。

リスクや代替治療、緊急時の対応を医師に確認する

再生医療であっても、治療に伴うリスクがなくなるわけではありません。

注射や点滴では、痛み、腫れ、内出血、感染、アレルギー反応などが起こる可能性があり、治療内容によってはより重い健康被害も起こり得ます。

重大な事例

美容目的の治療に限った事案ではありませんが、厚生労働省は2026年、自己脂肪由来間葉系幹細胞の静脈投与後に死亡事案が報告されたことを受け、医療機関や製造施設に一時停止を命じた事例を公表しています。

期待できる効果だけでなく、起こり得る合併症、ほかの治療選択肢、異常が起きた場合の連絡・診療体制まで医師に確認し、納得したうえで判断しましょう。

書籍『美しさは、再生する。』で美容医療と再生医療を学ぶ

再生医療に関する情報は、Web広告やSNSなどでも目にする機会があります。

しかし、同じ「再生」という言葉が使われていても、治療の仕組みや法的な位置づけ、科学的根拠は同じではありません。

美容やアンチエイジングの選択肢として考えるためには、断片的な情報ではなく、全体像を理解することが大切です。

書籍『美しさは、再生する。―おとなのための美容医療とセルフケアの教科書』でご説明している内容をご紹介します。

「見た目」と「土台」の両方を考える

書籍『美しさは、再生する。―おとなのための美容医療とセルフケアの教科書』では、年齢による変化を「見た目」と「土台」の両面から捉え、セルフケアと美容医療を無理なく組み合わせる考え方を紹介しています。

単に見た目を変えるだけではなく、肌や体の状態を知り、長期的な視点で美容と健康を考えることが本書の大きなテーマです。

そのための新しい選択肢として、再生医療を応用した技術、治療をご説明しています。

幹細胞療法、PRP療法、培養上清の違いを理解できる

本書の第5章では、幹細胞療法とPRP療法を再生医療として取り上げています。

また、幹細胞培養上清についても、幹細胞そのものを投与する治療ではなく、培養した際の上澄み液に含まれるサイトカインやエクソソームなどに着目した施術であることを図解しています。

似た言葉を一括りにせず、それぞれの仕組みの違いを理解する入口として活用できます。

さらに、長寿関連タンパク質Klotho(クロトー)を活用した新しい美容治療用製剤に関して詳しくご説明した国内初の解説が収録されています。

自分に合う選択肢を考えるための情報源として活用する

再生医療や美容医療について学ぶことは、すぐに治療を受けるためだけではありません。

本書が繰り返し伝えているのは、自分に合った方法を知り、それぞれの特徴や費用対効果、リスクを理解したうえで納得して選ぶことの大切さです。

セルフケアでできることと医療でできることを整理し、必要に応じて信頼できる医師へ相談するための情報源として活用してみましょう。

その際に、再生医療の基礎知識を身につけていることは、意思決定のために役立つことでしょう。

まとめ:再生医療は正しく理解して検討しよう

再生医療は、美容やアンチエイジングの分野でも注目される医療領域です。

ただし、幹細胞療法、PRP療法、幹細胞培養上清液、エクソソームは、それぞれ仕組みも科学的根拠も法的な位置づけも異なります。

「再生医療」という言葉だけで一括りにせず、何を用いる治療なのか、必要な法的手続きを経ているか、どこまで有効性と安全性がわかっているか、どのようなリスクがあるかを確認することが大切です。

信頼できる情報と医師の説明をもとに、自分に合う選択肢かどうかを慎重に考えましょう。

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筆者プロフィール

野村 紘史
一般社団法人克己会 N2クリニック ホテル椿山荘東京院 院長
野村 紘史
一般社団法人克己会 N2クリニック ホテル椿山荘東京院 院長 東京大学医学部卒業後、再生医療の臨床応用を目指して東京大学形成外科に入局。乳房再建や脂肪組織由来幹細胞の研究・臨床に従事したのち、再生医療の基礎研究のため米国に留学。帰国後は幹細胞培養上清や美容再生医療の臨床応用を推進してきた。 現在は「再生医療の個別最適化」をテーマに、美容・健康・長寿を統合した医療に取り組む。京都大学医学部健康加齢医学講座 民間研究員、Gakken認知症予防研究室 医療特別顧問。国内外で再生医療の講演・研究活動を行っている。
WRITTEN BY
野村 紘史
野村 紘史
一般社団法人克己会 N2クリニック ホテル椿山荘東京院 院長

一般社団法人克己会 N2クリニック ホテル椿山荘東京院 院長
東京大学医学部卒業後、再生医療の臨床応用を目指して東京大学形成外科に入局。乳房再建や脂肪組織由来幹細胞の研究・臨床に従事したのち、再生医療の基礎研究のため米国に留学。帰国後は幹細胞培養上清や美容再生医療の臨床応用を推進してきた。
現在は「再生医療の個別最適化」をテーマに、美容・健康・長寿を統合した医療に取り組む。京都大学医学部健康加齢医学講座 民間研究員、Gakken認知症予防研究室 医療特別顧問。国内外で再生医療の講演・研究活動を行っている。

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